月夜に 43
こんにちは。🎵
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴
本日の更新情報です。
本日は
『修羅場ってる?-NY編- 2』
『Fly high 43』
『月夜に‥ 43』
の3本立てです。♥
翌日からは俺も櫻も仕事で忙しい日々が続き
雛は相変わらず親父達やお袋が毎日どこかへ連れ出していた
福岡に住む櫻の家族とは阿蘇の近くの温泉で落ち合い久しぶりの対面を果たした
思っていたより櫻の動揺は少なく
たった一晩だったが家族で楽しく過ごしていた
いよいよあいつらに会わせる時が来たな
あれ以来、総二郎や類からは何度か連絡はあったが司からは一度も無かった
明日、道明寺家で開かれるパーティに俺達は招待されている
パーティ自体はごく内輪な物で俺の両親と双子達も招待されていた
パーティーの主催者は司の親父さんで椿姉ちゃん達も帰ってくるらしい
そのパーティーで櫻は6年半ぶりに司と再会する
部屋で仕事を片付けているとノックの音がして櫻が入ってきた
時計を見ると12時を少し回ってる
「まだ起きてる?」
「あぁ、仕事してた、どうしたんだ?」
「う・・ん、なんだか眠れなくて・・
ねぇ、少し飲まない?」
櫻は自分の手に持っていたワインを俺に見せた
「あぁ、いいよ」
ワインのボトルを受け取りコルクを抜き、
二人分のグラスにワインを注ぎ一つを彼女に手渡した
「ありがとう」
俺からグラスを受け取り微笑んでいる櫻のグラスに自分のグラスを軽く当てた
少しだけ開いていた窓から入ってきた風にレースのカーテンが踊る
庭に咲くバラの香りが風と共に部屋に入ってくる
俺はソファーに座る櫻の横に移動し腰をおろした
俺が座るのはいつも櫻の左側・・・
グラスを持ったままゆっくりと櫻の肩に腕を回すと櫻が体を預けてくる
互いのぬくもりを感じながらしばらくそのままで過ごす
いつもならこのままで終わるのに今夜は違った
前を向いたまま櫻が突然話始めた
「ねぇ、明日・・・・」
俺は驚いて櫻から少し体をはずし彼女の顔を覗き込むが
櫻の表情に変化はない
「・・・・・明日・・・・どうしたんだ・・・?」
少し驚いている俺の声に櫻は軽く微笑んでいる
「クスッ・・・そんなに驚かないでよ、話にくいでしょ」
「あぁ・・悪い・・・」
「ねぇ、明日のパーティーって雛の父親も来るのよね?」
「・・あ、あぁ・・・」
「雛の父親って道明寺さんよね?」
あまりに突然の事で何と答えていいのか分からない
「どうしてそう思ったんだ・・・・?」
櫻はまだ俺の方を見て笑っている・・・
「だってあきらはこの前、F4の中に雛の父親がいるって言ってたじゃない」
「・・あぁ、そうだったな・・」
そうだ、確かに俺は英徳のカフェでそう言った
「4人の内、まずあきらは違うでしょ。
それにこの前会った、西門さんと花沢さんは全然雛に似てなかったもの、
だとしたら残りの一人、まだ会っていない道明寺さんしかいない・・・・でしょ?」
「・・お前にしては上出来だな」
「あきらはこの前、道明寺さんに会ったの?」
「会ったよ」
「じゃぁ、道明寺さんは私の記憶が無い事も雛が居る事ももう知ってるのね?」
「ああ、知ってるよ。
司はお前が見つかって喜んでたぞ!
それに自分に雛って子供が居る事も喜んでたし会いたがってたぞ。」
「・・そ、そう・・・」
「嬉しくないのか?」
「う・・ん・・雛の事はホッとしたけど、実感がないの。
私、彼の事知らないから‥会っても彼の事傷つけるだけなんじゃないかって」
「あいつ、言ってたぞ。お前が忘れてるんだったら、
もう一度お前に愛してもらえるようにがんばるって。
だから、お前も記憶が有るとか無いとかじゃなくてもう一度
あいつとちゃんと向き合ってみたらどうだ?」
「ちゃんと向き合っても私が彼の事を愛せなかったら?
