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Fly High 32

こんにちは。🎵
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴





両親と進との食事を終え部屋に戻ると
マットに無理矢理飲みに連れ出されてしまった

それだけでも充分機嫌が悪いのに
席につくなり彼が言った一言に完全にキレてしまった

「どういう事なの?!」

「だから恋人のフリしろって言ってるだけだろ!
 そんな怒んなくてもいいだろ?」

怒っているのは私よ!!

なのにどうしてあんたが怒鳴るのよ!!

「だから、どういう事か聞いてんのよ!?」

「ちょっとの間だけでいいから、なぁ、頼む!」

頼む!なんて言いながらも私が断るなんてこれっぽちも考えていない態度のマット

「それが人に物を頼む態度なの?
 とにかくどうして恋人のフリしなきゃいけないのか答えなさいよ!」

「・・・どうしても、知りたいか?」

「当たり前でしょ!さっさと答えなさい。
 寝ぼけた事ばっかり言ってるとぶっ飛ばすわよ!」

「・・分かったよ。話すけど・・・怒るなよ!」

「そんなの聞いてみないと分かんないわよ!
 いいからさっさと話しなさいよ!」

私がそこまで言ってもマットはまだ話そうとしない

「ねぇ?話さないんだったら私、ホテルに帰るわよ?」

私が席を立ちかけると

「分かったよ。ちゃんと話すから座ってくれよ!」

彼は私の腕を引っ張りながらやっと話す気になったみたい

仕方がないのでとりあえずもう一度スツールに腰を掛けた

「俺、この間見合いさせられたんだ・・・」

ボソリとマットの口から零れた言葉

「知ってる」

「・・・えっ?!」


「さっきエドに聞いたのよ。
 で、その見合いがどうしたのよ?」

「マーガレット・ヘインズって名前で大学生らしいけど・・・」

「それも知ってるから話を先に進めて」

「ああ・・俺、即効で断ったんだけど・・
 なんか気に入られてるみたいで・・・」

「付きまとわれてんの?」

「いいや、そこまではいってないけど・・
 先月、彼女がオフィスまで来た」

「知ってるわよ。
 あんたが本気で怒ってたやつでしょ?」

「ああ・・見合い断った理由を聞かせてくれって言われたんだけどよ」

「何て答えたの?」

「そのまま正直に答えたぜ。
 まだ、結婚するつもりはないからって・・
 言ったんだけど、全然納得してくんなくて。
 付き合ってる人がいないんだったら自分との事を考えてくれって言われた」

「それのどこが問題なわけ?
 考えてあげればいいじゃない?」

「考えたよ!考えたうえでちゃんと断ったんだよ!
 だけどあんまりしつこいんでついお前と付き合ってるって言っちまったんだよ!」

「はぁ~~~~?!
 あんた、バカじゃないの?何でそんな事言ったのよ!」

「仕方ねぇだろ!あの女がお前とはどういう関係なんだってうるさかったから
 ついお前と付き合ってるって言っちまったんだよ!」


「つい・・って・・エラそうーに言うんじゃないわよ!
 どうしてそんなすぐにバレるようなウソつくのよ!」

「だからバレねぇように恋人のフリしろって言ってんだろ!?」

「だからエラそーに言うんじゃないって言ってんのよ!」

「なぁ~頼むよ。もうすぐ此処にあの女が来るんだよ!」


「はぁ~?来るって・・どうして・・?
 ・・って、ここメキシコだよね?」

「俺だってそれぐらい分かってるよ!
さっきホテルで会ったんだよ。
今日、こっちに着いたって言ってたけど・・
俺が一番イヤな言葉言いやがった!」

「・・彼女、何て言ったの・・?」

「俺の顔見るなり“来ちゃった”って・・言いやがった!」

「・・・・・・・」

つくしが肩を震わせて笑っている

「笑うんじゃねぇよ!」

「クッククク・・で、そう言われてあんたは何て答えたの?」

「何も。とにかく今夜10時に此処で会う約束だけして別れた」

「10時って・・後、30分程しか無いじゃない!
 やだ!私、帰る!あんたの問題なんだから自分で何とかしなさいよね!」

「ダメだ!あの女がお前にも会いたいって言ってんだよ!」

「どうしてよ?何で彼女が私会いたいわけ?」

「知らねぇーよ!
 だからお前も此処に居てくれないと困んだよ!」

「・・信じられない・・
 何でそんな話になってんのよ!?私を巻き込まないでよ!」


「悪いと思ってるよ!だから話は全部、俺がするから
 お前は横に居てくれるだけでいいから!なぁ~頼むって!」

何なのよ~・・一体!

