fc2ブログ

月夜に 38

こんばんは。🎵
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴

本日の更新情報です。
本日は
『Fighting! 4』
『Fly High 38』
『月夜に‥ 38』
の3本立てです。♥



やっとあきらが到着した

あきらの姿を見るなり司が立ち上がり
掴みかかろうとしたので総二郎が慌てて押さえ込む

やっぱり、こいつ・・俺の話し・・聞いてねぇ~!

部屋に入ってきたあきらは少し俯き加減で俺達から目を逸らしていた

「遅くなってすまない」

「いいよ、こっち座れよ。
 何か飲むか?」

「いや、いい・・」

そう言ってあきらが座ったのはちょうど司の目の前

偶然、あきらと司はテーブルを挟んで向かい合う形になってしまった

司はまだ総二郎に片腕を掴まれたままであきらを睨みつけている

そこへ類が涼しい顔でいきなり核心に触れる

「ねぇ、あきら?
 牧野っていつから記憶が無いの?」

司から視線を逸らすように俯いたままだったあきらだったが
類の言葉には驚いたように顔を上げた

「・・お前ら・・なんで・・その事知ってんだ?」

「って事はやっぱり俺達の考えは当たってたんだね?
 今日、牧野に会ったけど俺達の事が分からないみたいだったから
 そうじゃないかなって思ったんだ」

「そ、そうか・・・」

「でも、どうして?あきらが牧野と一緒なの?
 まさか、あきらと牧野って結婚してるとかってないよね?」

「あぁ、それは無い・・あいつは今、俺の妹になってる」

「いもうと・・本当だったのか・・?」

「牧野は6年前に美作家の養女になった。
 名前は美作櫻だ」


「それは6年前から記憶が無いってことか?」

「そうだ」

「ねぇ、あきら君?どうして?
 どうしてつくしこんな事になっちゃったの?
 お願い、教えて!」

滋があきらに縋り付くようにして聞いている・・・・


「6年・・正確には6年半だな・・
 俺は車の中から雨に濡れて道端でうずくまってたあいつを見つけて
 屋敷に連れて帰ったんだ。どうしてあいつがあんな所に居たのか
 俺にもわからない。ただ屋敷に連れて帰ったあいつは熱がすごくて4日間意識が無くて、
 目を覚ました時は自分の名前すら覚えてなかった」

「それじゃぁ・・先輩はご自分が誰なのかも忘れてるんですか・・?」

「ああ、今でも思い出してない。
 牧野つくしって名前は俺が教えたから知ってるだけだ」

「あきら、俺と類は今朝、メープルに居たんだ・・
 あの子供・・お前の子供なのか?」

「そうか・・今朝・・お前らも居たのか・・
 なぁ司・・俺があいつを屋敷に連れて帰った時、妊娠してたんだ、
 誰の子供かは言わなくても分かるだろ?」

「・・・俺の子供・・俺が父親なんだな・・?」

「そうだ、だけど櫻は子供の父親が誰なのか覚えていない」

「だけど、それがどうして牧野があきらの妹って事になるわけ?」

「それは俺にも予想外だったよ」

そう言ってあきらは初めて少しだけ顔を緩めた・・





ゆっくりと語られ始めた俺達の知らないあきらと牧野の時間

「俺はとにかく何も覚えてないあいつをほっておけなくて
 親父にあいつが無事に出産するまで家で預かる事と
 後見人になって欲しいって頼むためにパリに行ったんだ。
 パリに着いたら待ってたのは俺の親父だけじゃなかった」

「俺や総二郎のお父さんも居たんでしょ?」

「あぁ、それに司の親父さんもな」

「どうして?俺達の親父がそこに居たんだ?」

「親父達は牧野の事を知ってたらしい。
 ずいぶん前から司と牧野の事を知ってたみたいで、
 俺が聞いた時は全員”牧野のファン”だって言ってたからな・・」

「親父が牧野のファン・・?
 なんだそれ?」

「俺もそう思ったけど、とにかく俺がパリに行った時には全て決まってた。
 俺はそこで櫻を美作家で引き取る事、パリで俺と一緒に暮らすこと、
 櫻の情報を隠すこと、それに櫻の家族の仕事の事を聞かされて、
 後は俺が櫻を説得するだけだった」

「親父がずっとあいつの事隠してきたってことなのかよ!?」

だから・・俺の横でいちいち怒鳴るな!

普通に話せ!

「あきらはそうする事が一番だって思ったんでしょ?」

怒鳴り声の司とは対照的に冷静な類の声だった

「あぁ・・そうだな・・
 あの時はそう思った」

「でも、どうして司の記憶が戻った時すぐに教えなかったの?」

「あの当時はまだ出産前でパリでの生活にもやっと慣れはじめて
 精神的にも安定してきたところだったんだ。
 それに司は思い出したかもしれないけど櫻は何も思い出してないんだ」

「それが俺に言わなかった理由だって言うのかよ!?」

「そうだ・・なぁ司?
 あの頃もし櫻が妊娠していて俺と一緒にパリに居るって知ってたらどうしてた?」

「そんなもん決まってるだろーが!
 すぐにあいつを迎えに行ったよ!」

「それで?」

「NYに連れて帰って、すぐに入籍したに決まってんだろ!
 分かりきったこといちいち聞くな!」

だから・・

怒鳴るなって・・!

「だから言わなかった」

「あきら!てめぇ!さっきから大人しく聞いてりゃ
 勝手な事ばっかり言ってんじゃねぇーぞ!」

怒鳴ってはいたが大人しく座っていたので総二郎も油断していた

司がいきなり立ち上がりあきらに殴りかかった

慌てて止めに入ったが間に合わず部屋の隅まで吹っ飛んだあきら

滋と桜子に助け起こされたあきらの口元からは血が滲んでいた

まだ殴りかかろうとしている司を押さえ込みながら

「司!止めろ!
 類!ボーっと見てんじゃねぇ!手かせ!」

類は総二郎に言われて仕方がないという顔で司を止めに入った

さすがに二人に押さえ込まれて身動きが取れなくなった司は
大人しくなったが肩で息をしたままあきらを睨み付けている

司の腕を引っ張り無理やりソファーに座らせようとしたけど
仁王立ちのままピクリとも動かない・・

そんな緊迫した雰囲気の中で全く周りの空気を読まない類が司を刺激する

「俺はあきらのした事、間違ってないと思うよ。
 もし俺があきらの立場でも同じ事しただろうし」

・・ったく・・勘弁してくれよー類!

確かに・・俺だってあきらの立場だったら同じ事をしたかもしれないけど

今、それを言う必要ねぇーだろーが!

「類!これ以上、司を刺激すんな!」


類の言葉を聞いた司の怒りの矛先が今度は類に向かい始める


・・ったく単純バカ男!

いちいち反応すんな!!

「類!てめぇーもあいつに惚れてるからそんな事言ってんだろーが!
 お前も俺からつくしを遠ざけたいだけなんだろ!!」


・・どうして・・そうなる・・?


今にも飛び掛りそうな勢いの司の横で類は平然とした顔のままで


「う~ん、確かに今でも牧野の事は好きだけど。
 それは関係ないよ。だって、今の司に牧野を会わせても牧野は幸せになれないもん」


類・・

もう・・いい加減にしてくれ・・

「んだと!?」

もう勘弁してくれよ・・

話しがちっとも前に進まねぇーじゃねぇーかよ!!

類の言葉を聞いてさらに怒りのボルテージを上げてしまった司の前に
いきなり滋が歩み出た



応援ありがとうございます。
スポンサーサイト



kirakira
Posted bykirakira

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply