万有引力のススメ 4
おはようございます。🎵
本日も『万有引力のススメです。』🎶
それではどうぞ~✴
「樹!オイ!大丈夫か?!」
ん?
「えっ‥は、はい‥」
「じゃあ、行くぞ!」
「へっ?ど、何処に?」
「牧野んとこだよ!」
「えっ?!あっ!か、母さんは仕事‥」
「知ってる!だから迎えに行くぞ!」
俺の腕を掴み強引に部屋から引きずり出された
辛うじて靴だけは履けたけど
真冬に上着も羽織らず部屋着のままで
部屋に鍵も掛けていない
「あっ!鍵!」
「気にすんな!」
気にすんなって?!
「で、でも‥」
「いいから、さっさと来い!」
最後までは言わせてもらえず
気にすんなの一言で部屋から引きずり出され
アパート前の道幅いっぱいに停められていた
テレビでしか見たことのない長い車に押し込まれた
この車
何人乗りなんだろう?
広くて豪華な車内
シートは全て革張りで座り心地は抜群だし
静かで動き出していた事にも気づかなかった
しばらく唖然と車内を見回していたけれど
ここに来て今更ながらの疑問が沸いてきた
本来ならもっと最初に
車に乗せられる前に確認すべきことなんだろうけど
父親というワードがもたらしたインパクトが大きすぎて
名前さえ聞いていない事をすっかり忘れていた
父親だと名乗った目の前の男性は何者なのだろうか?
背が高いとか
髪型が俺と同じでクルクルだとか
見た目からは他人の空似以上だって事はなんとなく分かるけれど
改めて観察してみた男性の身なりは
ガキの俺が見ても相当高いんだろうなって推測出来るスーツ姿で
手首で存在感を放っている時計にしても
汚れなんて全くついていない靴にしても
この車にしても相当なお金持ちなんだろうなって予想はつくけれど
俺はまだこの人の名前さえ知らない
だから思い切って聞いてみた
「あ、あの今さらですが‥あなたは誰なんですか?」
「俺はお前の父親だ」
いや‥そうじゃなくて
聞きたいのはそこじゃない
「それはさっき聞きました。
でも‥」
「んだよ!?信じられねぇーのかよ?!」
広い車内で対面に座り長い足を優雅に組み
少しだけ高い目線が俺を見下ろしている
「いえ‥そうじゃなくて‥聞きたいのはあなたがどこの誰なのかって事で‥
それにどうして今ごろになって突然現れたのかと思って‥
母さんからは何も聞いてなかったので‥」
向けられている視線の強さに耐えきれず
微妙に視線を外したまま話す俺とは対照的に
真っ直ぐに向けられたままの視線
「クソッ!あのバカ女!マジで俺を死んだ事にしてやがったな!
俺の名前は道明寺司だ!
俺がお前の父親だって事は間違いねぇーぞ!」
苛立ったような感情のまま吐き出された言葉の中に
気になるワードが数々散らばってはいたけれど
一番気になったのはその名前
道明寺?
道明寺と聞いて最初に思い浮かんだのは
日本を代表する大財閥
ガキの俺だって知っているその名前
まさか?
あの道明寺と関係あるのか?
まさかだよな?
そんなわけない
母さんだよ?
年中金欠で働き詰めの母さんがそんなお金持ちと知り合うだけじゃなくて
子供が出来るような関係になるわけがない!
どう考えたっておかしい
「おかしくねぇーよ!
お前が考えてるあの道明寺だ!」
「ゲッ!」
この一言には色んな意味が込められている
ゲッ!俺、また口に出てた?!
ゲッ!あの道明寺って?!
ゲッ!マジか?!
「お前、外見は俺そっくりだけど
中身はあいつにそっくりだな!
思ってること全部口から出てんぞ!」
フッと柔らかく笑いながら前髪を掻き上げた道明寺さんは
かなりショートカットで母さんとの出会いから
どうして今まで会いに来れなかったまでを話してくれた
ショートカットだけど内容はヘビー過ぎて
上手く処理出来ない
「じゃあ‥記憶が戻ったってことですか?」
「あぁ、そうだ。
長い間悪かったな」
「あっ‥いえ‥」
悪かったななんて言われても
なんて答えたらいいのか分からなくて
曖昧な返事を返しただけの俺と道明寺さんを乗せた車は
静かに夜の街を母さんの元へと走っている

応援ありがとうございます。
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それではどうぞ~✴
「樹!オイ!大丈夫か?!」
ん?
