Family 142

翼は朝からバスケの練習だって出かけてるし
パパが双子ちゃんを連れて行ってくれたから
思いがけず一人でのんびりとした穏やかな休日

お腹の張りもあまり動き回らなければそれほど気にならないぐらいだし
今日は家の事はメイドさんにお願いして
一人のんびりソファーに座りテレビなんて見ちゃってる
信じられないくらい穏やかな休日


翼の動機が不純なバスケにしても
無理やり大会にエントリーされてしまった美作さんから

"なんで俺なんだよ？！"


ってあたしに電話が掛かってきていたけれど


一頻り愚痴を溢し終えると最後には
ため息一つついて

"仕方ねぇーから付き合ってやるけど今回だけだぞ！"


なんて言っていて

今では"俺は忙しいんだぞ！"なんて言いつつ
毎晩のように翼の練習に付き合ってくれている

そしてその大会に関して一つ追加があったみたいでね

大会に出場する為には４人必要だからって
サブのメンバーとして滋さんが仲間入りしたの

類の出場を頑なに拒んだパパ

翼曰く

"父さんってさぁ、バスケと類おじさんって組み合わせにトラウマがあるんだって"


だって‥


まぁ、滋さんはノリノリでヤル気満々みたいだからいいんだけどね‥


パパの言うトラウマって‥

あの時の事でしょ？


20年近く前の事を‥


ハァ～いつまで根に持ってんのよ！


なんて絶対に本人には言わないけど


密かにため息を溢しながらも
一人のんびり休日の午後を過ごしていた


脇に置いていた携帯が鳴った

画面には桜子の名前


「もしもし？桜子？」


『先輩、ご機嫌いかがですか？』


「ちょっとお腹が張ってるけど順調だよ。
そっちはどう？進はちゃんとお婿さんやってる？」


『そうですか、私も大丈夫です。
赤ちゃんは至って順調ですが進さんは相変わらずですわ』


「そ、そうなんだ‥」


進の相変わらずがどう相変わらずなのか‥


知りたいようで知りたくないから
それ以上は詳しく聞かず
電話の用件を聞く


「それでどうしたの？」


『先輩？今日は道明寺さんは双子ちゃんと三人でお出かけですか？』


「ん？そうだけど‥
あんた、なんで知ってんの？」


『先ほどからＳＮＳで道明寺さんの休日のパパっぷりが話題になってますよ』


「へっ？どういうこと？」


休日のパパ？


が


どうしたの？


戸惑うあたしに桜子が説明してくれたのは


どうやら双子を連れてイベントに出かけたパパの姿が
ＳＮＳで拡散していてちょっとした祭り？状態になっているらしい


『あんなイケメンが休日に美少女を二人抱いてデパートに現れたら
目立つに決まってますわ』


「そ、そうなの？」


『えぇ、そうですわ。
あっ、今は双子ちゃんとデパート内の喫茶でブレーク中らしいですわよ。
イチゴのパフェを食べている双子ちゃんの口元に付いたクリームを
拭ってあげているみたいですよ』


「そ、そうなの‥？」


『えぇ、全く、いつ見ても涎物のいい男ですわよ。
それなのにイクメンだなんて！』


イクメンだなんて！で切られてしまった通話


結局、何が言いたかったのか分からない電話だったけれど
桜子との電話を終えてすぐ近くにあったタブレットで検索してみると‥


ぎゃ！？


なにこれ？


朝、デパートの入口にパパ達が現れてから
ほぼリアルタイムでパパ達の写真がアップされている


周囲をＳＰさん達が取り囲んでいるから
はっきりと顔が写っている物はなかったけれど
特徴的なあの髪型はばっちりパパだった


両腕に一人ずつ抱っこしているパパ


双子の写真をとっているパパ


しゃがみこみ目線を合わせ双子と話しているパパ


イチゴのパフェを食べている双子の口元を拭っているパパ


どのパパも

どの双子ちゃんも

全部


笑顔で

楽しそうで

ラブラブで

なんだか

ちょっとだけ

妬けちゃう


休日の午後だった





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