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Day Light 4 & お礼

こんにちは。

お話しを楽しんでいただけているようでホッとしております。
ありがとうございます。

本日のDayLightですが…つくしちゃんが大変な事になっております❗
(したのは私なのですが…(涙))
益々、暗い感じで進行していきます。⤵
しばらくこんな感じですが気長にお付き合いいただければ幸いです。


それでは、お時間のある時にでもどうぞ🎶






『類・・・牧野が・・・助けてくれ・・・』


仕事中に掛かってきたNYからのSOSに

取るものもとりあえず総二郎に連絡を取り

NY行きの飛行機に乗り込んだ

途中、ロンドンにいたあきらにも連絡を取り

司の尋常ではない電話の内容に

あきらもすぐロンドンからNYへと飛んだ

どんなに急いでもNYまでは約14時間

機内から何度か司に連絡を取ろうとしたけれど一度も繋がらないまま

俺達を乗せた飛行機はケネディ国際空港に到着した

到着ゲートから出るとあきらが待っていた

あきらの表情は硬い

俺と総二郎の姿を見てもその表情は変わらないままで

”着いたばかりで悪いけど車を待たせてある。急いでくれ”

それだけ告げると踵を返し先に出口の方へと歩き始めてしまった

牧野に何があったのか?

今、彼女がどういう状態なのか?

詳しい説明の無いままに乗り込んだ車

車が走り出してからまず総二郎が口を開いた

「何があったんだよ?」

「牧野が自殺未遂をおこして病院に運ばれた」

牧野が自殺未遂・・・!?


