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月夜に 40

こんにちは。🎵
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴

本日の更新情報です。
本日は
『Fighting! 6』
『Fly High 40』
『月夜に‥ 40』
の3本立てです。♥





「ところで子供の名前って何?」

「雛だ」

「ふ~ん、あの子、雛ちゃんって言うんだ。
 かわいい名前だね」

「そうだな・・櫻が自分で名付けたんだ。
それに『sakura』の洋服だって元は櫻が雛の為にデザインしたもんだからな。
なぁ、司?雛はお前にそっくりだぞ!外見も性格もな
誰が見てもお前の子供だってすぐに分かるよ。
我がままだし気も強いから櫻も手を妬いてるよ」

「あきら・・あいつの事もっと詳しく教えてくれないか・・」

今の司はどんな気持ちなのだろうか?

自分の愛している女と子供の近況を親友に尋ねなければならないなんて


辛すぎる・・・


そこには俺たちの知らない二人だけの長い時間が存在している

俺はその現実と向き合わなければならない司が心配だった

だけどそれをクリアしなければ俺たちは前には進めない事も分かっている

「櫻は今、芸大の2年生で雛はもうすぐ小学生になる」


「ねぇ、つくしはどうしてカメラを専攻してるの?
 つくしって写真に興味あったっけ?」

「パリに行った当初は言葉も分からなくて
環境の違いから体調を崩した時もあったんだけど
3ヶ月ぐらいで少しづつ落ち着いてきて
その頃からだな休みのたびに俺はあいつに連れ回されるようになったんだ。
最初はありきたりな観光地ばっかりだったけど
あいつは行く先々で俺が持ってたデジカメで写真を撮り始めたんだ。
それからは屋敷の中でも庭のバラだとか俺や親父達にメイドまで
目に付くものを片っ端から写真に納めてた」

「先輩ってそんなに写真好きでしたっけ?」

「さぁ?あいつが写真好きだなんて話し聞いたことねぇけどな?」

「俺も知らない」

「俺もあいつに聞いたことがあるんだ。
なんでそんなに写真ばっか撮ってんだって?
そしたらあいつ・・なんて言ったと思う・・?」

「つくしは何て答えたの?」

「あいつは・・写真に撮っておけばもしまた忘れてしまっても
 思い出せるかもしれないって言ったんだ・・」

その言葉を聞いて滋だけじゃなく桜子も歩美も泣き出してしまった

男達は何も言えずただ俯くことしか出来なかった

静かな部屋で女達の泣き声だけが響いている・・・

牧野は一体どんな気持ちで過ごしてきたのだろうか?

牧野は一体どれだけの涙を流してきたのだろうか?

牧野は一体どれだけの眠れぬ夜を過ごしてきたのだろうか?

それを考えると胸が張り裂けそうになる・・

そしてあきらは片時も牧野の傍から離れることなく彼女を支えてきた

なぁ・・あきら・・?

お前、どんな気持ちだったんだ・・?

「櫻も思い出したいと思ってんるんだ、だけど怖いって言ってた。
 自分の事を知ってる人に会うのが怖いって」

「私達に会うのが・・怖い・・の・・?」

「ああ・・だからあいつと会っても焦らないでやって欲しいんだ。
 櫻の性格は照れ屋なところも一人で抱え込むところも鈍感なところも
 本質的には変わってない、けど今のあいつは人と深く関わろうとしない
 どこか他人と距離を置いて接してる。自分の事だってあまり人に話さないし
 パリでの生活で櫻が友達だって俺に紹介したのは歩美ちゃんぐらいだから」

「なぁ・・あいつ・・付き合ってた男とかっていないよな?」

「・・お前・・俺の話し聞いてたか?
 安心しろ、そりゃ大学で話しぐらいはするだろうけどデートした事もないよ」

「・・そうか・・」

「だからお前らが櫻に会っても打ち解けるのに時間が掛かるかもしれない、
 気長に付き合ってやって欲しい。
 司、辛いだろうけど焦らないでやってくれ、頼む」

まっすぐに司の目を見て話すあきらと
そんなあきらとは対照的に苦しそうな表情で
目を逸らしたままの司が搾り出すような声で答えた

「・・分かった」

「大丈夫だよ、あきら。
 俺たちもう一度、牧野と友達になるからさ」

「そうだよ!類君の言うとおり。
 私もつくしと何度だって友達になる!」

「滋さんだけじゃないですよ、私だって先輩と何度だって友達になります」

「そーだな、俺も一緒だ!
 司!お前もだろ?」

「・・あぁ・・そーだな」

「お前なぁ~そんな暗い顔ばっかしてんじゃねぇーよ!
 思い出してみろ!牧野は最初、類に惚れてたんだぞ、お前の事は
 大嫌いって言って逃げ回ってたのに結局はお前を選んだんだぜ!
 大丈夫だよ、あいつなら記憶がなくても又、お前を選ぶよ」

