万有引力のススメ 2
おはようございます。🎵
予約投稿です。♥
『万有引力のススメ』です。
それではどうぞ~✴
我が家を訪ねてくる人なんて
ほとんどいない
それもこんな遅い時間に‥
ドンドンとドアを叩く音が響いているけれど
こんな時間に母さんも居ないし
ドアを開けるのが戸惑われ動けずにいると
ドアを叩く音はどんどん大きくなり
ドアの向こうに立つ人物は何やら叫んでいる
「オイ!牧野!俺だ!
居るのは分かってんだぞ!ここ開けろ!」
牧野って言ってるって事は家を訪ねてきたのは間違いないんだろうけど
やっぱりドアを開けるのは戸惑われて
ドアの横にある台所の窓を少しだけ開けて
ドアをガンガンやっている人物を確認してみると
そこに居たのは恐ろしく美形で
クルクル頭のきっちりとスーツを着たえらく背の高い男の人
その男性は俺が窓を少し開けたのに気が付くと
すぐさま窓に手を掛け大きく開けてしまった
勢いよく目の前に表れた男性の姿に一瞬たじろいだけれど
男性は俺のそんな様子はお構いなしで
泥棒避けの柵が嵌め込まれた窓を突き破るような勢いで中を覗き込んできて
徐に俺の名前を呼んだ
「お前が樹か?
そうだろ?樹だろ?」
俺の名前を呼んだ男性に
全く心当たりが無くて
夜中に突然現れた不審者でしかない
「あ、あの、どちら様ですか?」
戸惑いと恐怖心を隠しきれないまま
言葉を返す俺に彼が放った言葉は
"俺はお前の父親だ!オイ!牧野居るんだろ?!
さっさとドア開けろ!"
だった
この驚きが分かるだろうか?
何処かで生きているかもしれないとは思っていたけれど
一生会う事なんてないと思っていたし
例え道ですれ違ったとしても親子だと気が付きもしないだろうと
思っていた相手が目の前にいる
この驚きはびっくりしたなんてかわいいもんじゃなくて
俺にとってはまさに青天の霹靂
なんだけど
父親だと言った男性にとっては
然程、重要な事ではないのか
窓の向こうから母さんを呼び続けている
「あ、あの、母さんなら今は居ません」
「こんな時間に何処に行った!」
「あの‥パートです」
「あいつ、こんな時間まで働いてんのか?!」
「は、はい‥後2時間ぐらいは帰ってこないので
だから‥」
出直してもらえませんか?そう続けようとした言葉は最後まで云わせてもらえず
俺の声に被せるように重なった言葉
「何処だ?!」
少し低くなった男性の声
「へっ?」
男性にはそんな気はないのかもしれないけれど
眼光鋭く俺を射抜くような視線を向けられて
まるで俺が責められているように感じて
それまで感じていた戸惑いや恐怖心が薄れ
変わりに俺の中に沸き上がってきたのは怒りにも似た感情だった
「とにかく母さんは居ないので
出直してください!」
自分でもなんだかよく分からないんだけど
目の前に突然現れた父親だと名乗る男性にムカついて
それだけ伝えると窓を閉めようと窓に手を掛けたけれど
間一髪のところで相手がそれを阻止する方が早かった
「ちょっと待て!俺はお前とも話がしたいんだよ!
とにかくドアを開けろ!」
「俺は話すことなんてないですから。
手を離してください」
「俺はお前の父親だって言っただろ!」
「俺の父親は俺が生まれる前に死んだって母さんに聞いてますから」
俺の言葉に男性の手の力が少し緩んだのが分かった
「死んでねぇーよ!」
少し目線を下げ低い声で告げられた言葉
男性の目には先ほどまでの鋭さは消えていて
変わりに暗い憂いのような物が浮かんでいる
「あいつがお前にどう言ってたかは知らねぇーけど
俺がお前の父親に間違いはねぇ!」
「だとしても‥よく知らない人を上げるなと母さんに言われてるので
あなたを部屋に入れる事は出来ません。
話があるんなら母さんが居る時に来てください」
今度は言い切って強引に窓を閉めた
諦めて立ち去っただろうか?
ドアの向こうは静かで人の気配はしない
今の気持ち?
とりあえず居なくなってくれてホッとした?
確かに‥
なんで今さら?
顔も知らなかった父親
顔?
壁に掛けられている鏡に自分の顔を写す
鏡の中にさっき窓越しで話していた男性がいる
少し切れ長でつり上がった目に細い眉に特徴的なクルクルの髪
同じ顔がそこにあった
あの人が言ったように
あの人が俺の生物学上の父親ってやつなんだろうけど
だからなんだ?