「・・ハァ~分かったわよ!
 でもね今回だけだからね!いいわね!」

「分かってるよ、Thanks!」


「ねぇ?一つ聞くけど彼女・・来ちゃったって・・
 もしかして一人で此処まで来たの?」


「あん?・・知らねぇ」

私のOKが出たからだろうかすっかり気を抜いてしまったマットは
素っ気ない返事を返しただけだった

「知らねぇ・・って・・あんたねぇ~!」

マットのあまりの素っ気無さぶりに私が声を荒げると

「何だよ!どうしてそんな事気にすんだよ?」

「普通、気にするわよ!バカね!あんたはどうして気になんないの?
彼女・・ヘインズ家のお嬢様なんでしょ?
だったら、そんな彼女が一人で海外へ旅行なんてする?
彼女ちゃんとご両親にメキシコに行くって事話してきてるのよね?」


「知らねぇーよ!そんなに気になるんだったら自分で聞けよ!
 それにガキじゃねぇんだから大丈夫だろ?
 現に此処まで一人で来てるじゃねぇか!」

「・・そうだけど・・もし、彼女が黙って此処まで来てたら
 今頃、NYで大騒ぎになってるんじゃないの?」

「さぁ~な?だとしても俺には関係ねぇよ!」

「・・はぁ~・・」


「何だよ!ババくせぇな!ため息ばっかつくんじゃねぇよ!」

「吐きたくてついてるんじゃないでしょ!
 ねぇ どうして彼女の事そんなに毛嫌いするの?
 お見合い相手だから?」


「違う!」

「じゃぁ一度ちゃんと付き合ってみたら?
 案外、彼女が“運命の女”かもしれないわよ?」


「そんな訳ねぇだろ!
 あの女は俺の相手じゃない!!」

「そんなの付き合ってみなきゃ分からないでしょ?」

そう言ってグラスに口を付けているとマットが横から抱きついてきた


な、なに・・・?


