Fly High 42
こんにちは。🎵
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴
女は早口でそれだけ言うとすぐに背を向けて立ち去ってしまった
あの女は昔、確かに俺と付き合っていると言っていたのに
今日は違うと否定した・・・
俺はあの女にどんな答えを期待していたのだろうか?
俺はあの女に何を聞きたかったんだろうか?
あんな女、どうだっていいはずなのに・・
俺とは何も関係ないはずなのに
なのに・・
どうしてこんなにも気持ちがざわつくんだ?
どうしてこんなにも心が乱れるんだ?
俺が忘れているのあの女の事なのか?
そもそも俺は思い出したいと思っているのか?
もし思い出したとして今さらその記憶に何の意味があるというのだ?
動けないまま二人の後ろ姿を見送っていた
男が女の肩を抱いた
女が男の腰に腕を回した
それだけなのに・・
寄り添い歩くその後姿に再び体中の血液が逆流していくような感覚を覚える
体中が熱くて
駆け寄り女から男を引き離したい衝動に駆られ
訳の分からない感情に押し流されそうになる
しばらくその場から動けないでいた
聞こえてくるのは砂浜に寄せては返す波の音だけ
無数の星がちりばめられた夜空の中心のぽっかりと浮かんでいる月だけが俺を見ていた・・・
牧野が店を出て行ってからもしばらくは一人で飲んでいたが
こんな場所でこんな時間に一人で酒を飲んでいると次々と女が
これ見よがしにスツールを一つ空けて腰を下ろしねっとりとした
視線を向けてくる
いつもの俺なら愛想笑の一つでも返すところだが
あいにくと牧野と再会した今夜はそんな気分じゃない
8年ぶりに再会した牧野の笑顔を俺の名前を呼ぶ声をしっかりと
脳裏に焼きつけるように目を閉じると2杯目のスコッチを飲み干して店を出た
ホテルへと戻る途中で今夜が満月だと気付いた
月を見ると思い出すのはやっぱり牧野の事・・
普段は呆れるほど鈍感なくせに時々鋭い一言を俺の心に残していく
自分の気持ちよりも周りの人間の感情を考え
自分の幸せを犠牲にしてもそれを優先させる
不器用だけど持ち前の根性とあの小さな身体の何処にそんなパワーが
潜んでるんだと思うくらいの元気で人生を切り開いていくパワーを持っている
生まれた時から全てを与えられるだけの俺達と
汗を流し努力して手に入れてきたあいつと比べるまでもない
あっさりと俺達の心の中へと入ってきた牧野は
将来の希望などなく満たされる事など無いと思っていた
俺達に人生とは自分の力で切り開くものなんだと教えてくれた
感情と言えば怒りと苛立ちだけで他人に対して心を動かされる事など
無いと思っていた司が本気で惚れて
司とは逆にどんな感情も表に出す事の無かった類を変えた
そして今は総二郎までが側に居るだけで苦しくなるほどの想いに身を焦がしている
なら俺は?
俺はどうなのだろうか?
あの頃の牧野は司の彼女だった・・
俺があいつへの想いにストップをかけたのは
牧野が親友の彼女だったからで
なら今は?
今は違う・・よな?
もう自分の心にストップをかける必要など何処に無いはず
類は類のやり方で
総二郎は総二郎のやり方で
なら俺は俺のやり方でやってみようか・・?
恐らく俺の想いが成就する事など万に一つの可能性もないだろうけれど
俺は今日、自分の気持ちをはっきりと認識してしまった
俺は牧野つくしに惚れている
なら一度ぐらいその気持ちに正直に生きてみても悪くねぇーだろ?
ホテルへと帰り着き部屋へと戻るためロビーを横切り
エレベーターの前までやって来た
エレベーターの横はガラス張りになっていてプールが見える
月明かりが水に反射して水面に宝石をちりばめたように
キラキラと輝いている
そのキラキラの中に人影が見えた
時計を見ると夜中の12時を回っている
こんな時間に物好きな奴がいるもんだと思いエレベーターを待っている間
見るともなしに視線を向けていた
チーンという高い音と共にエレベーターの扉が開いた
乗り込もうと一歩足を踏み出しかけた時
一人だと思っていた水面にもう一人別の人影が見えた
その姿はまるで水の中から生まれてきた人魚のようで
一瞬、息をするのを忘れた・・

応援ありがとうございます。
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴
女は早口でそれだけ言うとすぐに背を向けて立ち去ってしまった
あの女は昔、確かに俺と付き合っていると言っていたのに
今日は違うと否定した・・・
俺はあの女にどんな答えを期待していたのだろうか?