あきらの言葉を聞いて瞬間的に

そんな事有り得ないと思った

俺達の知っている牧野はどんなに辛くても

どんなにくじけそうでも

顔を上げ真っすぐ前を向いて

正面から困難に立ち向かっていく強さを持っていた

「牧野が自殺なんて有り得ない。
どういう事かちゃんと説明して。
それに司は何をしてたわけ?」


「俺も司も牧野が自殺したなんて信じてないけど
状況が自殺以外に考えられなくて警察も一応調べたみたいだけど
事件性は無いって事で結論付けられてる」


「未遂って事は命は大丈夫なんだよね?」



「あぁ・・・一応な・・・
命には別状ないけど・・・」


「けど?なに?」



「けど・・・意識が戻らねぇんだ・・・
もう一週間以上経つのに意識が戻らねぇ・・・
医者もいつ戻るかは分からないって・・・」



「一週間以上って!
なんですぐに連絡してこねぇーんだよ!」



「司も知らなかったんだ・・・」



「あきら、どういう事なのかちゃんと一から説明して」



「あぁ・・・」







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



類からの連絡を受けた時、俺はロンドンの屋敷にいた

類との電話を切りそのまま司の携帯に何度か連絡を取ろうとしたが繋がらず

大急ぎで飛行機をチャーターしNYへと向かった

ロンドンからNYまでは約5時間

類達がNYに着くまでにはまだ大分時間がある

とりあえず司が今どこにいるのか確かめる為に

空港から何度か携帯に連絡を入れ続けているとやっと司と繋がった

電話に出た司の声は話すのも苦しそうな様子で

ゆっくりと途切れ途切れに伝えられた言葉に

俺は空港ロビーから飛び出し客を下ろす為に停車していたタクシーに強引に乗り込んでいた

牧野が入院している病院に飛び込むと

牧野は5階の個室にいた

部屋には司と一緒に牧野の元亭主の姿もあった



「司?!大丈夫か?何があった?!」


「あきら・・・」



部屋に入ってきた俺に気付いた司が顔を上げたけど・・・


こんなにも憔悴しきった司を見るのは初めてだった



司は俺に気付き名前を呼んだけれど

それだけですぐにまた牧野へと視線を戻してしまった
司は牧野の眠るベッドの横の椅子に腰を下ろし
ずっと手を握っている



司も元亭主も髪は乱れスーツもヨレヨレで


共に顔には不精髭で疲労が色濃く浮かんでいた
牧野が眠るベッドに近付きながらもう一度


今度は司では無く元亭主の方に声をかけた


「何があったんだ?」



「つくしが薬を飲んで自殺をはかった・・・」



「自殺・・・?!」




「あぁ・・・警察も医者もそう言ってるけど俺は信じられない!
彼女が自殺なんてするはずないんだ!絶対に何かの間違いだ!」



訴えるように必死で畳み掛けてくる元亭主



「ちょっと待ってくれ!あんた確か名前は・・・ジャックだったよな?」



「あぁ、ジャック・ブレナンだ」



「ならジャック、俺は美作あきらだ。落ち着ついて最初からちゃんと話してくれないか?
どうしてここにあんたと司が一緒にいるのかもだ」



「あんた達の事はつくしに聞いてたから・・
Mr.道明寺は俺が連れて来た」



「分かった順を追って説明してくれ」


ジャックの説明によると牧野が自殺を図ったのは9日も前



「9日って・・・なんでそんなに時間が経ってんだよ?!」



9日も経ってやっと連絡してきて

詳しい状況を知らされないままでかなり苛立ちが募っていた

その苛立ちをそのままぶつけるように

目の前の二人の男をどちらともなく攻めるような口調になってしまった


「俺は元々あんた達に知らせるつもりはなかった」


「だったらどうして9日も経ってから司をここに連れて来たんだよ?!」


「それは・・・俺一人の力じゃどうしようもないと思ったから・・・
力を貸して欲しかったんだ・・・」


随分と都合のいい話しだと思った

何がどうしようもないと感じたのかは分からないが

俺達の事を牧野から聞いて知っていたにも関わらず

知らせるつもりはなかったと言い切った

どうもこのジャックという男の言い分には胡散臭さを感じる

「あんたは俺達の事を牧野から聞いていたにも関わらず
知らせるつもりはなかったんだよな?
それなのに力を貸して欲しいってどういう事だ?金か?
もっといい病院で治療を受けさせたいとか?
それにあんたはさっき牧野は自殺なんてしないとか言ってたよな?
けど自分の身近な人間が自殺を図ったらたいていの奴はあいつは自殺なんてするような奴じゃないって思うだろ?
もし本当に自殺じゃないとしたらその根拠はなんだ?」



感じた疑問を苛立ちと皮肉を込めてぶつけてみた


「あきら!そんな事どうだっていいんだよ!
そんな事よりもっといい医者を探せ!
アメリカ中・・いや世界中から金なんて幾ら掛かっても構わねぇから!こいつの意識戻せる奴探してこい!」



ずっと牧野に寄り添いその力無い手を握っていた司が

苦しそうに絞り出すような声で俺とジャックの会話を遮った」


「落ち着け、司!」


そんな事言われなくても

どんな手を使っても探しだしてやる!

俺だって牧野が自殺するなんて信じられない

だけど今は誰かが冷静に状況を判断する必要があると感じているから

わざと突き放したような言い方をしているだけだ


「とにかく今は二人共落ち着いて話しが出来る状態じゃねぇみたいだな。
二人共、仕事はどうしてるんだ?」


「仕事なんてどうだっていいんだよ!」


「そういう訳にもいかねぇーだろ!
ちっとは自分の置かれてる状況も考えないと」


二人の様子からずっと牧野に付き添ったままで

食事さえろくにとっていない事は伺える


「とにかく落ち着いて話しが出来る所に移動するぞ!」


牧野が眠る傍らではゆっくりと話しが出来ないと感じたから場所を変える事を提案した

二人共が声を揃えて拒否をしたが牧野に何かあったらすぐに連絡を貰えるように手配し

ここから一番近いホテルに部屋を取ると二人共にやっと重い腰を上げた

ホテルに入り二人共シャワーを浴びると

見た目だけは少しスッキリとした表情をしている

これで少しは落ち着いて話しが出来るだろう


「まず牧野が病院に運び込まれた時の事を教えてくれ」


目の前のソファーに座るジャックにそう声を掛けた


「彼女の部屋のバスルームで倒れてるつくしを見つけて病院に運んだのは俺だ。
あの日、俺はつくしとディナーに出掛ける約束をしてた。
土曜日で仕事は休みで夜8時に部屋に迎えに行く約束になってたんだ」


ジャックはそこで一度言葉を切ると水を一口だけ飲んだ


「約束の時間に部屋に行ったけど応答が無くて
持ってた合鍵で部屋に入ってバスルームに倒れてた彼女を見つけて救急車を呼んだんだ」


「その時、意識は?」


「無かった・・・呼びかけてもぐったりしたままで反応が無くて
すぐに病院に運ばれて処置を受けたんだけど・・・」


「医者はなんて説明したんだ?」


「オーバードーズだって・・・」


「オーバードーズって?」


「向精神薬過剰摂取によるショック症状だって・・・」


向精神薬過剰摂取?