それがどうした?って感じで
今の俺は父親が生きていたって事だけでキャパオーバーだから

応援ありがとうございます。
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我が家を訪ねてくる人なんて
ほとんどいない
それもこんな遅い時間に‥
ドンドンとドアを叩く音が響いているけれど
こんな時間に母さんも居ないし
ドアを開けるのが戸惑われ動けずにいると
ドアを叩く音はどんどん大きくなり
ドアの向こうに立つ人物は何やら叫んでいる
「オイ!牧野!俺だ!
居るのは分かってんだぞ!ここ開けろ!」
牧野って言ってるって事は家を訪ねてきたのは間違いないんだろうけど
やっぱりドアを開けるのは戸惑われて
ドアの横にある台所の窓を少しだけ開けて
ドアをガンガンやっている人物を確認してみると
そこに居たのは恐ろしく美形で
クルクル頭のきっちりとスーツを着たえらく背の高い男の人
その男性は俺が窓を少し開けたのに気が付くと
すぐさま窓に手を掛け大きく開けてしまった
勢いよく目の前に表れた男性の姿に一瞬たじろいだけれど
男性は俺のそんな様子はお構いなしで
泥棒避けの柵が嵌め込まれた窓を突き破るような勢いで中を覗き込んできて
徐に俺の名前を呼んだ
「お前が樹か?
そうだろ?樹だろ?」
俺の名前を呼んだ男性に
全く心当たりが無くて
夜中に突然現れた不審者でしかない
「あ、あの、どちら様ですか?」
戸惑いと恐怖心を隠しきれないまま
言葉を返す俺に彼が放った言葉は
"俺はお前の父親だ!オイ!牧野居るんだろ?!
さっさとドア開けろ!"
だった
この驚きが分かるだろうか?
何処かで生きているかもしれないとは思っていたけれど
一生会う事なんてないと思っていたし
例え道ですれ違ったとしても親子だと気が付きもしないだろうと
思っていた相手が目の前にいる
この驚きはびっくりしたなんてかわいいもんじゃなくて
俺にとってはまさに青天の霹靂
なんだけど
父親だと言った男性にとっては
然程、重要な事ではないのか
窓の向こうから母さんを呼び続けている
「あ、あの、母さんなら今は居ません」
「こんな時間に何処に行った!」
「あの‥パートです」
「あいつ、こんな時間まで働いてんのか?!」
「は、はい‥後2時間ぐらいは帰ってこないので
だから‥」
出直してもらえませんか?そう続けようとした言葉は最後まで云わせてもらえず
俺の声に被せるように重なった言葉
「何処だ?!」
少し低くなった男性の声
「へっ?」
男性にはそんな気はないのかもしれないけれど
眼光鋭く俺を射抜くような視線を向けられて
まるで俺が責められているように感じて
それまで感じていた戸惑いや恐怖心が薄れ
変わりに俺の中に沸き上がってきたのは怒りにも似た感情だった
「とにかく母さんは居ないので
出直してください!」
自分でもなんだかよく分からないんだけど
目の前に突然現れた父親だと名乗る男性にムカついて
それだけ伝えると窓を閉めようと窓に手を掛けたけれど
間一髪のところで相手がそれを阻止する方が早かった
「ちょっと待て!俺はお前とも話がしたいんだよ!
とにかくドアを開けろ!」
「俺は話すことなんてないですから。
手を離してください」
「俺はお前の父親だって言っただろ!」
「俺の父親は俺が生まれる前に死んだって母さんに聞いてますから」
俺の言葉に男性の手の力が少し緩んだのが分かった
「死んでねぇーよ!」
少し目線を下げ低い声で告げられた言葉
男性の目には先ほどまでの鋭さは消えていて
変わりに暗い憂いのような物が浮かんでいる
「あいつがお前にどう言ってたかは知らねぇーけど
俺がお前の父親に間違いはねぇ!」
「だとしても‥よく知らない人を上げるなと母さんに言われてるので
あなたを部屋に入れる事は出来ません。
話があるんなら母さんが居る時に来てください」
今度は言い切って強引に窓を閉めた
諦めて立ち去っただろうか?
ドアの向こうは静かで人の気配はしない
今の気持ち?
とりあえず居なくなってくれてホッとした?
確かに‥
なんで今さら?
顔も知らなかった父親
顔?
壁に掛けられている鏡に自分の顔を写す
鏡の中にさっき窓越しで話していた男性がいる
少し切れ長でつり上がった目に細い眉に特徴的なクルクルの髪
同じ顔がそこにあった
あの人が言ったように
あの人が俺の生物学上の父親ってやつなんだろうけど
だからなんだ?
それがどうした?って感じで
今の俺は父親が生きていたって事だけでキャパオーバーだから

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