万有引力のススメ 17

二人を屋敷に連れ帰った翌日
朝からどうしても外せない会議があり出社したが
本心では仕事なんて行きたくなかった

とりあえず昼には戻るとだけ告げて出社したが
二人が屋敷にいるか不安で何度も電話をかけ
タマに呆れられていた

けどよ

あいつ

逃げそうじゃねぇ？

昔から逃げ足だけは速かったから

逃げたって無駄なんだけどよ

分かってても

あいつならやりそうだろ？

だから屋敷の警備も普段以上に厳重にして
俺が戻るまで絶対に屋敷から出すな！と命令しておいたけれど
やっぱりまだ不安だらけで
西田の渋い顔を横目に電話をかけ続けていた

逸る気持ちを抑え屋敷に帰りついて
タマの部屋で呑気にお茶なんてしてやがったつくしに思わず飛び掛かり
殴られたって全然気になんねぇ！

だってよ

あいつの指には俺が夕べ贈った指輪がはまったままなんだぜ！

既製品の安物だけど
とりあえずにとペアで揃えたリング

それを外してねぇってことは
そういう事だろ？

まだ全面的にって感じじゃねぇけど
これからはずっと一緒なんだから

色々とは

追々な！






う～ん‥

重い！

苦しい！

動けない！

体勢を変えたくて寝返りをって思うんだけど
上手く身体が動かせなくて少しずつ覚醒してくる意識

まだ起きたくないんだけどなぁ

もう少し寝たいの

でも寝返りもうちたいの

う～ん‥

う～ん！

う

～ん？！

ごそごそ

もぞもぞ

と身体を動かそうとしていた時に
背後に感じた違和感

自分以外の存在を感じて一気に覚醒

ガバッっと勢いよく跳ね起きると
クルクルバカ男がアナコンダみたく巻き付いていた

ギャ！

思わず叫びそうになって慌てて両手で口を押さえる

はだけた布団から覗く裸の彼の胸元を見て

自分の格好を確認して‥

良かった～

下着は着けてる

って！

良くない！

ふ、服は？

あたしの服！

ど、どこよ？！

自分で脱いだ記憶はないから
こいつが勝手に脱がせたんだろうけど

あたしの服～！

キョロキョロと周囲を探すけれど
見当たらなくて‥

そしてあたしは見つけてしまった


自分の左手の薬指でキラキラ輝く存在を‥




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