どうなるの?」
「それなら仕方ないよ、
あいつもお前の事諦められるだろ?」
「私、彼と付き合ってたのよね?」
「あぁ」
「ねぇ、教えて・・・・」
短い言葉・・・
櫻が何を言いたいのかすぐに分かった
「・・・・・・」
俺がどうしようか迷っていると
「あきら、大丈夫だから」
「本当に、大丈夫なのか?」
「うん、だから教えて欲しい」
「・・・・分かったよ。
けど、どうしたんだ急に・・・?」
「急じゃないよ‥ずっと考えてたの」
「何を・・・?」
「記憶を失くした理由・・・・」
「理由・・・・?」
「そう。理由・・・前にあきらが言ってたでしょ?
あの頃の私って精神的に辛い状況だったって‥」
「ああ・・・言ったけど・・・」
「私、この6年間ずっと思い出す事だけを考えてきたでしょ?
ずっと思い出さなきゃって・・・・そればっかり考えてきた・・・
でもね、実際は何一つ思い出せてない。それどころか私はどんどん
美作櫻になっていくの、私の中にかすかに残っていた牧野つくしが
消えていくような気がして・・最初の頃はそれじゃダメだって思ってたんだけど
最近じゃそれでもいいかなっーて思い始めてる・・」
「お、お前・・・ちょっと待て・・・」
「最後まで話聞いて」
そう言って穏やかに微笑む櫻を見ていると次の言葉がつなげなかった
「私、どうして思い出せないんだろうって考えたの。
どうして牧野つくしに戻れないんだろうって・・・
私、きっと自分でも気付かないうちに思い出す事を拒否してるんじゃないかって・・・」
「思い出したくないのか・・・・?」
「そう思っただけよ。私、今幸せだよ。だから≪牧野つくし≫だった頃の
つらい気持ちを思い出すのが怖いんじゃないかって・・・思ったの
それに・・明日、みんなと会うでしょ?彼らから聞きたくないの
明日、その場で聞いちゃうと、きっとパニックになっちゃうと思うし
だからあなたから聞きたいの・・・牧野つくしの事」
「それはお前が自分で思い出さないと意味が無いって言っただろ」
「それは分かってるんだけど‥いい加減嫌になるのよ。
私は何も分からないのに、相手は知ってるのよ。
明日、他の人に聞かされるのは嫌なの!
他の人からじゃなくてあなたから聞きたいの‥
だからお願い、教えて‥」
「それからもう一つ・・・・」
「まだあるのか・・・・」
「私の記憶が無くてもクリアしなきゃいけない問題ってあるでしょ?」
「もしも・・・・」
「もしも・・・?」
「もし、明日、道明寺さんと会ったら全部思い出すかもしれない・・・・
多分、そんな事はないと思ってるけどね・・・・
思い出せない私は道明寺さんの事、雛の父親だって認められないかもしれないの・・・・
ねぇ、怒らないで聞いてくれる?」
「・・・なんだ?」
「あのね・・今の私は雛の父親って言ったら思い浮かぶのはあなたなの・・・」
「ハハハハ・・・なんだ、そんな事か・・・・」
「ちょっと・・何がおかしいのよ!
人が真剣に話してるのに!」
「だって・・・お前・・・ハハハハ・・そんな事当たり前だろうが・・・
俺は雛が産まれる前からずっと一緒にいるんだぞ!
