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月夜に 36

こんばんは。🎵
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴



あきらとの電話を終えると待ちきれない様子で身を乗り出していた滋に襲われた

大げさな表現じゃなくて

まさに俺・・

今、自分の彼女に襲われてる・・

但し、本人に襲っているという自覚はない・・

「ねぇ!あきら君来るって?つくしも一緒?!
 ねぇ、総二郎!どうなのよ!?」

「わ、分かったから、放してくれ!
 ちょっと落ち着けよ!」

「うるさいわね!
 なんでもいいからさっさと教えなさいよ!」

「分かってるってんだろ!
 まず来るのはあきらだけだ、それから司も呼んどいてくれってよ!」

俺が言い終えると滋は落胆したようにソファーにどっかりともたれ込みながら

「な~んだ・・つくし来ないの・・?!」

「仕方ねぇーだろ、驚かせたのは俺達なんだから。
 それにあきらの話しを聞くのが先決だしな・・
 もし牧野の前で司があきらに殴りかかりでもしたらヤバイだろが?!」

「そーだね・・でも、司・・どうするんだろうね?
 やっぱりショックだよね・・?ずっと探してたつくしがあきらと一緒だったって聞いたら・・・
 それに子供はあきらの事をパパって呼んでたわけでしょ・・?」

「あぁ・・そうだな・・どうするかな・・司?」

「血の雨が降るんじゃない?」

黙って俺と滋のやり取りを聞いていた類だった

お前は

またあっさりと・・・

ハァ~

「類!何呑気に言ってんだよ!
 もし司があきらに殴りかかりそうになったら止めろよ!
 いつもみたいに呑気に眺めてんじゃねぇーぞ!」

「分かってるよ、総二郎って心配性だね?」

「うるせーよ!俺だってこんな事で心配したくねぇーよ!」

「そっ、で、司に電話しないの?」

類の言葉に滋と桜子も俺を見ている・・・


「分かってるよ!今からかけるよ!」


携帯を取り出し司の携帯の番号をダイヤルすると
3コールの呼び出しで司は電話に出た








司は会議を終えてオフィスに戻ったばかりだった

秘書も下がらせソファーにどっかりと座り込みながら一息ついていた


「ったく!なんでこんな会議ばっか続くんだよ!」


思わず声に出た苛立ち

今日は朝から一日、会議室とオフィスの往復だけで過ぎてしまった

気がつけばもうこんな時間

ソファーに体を深く預け左手でネクタイを少し緩める

オフィスに一瞬の静寂が降りてくる

こんな時、頭に浮かぶのはあいつの顔だけ

17歳のままの牧野つくし・・

会いたい・・

ただそれだけだった・・

時間が経てば経つほどに不安に押しつぶされそうになる

今、お前が目の前に現れてくれたら俺はもう何もいらないから・・

全て捨ててもかまわない

俺は二度とお前を離さないのに・・

そんな想いに身をゆだねているとふいに携帯電話が鳴った

『もしもし、司か?』

「あぁ、総二郎か?」

『今大丈夫か?』

「あぁ、会議が終わってオフィスに戻ってきたとこだ」

『そうか、仕事まだかかりそうか?』

「いや、どうしたんだ?急用か?」

そう言いながら目の前に置かれていたコーヒーカップを取ろうと手を伸ばしかけた時だった・・・

電話口の総二郎が発した言葉が一瞬何を言っているのか分からなかった

『あぁ、牧野が見つかったんだ』


あまりにもあっさりと告げられた為、総二郎の言葉が上手く理解出来ず声が出ない・・

今・・牧野が見つかったって言ったのか・・?

俺の言葉に電話の向こうの司は黙ったまま
妙な沈黙が降りてくる・・

「おーーい!司!聞いてんのか?」

呼びかけると一瞬の間を置いて

『・・あ・あぁ、聞いてる・・』

「牧野が見つかったんだよ!」

『ほ、本当なのか・・?!
 本当につくしなのか・・?!』

「誰が牧野の事でこんな冗談言うかよ!
 とにかくお前どうする?」

『どうするって!決まってんだろーが!今からすぐ行く
 お前、今、何処にいんだよ!?つくしも一緒なのか?』

司のあまりの声のでかさに総二郎は思わず電話から耳を離す

「いや、今は一緒じゃない。けどちょっと事情が複雑なんだ、
 確かめなきゃいけない事もあるからお前出てこられるか?」

『あぁ、出られる・・けど、事情が複雑ってどういう事だよ!?
 あいつに何かあったのか?オイ!総二郎、教えろよ!!』

「電話じゃちょっと言いにくいから、今から言う店に来いよ」

『分かった!すぐに行くから待ってろ!!』

そう言って電話が切られた・・・

俺の口からはもうため息しか出てこねぇー

「・・たっく、あいつは普通に会話が出来ねぇーのか?
 でっけぇ声で怒鳴りやがって!こっちは耳がいてぇーんだよ!」

「で、司は来るんでしょ?」

「あぁ、すぐ行くから待ってろ!!だってよ!
 今頃、大慌てでこっちに向かってるだろうよ!」

「クックックックッ・・・」

「類・・お前・・この状況でよく笑えるよな!?」

「プックックックッ・・だって・・目に浮かばない?司の姿・・
 今頃、きっとリムジンの運転手さんに怒鳴ってるよ」

「あぁ・・そうだな・・」

ハァ~・・緊張感の欠片も見当たらない類の言葉に力が抜ける・・







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kirakira
Posted bykirakira

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