俺はあの女に何を聞きたかったんだろうか?
あんな女、どうだっていいはずなのに・・
俺とは何も関係ないはずなのに
なのに・・
どうしてこんなにも気持ちがざわつくんだ?
どうしてこんなにも心が乱れるんだ?
俺が忘れているのあの女の事なのか?
そもそも俺は思い出したいと思っているのか?
もし思い出したとして今さらその記憶に何の意味があるというのだ?
動けないまま二人の後ろ姿を見送っていた
男が女の肩を抱いた
女が男の腰に腕を回した
それだけなのに・・
寄り添い歩くその後姿に再び体中の血液が逆流していくような感覚を覚える
体中が熱くて
駆け寄り女から男を引き離したい衝動に駆られ
訳の分からない感情に押し流されそうになる
しばらくその場から動けないでいた
聞こえてくるのは砂浜に寄せては返す波の音だけ
無数の星がちりばめられた夜空の中心のぽっかりと浮かんでいる月だけが俺を見ていた・・・
牧野が店を出て行ってからもしばらくは一人で飲んでいたが
こんな場所でこんな時間に一人で酒を飲んでいると次々と女が
これ見よがしにスツールを一つ空けて腰を下ろしねっとりとした
視線を向けてくる
いつもの俺なら愛想笑の一つでも返すところだが
あいにくと牧野と再会した今夜はそんな気分じゃない
8年ぶりに再会した牧野の笑顔を俺の名前を呼ぶ声をしっかりと
脳裏に焼きつけるように目を閉じると2杯目のスコッチを飲み干して店を出た
ホテルへと戻る途中で今夜が満月だと気付いた
月を見ると思い出すのはやっぱり牧野の事・・
普段は呆れるほど鈍感なくせに時々鋭い一言を俺の心に残していく
自分の気持ちよりも周りの人間の感情を考え
自分の幸せを犠牲にしてもそれを優先させる
不器用だけど持ち前の根性とあの小さな身体の何処にそんなパワーが
潜んでるんだと思うくらいの元気で人生を切り開いていくパワーを持っている
生まれた時から全てを与えられるだけの俺達と
汗を流し努力して手に入れてきたあいつと比べるまでもない
あっさりと俺達の心の中へと入ってきた牧野は
将来の希望などなく満たされる事など無いと思っていた
俺達に人生とは自分の力で切り開くものなんだと教えてくれた
感情と言えば怒りと苛立ちだけで他人に対して心を動かされる事など
無いと思っていた司が本気で惚れて
司とは逆にどんな感情も表に出す事の無かった類を変えた
そして今は総二郎までが側に居るだけで苦しくなるほどの想いに身を焦がしている
なら俺は?
俺はどうなのだろうか?
あの頃の牧野は司の彼女だった・・
俺があいつへの想いにストップをかけたのは
牧野が親友の彼女だったからで
なら今は?
今は違う・・よな?
もう自分の心にストップをかける必要など何処に無いはず
類は類のやり方で
総二郎は総二郎のやり方で
なら俺は俺のやり方でやってみようか・・?
恐らく俺の想いが成就する事など万に一つの可能性もないだろうけれど
俺は今日、自分の気持ちをはっきりと認識してしまった
俺は牧野つくしに惚れている
なら一度ぐらいその気持ちに正直に生きてみても悪くねぇーだろ?
ホテルへと帰り着き部屋へと戻るためロビーを横切り
エレベーターの前までやって来た
エレベーターの横はガラス張りになっていてプールが見える
月明かりが水に反射して水面に宝石をちりばめたように
キラキラと輝いている
そのキラキラの中に人影が見えた
時計を見ると夜中の12時を回っている
こんな時間に物好きな奴がいるもんだと思いエレベーターを待っている間
見るともなしに視線を向けていた
チーンという高い音と共にエレベーターの扉が開いた
乗り込もうと一歩足を踏み出しかけた時
一人だと思っていた水面にもう一人別の人影が見えた
その姿はまるで水の中から生まれてきた人魚のようで
一瞬、息をするのを忘れた・・

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