今頃何言ってんだ?バカだな!それに俺はずっと雛の父親のつもりなんだけどな、
大丈夫だよ、そんな事気にしなくても。それに司とはゆっくりやっていけばいいんだから」
「・・だからね、知りたいの私と彼の間に何があったのか。
そうじゃなきゃ、私は前に進めないの」
「・・・・分かったよ、でも、俺も全てを知ってるわけじゃないんだぜ。
それでもいいのか?」
「構わない」
「そうか・・まず俺がはっきりと言えるのは雛は司の子供だって事と
司は今でもお前を愛してるしもう一度やり直したいと思ってるよ」
俺は櫻になるべく感情を排除した事実だけを話した
牧野つくしと俺たちの出会いから別れまでを・・・・・

応援ありがとうございます。
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雛は相変わらず親父達やお袋が毎日どこかへ連れ出していた
福岡に住む櫻の家族とは阿蘇の近くの温泉で落ち合い久しぶりの対面を果たした
思っていたより櫻の動揺は少なく
たった一晩だったが家族で楽しく過ごしていた
いよいよあいつらに会わせる時が来たな
あれ以来、総二郎や類からは何度か連絡はあったが司からは一度も無かった
明日、道明寺家で開かれるパーティに俺達は招待されている
パーティ自体はごく内輪な物で俺の両親と双子達も招待されていた
パーティーの主催者は司の親父さんで椿姉ちゃん達も帰ってくるらしい
そのパーティーで櫻は6年半ぶりに司と再会する
部屋で仕事を片付けているとノックの音がして櫻が入ってきた
時計を見ると12時を少し回ってる
「まだ起きてる?」
「あぁ、仕事してた、どうしたんだ?」
「う・・ん、なんだか眠れなくて・・
ねぇ、少し飲まない?」
櫻は自分の手に持っていたワインを俺に見せた
「あぁ、いいよ」
ワインのボトルを受け取りコルクを抜き、
二人分のグラスにワインを注ぎ一つを彼女に手渡した
「ありがとう」
俺からグラスを受け取り微笑んでいる櫻のグラスに自分のグラスを軽く当てた
少しだけ開いていた窓から入ってきた風にレースのカーテンが踊る
庭に咲くバラの香りが風と共に部屋に入ってくる
俺はソファーに座る櫻の横に移動し腰をおろした
俺が座るのはいつも櫻の左側・・・
グラスを持ったままゆっくりと櫻の肩に腕を回すと櫻が体を預けてくる
互いのぬくもりを感じながらしばらくそのままで過ごす
いつもならこのままで終わるのに今夜は違った
前を向いたまま櫻が突然話始めた
「ねぇ、明日・・・・」
俺は驚いて櫻から少し体をはずし彼女の顔を覗き込むが
櫻の表情に変化はない
「・・・・・明日・・・・どうしたんだ・・・?」
少し驚いている俺の声に櫻は軽く微笑んでいる
「クスッ・・・そんなに驚かないでよ、話にくいでしょ」
「あぁ・・悪い・・・」
「ねぇ、明日のパーティーって雛の父親も来るのよね?」
「・・あ、あぁ・・・」
「雛の父親って道明寺さんよね?」
あまりに突然の事で何と答えていいのか分からない
「どうしてそう思ったんだ・・・・?」
櫻はまだ俺の方を見て笑っている・・・
「だってあきらはこの前、F4の中に雛の父親がいるって言ってたじゃない」
「・・あぁ、そうだったな・・」
そうだ、確かに俺は英徳のカフェでそう言った
「4人の内、まずあきらは違うでしょ。
それにこの前会った、西門さんと花沢さんは全然雛に似てなかったもの、
だとしたら残りの一人、まだ会っていない道明寺さんしかいない・・・・でしょ?」
「・・お前にしては上出来だな」
「あきらはこの前、道明寺さんに会ったの?」
「会ったよ」
「じゃぁ、道明寺さんは私の記憶が無い事も雛が居る事ももう知ってるのね?」
「ああ、知ってるよ。
司はお前が見つかって喜んでたぞ!
それに自分に雛って子供が居る事も喜んでたし会いたがってたぞ。」
「・・そ、そう・・・」
「嬉しくないのか?」
「う・・ん・・雛の事はホッとしたけど、実感がないの。
私、彼の事知らないから‥会っても彼の事傷つけるだけなんじゃないかって」
「あいつ、言ってたぞ。お前が忘れてるんだったら、
もう一度お前に愛してもらえるようにがんばるって。
だから、お前も記憶が有るとか無いとかじゃなくてもう一度
あいつとちゃんと向き合ってみたらどうだ?」
「ちゃんと向き合っても私が彼の事を愛せなかったら?