「ちょ、ちょっと・・くっ付くんじゃないわよ!
 うっとおしい!」

マットを押し返そうとするがなかなか離れてくれない


「ちょっと・・いい加減にしてよ!」


「いいだろ?!俺達恋人どうしなんだから!」

「フリでしょ!フ・リ!」

「総二郎?何やってんだあいつら?」


「知らねぇーよ!俺に聞くな!」

マットが牧野に抱きついているのを見て総二郎の機嫌が悪い

もちろん類も

類は普段から無表情だから分かりにくいけど
長い付き合いの俺には分かる

類は今、最高に怒ってる

「西門さん、先輩とマットさんって二人の時はいつも
 あんな感じなんですか?」

急に桜子に話しかけられてビックリしてしまった

「・・あっ!い、いいや・・仲はいいから
よく付き合ってるって間違われるけど・・
マットがつくしにあんなにベッタリくっ付いてるところなんて初めて見た」

「じゃぁ、今の二人の姿ってものすごくレアな光景なんですね?」


「ああ・・」


俺達が同じ店でそんな会話を交わしているのも

知らずにマットはまだつくしに抱きついている

「ねぇ!いい加減離れてくれない?」

「ヤダね!」

「・・ヤダって・・私はあんたにくっ付かれてるのがイヤなの!
 離れなさいよ!」

抱きついているマットを押し返そうとするのだけど
ますますマットは私の腰に巻きつけている腕に力を込めている

「・・もぅ!
 ねぇ、いい加減ちゃんと答えなさいよ!
 どうして彼女と付き合うのがイヤなの?」

「・・別に理由なんてねぇーよ!」

「ウソ」

「じゃぁ お前だったらどうするよ?
 見合い相手って言うだけで好きでもない相手と付き合えるか?」

「私がお見合いしたわけじゃないでしょ!?」

「だから、もしもだよ!」

「私は・・・」

「ほら!お前だって好きでもねぇ相手ととりあえず付き合うなんて出来ないだろ?!」


「今、私の事はどうだっていいでしょ!
 あんたの事よ!彼女がオフィスに来てた時も怒鳴って
 追い返してたみたいだけどどうして彼女にそこまでするの?」


オフィスでの話が出るとマットは私から身体をはずし

前を向いてグラスを手に持った

手元でグラスを遊ばせたまま

「話したくない」

「どうして?もしかして、それも私が関係してるの?」

私の問いかけにも彼は答えようとしない

「大丈夫だから、話してみて」

少し考えているようだったがしぶしぶマットが話始めた

「・・あの女、お前の事調べてた」


「調べてた?・・って私の何を調べてたの?」

「あのお見合いはどうやらあの女の希望だったらしいんだ。
相手の親は俺との見合いにはあんまり乗り気じゃなかったみたいだけど、
まぁペリー家の次男って事でOKしたみたいだ。」


「どうして其処に私が登場するわけ?
関係ないでしょ?」

「ああ、けど向こうの親が人使って俺の事調べさせたらしい」


「・・あんたの私生活って大抵の人は引くものね」


「うるせぇーよ!そんでお前の事が出てきたらしい。
最初に俺とお前の仲を疑ったのは向こうなんだよ」


「疑ったって・・そんなのちょっと調べれば何でもないって事分かるでしょ?」


「けど、考えてみろよ。俺はお前の部屋の合鍵持ってるしそれにたまに泊まってる。
そういう関係だって思われてもおかしくないだろ?
現に俺達はよく恋人同士に間違われる。」

「何呑気に言ってんのよ!信じられない・・もう!合鍵返して!!」

「ヤダね!それにまだ話は続いてんだよ!」


「まさか・・それで私の事を調べたって言うんじゃないわよね?」


「そのまさかだよ!向こうはお前がライズ家の娘だって事まで
調べられなかったみたいで正体不明の怪しい女って事になってるぞ!」


「何それ?確かに私の情報は伏せられてるけど
正体不明の怪しい女って言うのは失礼じゃない?」

「分かってるよ!」

「その他には何調べられたのよ?」

「後は総二郎と類の事ぐらいだな。
あの女がオフィスまで来て俺がお前と付き合ってて
お前は俺の他にも付き合ってる男がいるんじゃないかって言ってたからな!」


「ちょっと!おかしいでしょ?
いくら総二郎や類の事調べたからってあんたの事だって調べてあるんでしょ?
だったらあんたが夜な夜な繰り返してる事だって知ってるわけよね?」

「そうだけど。俺が付き合ってる女って一回きりで
名前も覚えてないような女ばっかりだろう?」

「えらそーに言うんじゃないわよ!
そんな事、自慢にならないでしょ!」


「けどお前は違う。
仕事だって一緒だし付き合いも長いから気になったんじゃねぇか?」

「だから私と付き合ってるって言ったの?」


「そうだよ!あの女がオフィスにまで押しかけてきてウザかったし
お前と付き合ってるって言えば諦めると思ったんだよ!」

「・・だからって・・」

「イヤなんだよ!俺は!お前の事でとやかく言われんのが!
お前は俺にとって大切な存在なんだ!総二郎や類にしたって同じだ!
俺の大事なダチの事をちょっと調べたぐらいでとやかく判断されんのは
我慢ならねぇーんだよ!!
だからあの女は俺の“運命の女”じゃねぇーんだよ!分かったか!!」

一気に話終えたマットはずっと手元で遊ばせていたグラスに口を付けている


「・・・マット」

俯いてしまったまま顔を上げようとしない彼の横顔が
いつも私に見せる彼の顔とは全く違っていて戸惑ってしまう

確かにマットの彼女に対する態度は冷たいと思う反面
彼らしいとも思ってしまうけれど

彼が私や総二郎達の事を大切に思ってくれている事がなにより嬉しかった






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kirakira
Posted bykirakira

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