「えっ‥は、はい‥」
「じゃあ、行くぞ!」
「へっ?ど、何処に?」
「牧野んとこだよ!」
「えっ?!あっ!か、母さんは仕事‥」
「知ってる!だから迎えに行くぞ!」
俺の腕を掴み強引に部屋から引きずり出された
辛うじて靴だけは履けたけど
真冬に上着も羽織らず部屋着のままで
部屋に鍵も掛けていない
「あっ!鍵!」
「気にすんな!」
気にすんなって?!
「で、でも‥」
「いいから、さっさと来い!」
最後までは言わせてもらえず
気にすんなの一言で部屋から引きずり出され
アパート前の道幅いっぱいに停められていた
テレビでしか見たことのない長い車に押し込まれた
この車
何人乗りなんだろう?
広くて豪華な車内
シートは全て革張りで座り心地は抜群だし
静かで動き出していた事にも気づかなかった
しばらく唖然と車内を見回していたけれど
ここに来て今更ながらの疑問が沸いてきた
本来ならもっと最初に
車に乗せられる前に確認すべきことなんだろうけど
父親というワードがもたらしたインパクトが大きすぎて
名前さえ聞いていない事をすっかり忘れていた
父親だと名乗った目の前の男性は何者なのだろうか?
背が高いとか
髪型が俺と同じでクルクルだとか
見た目からは他人の空似以上だって事はなんとなく分かるけれど
改めて観察してみた男性の身なりは
ガキの俺が見ても相当高いんだろうなって推測出来るスーツ姿で
手首で存在感を放っている時計にしても
汚れなんて全くついていない靴にしても
この車にしても相当なお金持ちなんだろうなって予想はつくけれど
俺はまだこの人の名前さえ知らない
だから思い切って聞いてみた
「あ、あの今さらですが‥あなたは誰なんですか?」
「俺はお前の父親だ」
いや‥そうじゃなくて
聞きたいのはそこじゃない
「それはさっき聞きました。
でも‥」
「んだよ!?信じられねぇーのかよ?!」
広い車内で対面に座り長い足を優雅に組み
少しだけ高い目線が俺を見下ろしている
「いえ‥そうじゃなくて‥聞きたいのはあなたがどこの誰なのかって事で‥
それにどうして今ごろになって突然現れたのかと思って‥
母さんからは何も聞いてなかったので‥」
向けられている視線の強さに耐えきれず
微妙に視線を外したまま話す俺とは対照的に
真っ直ぐに向けられたままの視線
「クソッ!あのバカ女!マジで俺を死んだ事にしてやがったな!
俺の名前は道明寺司だ!
俺がお前の父親だって事は間違いねぇーぞ!」
苛立ったような感情のまま吐き出された言葉の中に
気になるワードが数々散らばってはいたけれど
一番気になったのはその名前
道明寺?
道明寺と聞いて最初に思い浮かんだのは
日本を代表する大財閥
ガキの俺だって知っているその名前
まさか?
あの道明寺と関係あるのか?
まさかだよな?
そんなわけない
母さんだよ?
年中金欠で働き詰めの母さんがそんなお金持ちと知り合うだけじゃなくて
子供が出来るような関係になるわけがない!
どう考えたっておかしい
「おかしくねぇーよ!
お前が考えてるあの道明寺だ!」
「ゲッ!」
この一言には色んな意味が込められている
ゲッ!俺、また口に出てた?!
ゲッ!あの道明寺って?!
ゲッ!マジか?!
「お前、外見は俺そっくりだけど
中身はあいつにそっくりだな!
思ってること全部口から出てんぞ!」
フッと柔らかく笑いながら前髪を掻き上げた道明寺さんは
かなりショートカットで母さんとの出会いから
どうして今まで会いに来れなかったまでを話してくれた
ショートカットだけど内容はヘビー過ぎて
上手く処理出来ない
「じゃあ‥記憶が戻ったってことですか?」
「あぁ、そうだ。
長い間悪かったな」
「あっ‥いえ‥」
悪かったななんて言われても
なんて答えたらいいのか分からなくて
曖昧な返事を返しただけの俺と道明寺さんを乗せた車は
静かに夜の街を母さんの元へと走っている

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