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Fly High 38

こんばんは。🎵
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴


美作さんと別れて一人、ホテルへと戻ったんだけど

すぐに部屋には戻らず少し酔いを醒まそうと

足をビーチへと向けた

月明かりに照らされて白く浮かび上がる砂の上を一人
波打ち際をゆっくり歩いていると
砂浜に座って海を眺めているマットの姿が目に入った

近づき声を掛け隣に腰を下ろす


「どうしたの?こんな所で一人なの?」


「お前こそどうしたんだよ?」


マットの声は意外にも明るいものだった
その様子に少し笑みが零れる

「ちょっと酔いを醒まそうと思ってね。
 で、あんたは?」

「俺は・・俺はちょっと・・考え事だよ・・」

「ふ~ん・・で、なに考えてるの?」

「なぁ、俺ってやっぱりヒドイ男か?
 今日、俺が彼女に取った態度ってやっぱ冷たかったよな・・・
 わざわざこんな所まで俺に会いに来てくれたのに・・」


「フッフフ・・・そうね、確かにヒドイ・・けど、
 あんたいつも女の人に対してヒドイわよ。
 今まで自覚してなかったの?」

「笑うな!俺は真剣に話してんだぞ!」

「分かってるわよ。
 じゃぁ、私も真剣に答えてあげる。」

私の声のトーンがそれまでと変わったのに気付いたマットが
いつもは見せない真剣な顔をこちらに向けた


「プッ!!そんな顔こっちに向けないでよ!」


手でマットの顔を押しのけながら言うと


「こっち向けるなって・・じゃぁ、何処見てりゃぁいいんだよ?!」


「前よ!前、向いてなさい!」


「分かったよ。で、真剣に答えてくれるんだろ?」


俺の言葉に横でケイトが少し笑ったのが分かった
笑われた事にムッとして声を出そうとしたその時
あいつの言った言葉に咽喉まで出掛かっていた声を飲み込んだ


「私ね彼女の気持ち分かるんだ・・」


「彼女って、マーガレットの事か?」


「私もね・・昔、好きな人を追いかけてアメリカまで
 行った事があるから。」


「・・・・・」


驚いて声が出せずにただケイトの顔を見ていた俺に


「もう、そんなに驚く事ないでしょ。」


「・・ああ・・って、お前、それいつの話だ?」


「う~ん、10年ぐらい前かな~。」

「10年って・・お前が17歳の時か?」


「10年前って言ったらあんたも17歳でしょ。」


「そ、そうだけど、17って高校生だろ?」

「あんたもでしょ。」

「お前なぁ~本当に真剣に話す気あんのか?」


「あるわよ。
私ね、17歳の時付き合ってた人がいたの。
 同じ学校で一年先輩だったんだけど、
 その人の家ってすっごいお金持ちで、
 私達が付き合うのも彼のお母様に反対されてて
 いろいろ妨害されたけど、彼の事が本当に大好きだったから、
 諦めたくなかったの。ある日ね、デートして“また明日ね”って
 言って別れた彼が何にも言わないで急にNYに行っちゃったのよ。」


「で、お前はその男追いかけて一人でNYに行ったのか?」


「そう。ビンボーだったのに生活費はたいて、格安航空券買って、
 英語だって話せないし、NYって言ったって詳しい住所だって
 分かんないのに・・行っちゃったのよ。」


「会えたのか?」

「うん、いろんな人に助けられて会う事は出来た。
 でもね、会ってすぐに玉砕しちゃった・・
 “何しに来たんだよ”って“お前は日本に帰れ”って言われたの。」


「わざわざNYまで追いかけて来てくれた自分の女を追い返したのか?
 ヒデー奴だな、そいつ!!」


「・・あんた・・人の事言えないでしょーが!」


「俺はあの女と付き合ってるわけじゃない。
 けど、お前は付き合ってたんだろ?」

「そうよ。けどね、彼はお母様と取引したらしいの。
 自分がNYに残るから私や友達に手を出すなって。」


「だからって追い返したのか?」


「そう。」


「信じらんねぇーその男!自分追いかけて来た女追い返して、
 その理由が親と取引したってか?
 お前、そんなバカな男と付き合ってたのか?」


「・・あのね~。あの時はどうしようもなかったのよ。
 お互いに好きって気持ちだけじゃどうしようも無い事が
 世の中には沢山存在するんだって事が分かったのよ。」


「そんな事ぐらい俺だって分かってるぜ。」


「でもね・・悪い事ばっかりじゃなかったわよ。
 お父様と初めて会ったのもその時だし、類が迎えに来てくれたし。
 NY観光にだって連れて行ってくれたしね。」


「・・・追い返されて・・観光して帰ったのか・・?」


「うん。」


「・・お前って本当にバカだよな。」


「バカにバカって言われたくない・・」


「なぁ~それがお前が昔言ってた“完璧な失恋”なのか?」


「う~ん・・そうだけど・・そうじゃない・・」


「どっちなんだよ?」

「だから・・“完璧な失恋”って言ったのはその後の話なの。
 でも、よく覚えてたわよね?一度、言っただけなのに。」

「ああ、ずっと気になってた。お前が恋愛話すんのも珍しいし、
 失恋に完璧ってどういう意味なのか分かんなかったからな。」


「そう・・・」


「なぁ、どういう意味なんだよ?」


「知りたいの?」

「・・えっ!?ああ・・いや、話たくなければ別にいい・・」


「フフフフ・・そんな顔しなくてもいいわよ。
 もう何年も前の話なんだから・・いいわよ、話してあげる。」


軽く目を閉じ、ゆっくりと息を吐き出したケイトが

昔話

と言って俺に話してくれた
切なくて心が張り裂けそうな恋の話





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kirakira
Posted bykirakira

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