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月夜に 34

こんばんは。🎵
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴





午後から俺達は『sakura』が出店する百貨店へと出向いた

出店については日本のスタッフでほぼ完了していて
今日ここまで出向いたのは最終的な確認のため

「あ~あ、終わったね。とうとう日本でも販売が始まるんだね。
 なんか緊張しちゃうなぁ~」

櫻が自分の洋服が並べられる棚を見つめながら独り言のように呟いている・・

「あきら様、櫻様、お疲れ様でした」

声を掛けてきたのは美作商事の社員で『sakura』の販売スタッフのチーフで森口遥

歳は俺より2つ上だけどセミロングの髪を耳にかけ
ビシッとスーツを着こなしたいわゆる出来る女だ
社内でも評価の高い彼女が日本での『sakura』を一手に引き受けている

「お疲れ様です。皆さんのおかげでやっとここまでこれて安心しています。
 本当にありがとうございます」

「いいえ、私達はただ出店の準備をしただけです。
 やっぱり櫻様のデザインがいいからですわ。
 実は販売前から評判が良くて、デパートにも社の方にも問い合わせの電話が多くて、
 私達スタッフもやりがいを感じてるんです。絶対に日本でも成功すると思っています」

「ありがとう。ねぇ、森口さんその”櫻様”って止めていただけませんか・・
 私の方が年下なのに・・だから櫻でいいですよ」

「そういうわけにはまいりません」

きっぱりと言い切られた櫻は

「じゃぁ、せめて”様”じゃなくて”さん”でお願いします」

「分かりました。それでは櫻さんと呼ばせていただきます」

「ありがとう。これからもよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします。
 それでは、私はこのまま社の方に戻りますので」

「森口さん、ちょっと待って。
 櫻?お前これからどうするんだ?」

「歩美さんと約束してるんだけど」

「歩美と?彼女も日本に戻ってんのか?」

「うん。時間は約束してないんだけど、私の仕事が終わったら連絡しますって言ってあるの。
 あきらはどうするの?」

「俺は一旦オフィスに戻る。
 長くはかからないと思うから俺も終わったら電話するよ」

「うん、分かった。
 じゃぁ、歩美さんと三人で夕食でも食べに行く?」

「そうだな。
 森口さん、俺も社に戻るから一緒に乗っていけばいいよ」

「はい、ありがとうございます」

「櫻は篠田呼んであるから。
 ちゃんと車に乗っていけよ!」

「分かった、それじゃぁ、また後でね」

「あぁ、後でな」

デパートを出て迎えに来てくれていた車に乗り込むとすぐに歩美さんに電話をかけた
その時、歩美さんのお友達が私に会いたいと言っているので
一緒に連れて行ってもいいかと聞かれた

彼女の友人が何故、私に会いたいのか疑問だったけど
特に断る理由も見つからなかったのでOKした

今、思えばあの時OKなどしなければよかった

あまりにも突然の自分の過去との対面に
私はどう対処していいのか分からずにその場から逃げ出してしまった







オフィスに戻り仕事をしていると携帯が鳴った

電話をかけてきたのはお袋だった

珍しいな?

お袋が電話をしてくるなんて
何かあったのか?

「もしもし?」

「あきら君?今、櫻ちゃんが帰ってきたんだけど何だか様子がおかしいの。
 帰ってきて部屋に入ったきりで、声を掛けても返事がないの」

「えっ・・・?」

「篠田さんの話しではお友達と会うって入って行ったお店から飛び出してきたんですって。
 お友達と何かあったのかしら?今日会う予定だったお友達の事、何か聞いてる?」

「ああ、大学の友達で俺もよく知ってる女性だから特に問題は無いはずだけどな?
 とにかく俺もすぐに帰るよ」

「分かったわ。
 ごめんなさいね、お仕事中なのに」

「いいよ、じゃぁな」

櫻が部屋から出てこない?

何があったんだ?

歩美と会ってたんじゃないのか?