どうなるの?」
「それなら仕方ないよ、
あいつもお前の事諦められるだろ?」
「私、彼と付き合ってたのよね?」
「あぁ」
「ねぇ、教えて・・・・」
短い言葉・・・
櫻が何を言いたいのかすぐに分かった
「・・・・・・」
俺がどうしようか迷っていると
「あきら、大丈夫だから」
「本当に、大丈夫なのか?」
「うん、だから教えて欲しい」
「・・・・分かったよ。
けど、どうしたんだ急に・・・?」
「急じゃないよ‥ずっと考えてたの」
「何を・・・?」
「記憶を失くした理由・・・・」
「理由・・・・?」
「そう。理由・・・前にあきらが言ってたでしょ?
あの頃の私って精神的に辛い状況だったって‥」
「ああ・・・言ったけど・・・」
「私、この6年間ずっと思い出す事だけを考えてきたでしょ?
ずっと思い出さなきゃって・・・・そればっかり考えてきた・・・
でもね、実際は何一つ思い出せてない。それどころか私はどんどん
美作櫻になっていくの、私の中にかすかに残っていた牧野つくしが
消えていくような気がして・・最初の頃はそれじゃダメだって思ってたんだけど
最近じゃそれでもいいかなっーて思い始めてる・・」
「お、お前・・・ちょっと待て・・・」
「最後まで話聞いて」
そう言って穏やかに微笑む櫻を見ていると次の言葉がつなげなかった
「私、どうして思い出せないんだろうって考えたの。
どうして牧野つくしに戻れないんだろうって・・・
私、きっと自分でも気付かないうちに思い出す事を拒否してるんじゃないかって・・・」
「思い出したくないのか・・・・?」
「そう思っただけよ。私、今幸せだよ。だから≪牧野つくし≫だった頃の
つらい気持ちを思い出すのが怖いんじゃないかって・・・思ったの
それに・・明日、みんなと会うでしょ?彼らから聞きたくないの
明日、その場で聞いちゃうと、きっとパニックになっちゃうと思うし
だからあなたから聞きたいの・・・牧野つくしの事」
「それはお前が自分で思い出さないと意味が無いって言っただろ」
「それは分かってるんだけど‥いい加減嫌になるのよ。
私は何も分からないのに、相手は知ってるのよ。
明日、他の人に聞かされるのは嫌なの!
他の人からじゃなくてあなたから聞きたいの‥
だからお願い、教えて‥」
「それからもう一つ・・・・」
「まだあるのか・・・・」
「私の記憶が無くてもクリアしなきゃいけない問題ってあるでしょ?」
「もしも・・・・」
「もしも・・・?」
「もし、明日、道明寺さんと会ったら全部思い出すかもしれない・・・・
多分、そんな事はないと思ってるけどね・・・・
思い出せない私は道明寺さんの事、雛の父親だって認められないかもしれないの・・・・
ねぇ、怒らないで聞いてくれる?」
「・・・なんだ?」
「あのね・・今の私は雛の父親って言ったら思い浮かぶのはあなたなの・・・」
「ハハハハ・・・なんだ、そんな事か・・・・」
「ちょっと・・何がおかしいのよ!
人が真剣に話してるのに!」
「だって・・・お前・・・ハハハハ・・そんな事当たり前だろうが・・・
俺は雛が産まれる前からずっと一緒にいるんだぞ!
今頃何言ってんだ?バカだな!それに俺はずっと雛の父親のつもりなんだけどな、
大丈夫だよ、そんな事気にしなくても。それに司とはゆっくりやっていけばいいんだから」
「・・だからね、知りたいの私と彼の間に何があったのか。
そうじゃなきゃ、私は前に進めないの」
「・・・・分かったよ、でも、俺も全てを知ってるわけじゃないんだぜ。
それでもいいのか?」
「構わない」
「そうか・・まず俺がはっきりと言えるのは雛は司の子供だって事と
司は今でもお前を愛してるしもう一度やり直したいと思ってるよ」
俺は櫻になるべく感情を排除した事実だけを話した
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