Family 146

いよいよ決勝戦が始まる

決勝戦は今までと違って各チームの紹介みたいなのがあってね
相手チームの経歴を聞いてビックリ！

相手は現役バリバリの体育大学のバスケットチームで
四人共に中学生の頃から全国大会に出場経験があって
その内の一人は高校生の時に全国優勝した事もあって
よＵ１８の日本代表にも選ばれた事もある選手だとかで
今大会でのダントツ優勝候補

そんな経歴を聞いたら勝てる気がしない

「ね、ねぇ？パパ達大丈夫かな？」

思わず向かいにいる西門さんに聞いた

「いや‥流石に‥あきらがヤバいんじゃねぇーか？」

流石に西門さんも微妙だなって表情を浮かべている

「美作さんだけじゃなくてパパも翼も‥ヤバいわよね？」

「あぁ、でも司は相手が誰であろうとも気にするような奴じゃねぇし
ここまで来たら勝つか負けるか二つに一つなんだから
やるしかねぇーだろ？！」

確かに西門さんの言う通りなんだけど‥

道明寺ＨＤの支社長に美作商事の専務
肩書きは凄いんだろうけど
こっちは３６歳のおじさん二人と高校生だから！

やっぱり勝てる気がしない！

まぁ、あたしは最初っから勝ち負けには拘ってなかったんだけど

やっぱりね‥

ここまで来るなんて思ってなかったけど

いざ

ここまで来ちゃうと

欲が出て来ちゃうって言うか
出来るなら勝ちたいなぁ～なんて
考えが頭を過ったりもしているから複雑

試合開始の合図が鳴って
開始１分もしない内に相手にシュートを決められていて明らかに劣勢

パパのスピードは衰えてないように感じるんだけど
翼は相手のスピードに一歩負けているように見えるし
美作さんは明らかに疲れてます！って感じで

あっ！美作さんが相手選手にぶつかられてコートの外にまでぶっ飛んだ！

だ、大丈夫？！

ケガしてない？！

あっ！すぐに立ち上がった！

大丈夫そうだね

良かった～！

心配しているあたしの横では類は笑っているだけだし
西門さんは笑いながら

"あきら、ダセェぞ！"

なんて言ってるし

その声が聞こえたのかは分からないけれど
美作さんが少しムッとした表情でコート内へと戻っていった

あたしは身を乗り出すようにして応援している双子ちゃんに耳打ちする

"二人とも、パパ達負けちゃいそうだから頑張れ～ってしてあげて！"

"あい！するでしゅ！"

"さっちゃんもするでしゅ！"


「あっく～ん、がんばぇ～！」

「ちゅばちゃ～、がんばぇ～！」

「パパ～、がんばぇ～！」

双子ちゃんの声が届いたのか？

菫がパパ、頑張れ～！って言った瞬間
豪快にダンクシュートを決めて
決めた瞬間、こちらに振り返りウインクしているパパ

そんなパパに手を叩いて喜んでいる双子ちゃん達

なんだかちょっと妬けちゃうじゃない！




試合は一進一退で大接戦


時間が刻々と過ぎて行く中で
どちらが勝ってもおかしくない状況で
体育館は異様な熱気に包まれている

美作さんもさっき弾き飛ばされたのが嘘みたいに
ガンガンぶつかりあっているのに
今度は当たり負けせずシュートを決めた

「あっく～ん、かっこいぃでしゅ～！」

「あっく～ん、すごいでしゅ～！」

双子ちゃんの声援に満更でもないって表情の美作さん
試合中なのに双子ちゃんに向かって手を振っている

パパ達は真剣なんだけどなんだか楽しそうで
緊迫したこの状況でもそれを楽しめちゃうパパ達って凄いと思った

あたしだったら心臓がバクバクし過ぎて逃げ出しちゃいそうなぐらいなのに

余裕にすら見えるパパ達に相手チームの選手達も段々とペースが崩されてきたのか
少しずつミスが目立つようになってきた

残り時間は後３０秒ほど

得点は１８ー１９でパパ達が１点負けている

最後にパパから翼へとパスが渡り
翼がボールをキープしたまま相手選手を一人交わし
ツーポイントラインの外側から放ったシュートは
綺麗な弧を描きゴールポストへと吸い込まれた瞬間
ゴールを告げるホイッスルと試合終了を告げるベルが鳴った

最後の最後で翼が決めた２ポイントシュート

うそ‥

か、勝っちゃった！




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