「ねぇ、やっぱりつくしって呼ぶのってよくないよね?」

「そうだな、出来れば櫻って呼んでやってくれないか?
 それから昔の事はあまり詳しく教えないで欲しい。
 あいつが自分で思い出さない限り前には進めないから」

「うん、分かったよ」



「ねぇ、牧野は俺達の事どれぐらい知ってるの?」

「日本に帰る前に友達が居て探してるって事は話してある。
 それに今日、英徳に連れて行ってきたし、F4とお前達の名前は教えておいたよ。
 それぐらいだな」

「雛ちゃんの父親の事は?」

「F4の中にいることは知ってるけど、誰なのかは教えてない。
 なぁ、司、お前今一人か?」

「どういう意味だよ!」

「そのまんまの意味だよ。
 お前、今付き合ってる女とかいないんだな?」

「そんなもんこの6年間一人もいねぇよ!」

「そうか」

「お前はさっきから何が言いたいんだよ!?」

「司、櫻はお前が雛の事を迷惑に思うんじゃないかって心配している」

「そんな事思うわけねぇだろうがー!」

「分かってるよ。だからそう言ってあるけど、
 もし記憶が戻ったら櫻の意志を尊重してやって欲しい」

「それはあいつが俺の所にはもう戻って来ないって事なのか?」

「分からないよ。それは櫻が決める事だから。
でも前にあいつが言ってたんだ
“記憶が戻っても好きって気持ちまで戻ってくるかは分からない”って」

「何だよそれ!何であいつそんな事言うんだよ!?
もう俺の事なんてどうでもいいって事なのか!
なぁ、あきら!どうなんだよ!?」

司が再び立ち上がり興奮し始めた

「司!落ち着けって!あきらはそんな事言ってねぇだろう!」

「そうだよ。とにかく座ったら?
 それにね6年たってるんだからいくら子供が居るからってやり直せるとは限らないよ」

「類、お前はしゃべんな!
 話しがややこしくなる!」

「何なんだよ!
 俺はこの7年間ずっとあいつの事だけを考えてきたのに・・・・
 なのにやっと見つかったと思ったら、もう俺の事は必要ないのか・・?」

司が額に手をやりながら俯いたままつぶやいている

そんな司に滋が明るい声で励ます

「もう!司、まだ決まったわけじゃないんだからそんなに落ち込まないでよ!
 本当にバカなんだから!それにさっき類君も言ったでしょ?
 もう一度、友達になるって。だから司ももう一度最初っからやり直せばいいじゃない!
 またつくしに愛してもらえるようにがんばってよ!」

「・・・・・そうだな・・・」

「司?自信ないの?
 だったら俺が貰うよ。司の子供だったら俺、大丈夫だから。
 ちゃんとかわいがるから、心配しないでいいよ、諦めるなら早く言ってね。
 俺、がんばるからさ」

ハァ~頼むから、類、もうやめてくれって!


「何だと!誰がお前なんかに渡すかよ!
 あいつは俺のもんだ!諦めるわけねぇだろーが!」

「そう!じゃぁ、がんばって」

あっさりと言った類に拍子抜けしたのか
がんばれと応援されて少しどもってしまっている

「お、おう・・・がんばるよ!
 だから類、お前は手出すなよ!」

「それは分かんない。だって牧野が今度は俺を選んでくれるかもしれないし。
 なんて言ったって俺は牧野の初恋の相手だからね」

涼しい顔でそう言い放った類・・・

「もう、いい!お前ら二人だけでやってくれ・・・俺達を巻き込むな!
 もう勘弁してくれ!」

類の挑発に司が反応する

ある意味これも懐かしい光景ではあるな・・





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kirakira
Posted bykirakira

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