万有引力のススメ 14

「お前にも色々あったって事は知ってる」

「だったら分かるでしょ？」

「何が分かるんだよ？
俺だって１６年が簡単な事だとは思ってねぇーよ！
でもなぁ今の状態が答えなんじゃねぇのか？
過去に何があったとしても‥
実際、俺もお前も色々あったけど過去は変えられねぇーし
俺とお前は結局はこうなる運命だったんだよ！
ウダウダ考えててもしょーがねぇーだろ？！
だったらさっさと行動に移せって話だ！
俺はあと３人はガキが欲しいんだよ！
お前みたいにウダウダ考えてたらじじいとばばあになっちまう！」

ウダウダなんて考えてるつもりはないんだけど
彼の言うように今、何も障害がないのであれば‥

って！

そこじゃない！

あと３人？

子供？

あ、あたしが産むの？

「当たり前ぇーだろーが！
お前以外に誰が産むんだよ！？」

「へっ？！」

「母さん、頭ん中が全部口から出てるよ」

「で、出てた？」

「うん、だだ漏れてる」

「ハァ～
なんであたしが産むのよ？！」

「俺の子供を産むのは世界中探してもお前だけって前世から決まってんだよ！
それに樹も一人っ子じゃ寂しいだろ？
兄弟がいた方が楽しいだろーが？
なぁ、樹？」

お、俺？

なぁ、樹‥なんて言われても

俺‥もう１５歳だし

今からまだ見ぬ兄弟って言われても

１５歳？

いや

早くても１６歳

１６歳差の弟か妹

可愛いとは思うんだけど

び、微妙だわ‥

って

でも

俺に同意を求めてきた父さん(仮)の鋭い眼光が鋭すぎて
微妙ですなんて言える雰囲気じゃなくて

「あ‥う、うん‥？」

俺の口から出たのはなんとも曖昧な言葉の欠片だけ

「んだよ？！嬉しくねぇーのかよ？！」

「えっ？！あっ‥そういうんじゃなくて‥
そのなんて言ったらいいのか‥
１６歳差とかって微妙だなって思って‥」

「歳の差なんて気にすんな！
俺はお前もこれから産まれてくるガキもどっちも愛してる！
勿論！一番はつくしだけどな！」

「呼び捨てにすんな！バカ男！
でもって勝手に進めんな！」

「うるせぇ！お前はもうしゃべんな！」

「バカ男！横暴！自己中！」

「なんとでも言ってろ！
俺はお前と樹がいれば世界一幸せなんだし
お前と樹とこれから産まれてくるガキを
世界一幸せに出来んだよ！」

「妄想変態男！」

「おぅ！それはこれから追々な！
楽しみに待ってろ！」

「待つか！バカ！」

また始まった低レベルな言い合い

でもやっぱり二人は楽しそうで

きっとこれが二人のデフォルトなんじゃないかって思ったんだけど

だとしたら

この先

俺の家族って

かなり賑やかって事だよな？

まぁ、二人が楽しそうだから

それもいっか





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