とにかく櫻の様子が気になる

俺は電話を切ってすぐ上着を取りオフィスを出た

屋敷に着くと櫻の部屋へ直行した

ノックをしても返事は無い・・

部屋の中は電気も点けずに真っ暗なまま櫻の姿は見えなかった

何処だ?

「櫻?居ないのか?」

声を掛けながら中へと進む

暗闇に少しづつ目が慣れてくると
ベッドの向こう側でシーツを頭からかぶりうずくまっている櫻の姿が目に入った

「櫻!どうしたんだ?
 何かあったのか?」

慌てて駆け寄り抱き起こしベッドに座らせた

櫻を座らせると自分も隣に腰掛け
彼女を腕の中に納めもう一度同じ質問をする

「どうしたんだ?
 歩美と会ってたんじゃなかったのか?」

櫻は俺の胸に顔をうずめたまましばらくじっとしていたが
やがてゆっくりと顔を上げて話し始めた

「今日、歩美さんと会ったの。
 歩美さんに友達が一緒でもいいかって言われて断る理由も見つからなくてOKしたの」

「会ったのは彼女一人じゃなかったのか・・?」

「うん。歩美さんに指定されたお店に行ったら、個室に案内されて。
 そこに歩美さん以外に4人の人が待ってたの」

「そいつらに何かされたのか?」

「違うの」

「そうか・・で、そいつらに何か言われたのか?」

「ううん。でもね、その人達、私の事知ってるみたいだったの。
 個室に入ったとたん女の人が抱きついてきて私の事をつくしって呼んだの。
 他の人達も先輩とか牧野って呼んでた」

「えっ・・?!」

もしかしてあいつらと会ったのか・・・・?

歩美はあいつらと知り合いだったのか・・・?

やっぱり一人でいかせるんじゃなかった・・・・・

「私ね・・恐くなって逃げてきちゃったの・・
 ねぇ、あの人達は誰なの?私の事をつくしって呼んだ女の人は誰?
 あきらは知ってるの?」

話しているうちに興奮し始めた櫻

「あぁ、知ってるよ。説明してやるからちょっと落ち着け。
 何か飲む物持って来ようか?」

「ううん、いらない。
 それより早く教えて!」

「分かった・・
 お前が会ったのは、多分パリで話した俺達の仲間だよ」

「あの人達が・・・?」

「そうだ、お前の事をつくしって呼んだのはおそらく滋だろうし
 先輩って呼ぶのは桜子しかいない。後の二人は男だったか?」

「うん」

「男の髪は二人ともストレートだったか?」

「髪?・・・多分?あんまり覚えてないんだけど・・」

「そうか・・じゃぁ、髪の黒い方が総二郎で茶色の方が類だな」

「総二郎に類・・・・・?」

「そうだよ、俺もお前にあいつらを会わせようと思ってたんだけど。
 先越されちまったな」

俺の顔を見上げていた櫻の口からため息が零れた・・

「そうだったの・・じゃぁ、私あの人達に悪い事しちゃったね。
 ずっと私を探してくれてたのに、怖いなんて思っちゃって・・」

「大丈夫だよ。
 ちゃんと事情を話せば分かってくれるよ」

「本当?」

「ああ、俺が嘘言ったことなんかないだろう?」

「そうだね。ねぇ、あの人達の事をもっと教えてくれる?」

「分かった‥さっき言った滋だけ永林で、後の三人は英徳で一緒だったんだ。
 昼に大学のカフェでF4って教えただろ?総二郎と類と俺ともう一人でF4だったんだよ。
 それから桜子はお前より学年が一つ下だよ」

「みんな苗字はなんていうの?」

「滋は大河原、桜子は三条で、総二郎は西門、類は花沢だよ」

「えっ・・?!西門と花沢って・・?
 お父様方の・・・息子さんなの・・・?」

「そうだよ」

「じゃぁ、もしかして・・・・F4の後一人って・・・?
 ・・道明寺の・・・お父様の・・?」

「あぁ、F4の残り一人は道明寺司」

「・・どうみょうじ・・つかさ・・・・?」

その時、あきらの携帯が鳴った

電話を掛けてきたのは歩美だった





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kirakira
Posted bykirakira

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