「牧野はそんな薬を常用してたのか?!」


「・・・あぁ、以前には飲んでた事はあったけど今はもう飲んでなかったはずだ」


「はずだって確証は無いのか?」


「無いけど俺は彼女の事をよく知っている!
もし彼女がまたあの時のような状態だとしたら絶対に気付いてるはずだ!」



ジャックの口ぶりから牧野は以前、精神的なバランスを欠き不安定な状態にあった事が伺える・・・

けれど・・・

俄かには信じられない・・・

俺達が抱いている彼女の印象からは程遠い


「彼女は問題を抱えていたのは事実だけどちゃんと問題と向き合う努力をしていたし
カウンセリングに通って克服していた!そんな彼女が今ごろになって自殺なんてするわけがないんだ!!」



「状況は分かった。
司?お前はどう思う?」



ずっと黙ったままの司に声を掛けた



「俺は・・・俺はそんなの関係ねぇーんだよ!
とにかく牧野を元に戻してやりたい・・・その為ならなんだってやってやる!」



どちらも牧野を思っての事だけど向いている方角が違う


「分かった。医者の手配はさっき秘書に指示してあるから今探してるはずだ。
それからジャック?あんたはさっき病院で俺達に力を貸して欲しいって言ってたよな?
それはどういう事だ?あんたは俺達に何をさせたいんだ?」


「つくしが自殺じゃないって証明して欲しいんだ・・・」

自殺じゃない証明・・・

そんな事して意味があるのか?
もしジャックの言う通り自殺じゃないとしたら何なんだ?


事故か?

それとも事件?
事件なら誰かが牧野を殺そうとして故意に薬を飲ませたって事になるぞ

それなら殺人事件じゃねぇか!?

誰かが牧野の命を狙って故意に薬を飲ませた・・・

そんな事有り得るのか?

「・・・自殺じゃない証明って・・・もし自殺じゃないとすれば何なんだ?事故か?
それとも事件だって思ってんのか?」


「そんな事あるわけねぇーだろ?!誰があいつの事怨んでるって言うんだよ?!
あいつは人から怨みを買うような女じゃねぇ!」


「司、分かったからちょっと黙っててくれ!
今はジャックと話ししてるんだ!」


興奮して話しを遮ってくる司を諌めてから

再びジャックに視線を戻し質問の答えを待った


「確証は・・・無い・・・証拠も今の所は無い・・・
だけど!絶対何かがおかしいんだ!」


「テメェは自分との約束をすっぽかされたからそう思ってるだけなんじゃねぇのかよ!?
結局は牧野が自分との約束をすっぽかすわけねぇって自慢してるだけだろーが!」


「そんな事は無い!あんたこそつくしが大変な時に何も知らないでのうのうと過ごしてたじゃないか?!
もしつくしが本当に自殺だとしたら原因はあんたらじゃないのか!?」


「んだとー!俺と牧野の事を何も分かってねぇくせに勝手な事ほざいてんじゃねぇぞ!!」

共に立ち上がり感情のままに

今まで溜め込んできた怒りをぶつけ合う司とジャック


「落ち着け!座れよ!司!ジャック!
二人共ちょっと冷静になれ!今は喧嘩してる場合じゃねぇだろーが!!」


手を伸ばし司の腕を掴んで強引に座らせると

ジャックも再びソファーに腰を下ろした


「二人共ここでのんびりしてる暇はねぇんだぞ!
話しの邪魔するなら司は出て行いけ!」



「あきら!テメェはどっちの味方なんだよ!?」


「どっちでもねぇよ!俺は今の状況をきちんと整理したいだけだ!
だからここにいるなら邪魔すんな!ジャック?あんたもだ!」


それぞれに俺は本気だぞと視線を流すと

不満げな表情を浮かべながらも二人共頷いた


「ジャック?話しを戻すけどあんたは牧野が自殺じゃないって証明出来るもんは何一つ無いんだよな?」


「あぁ・・・今はまだ無い・・・」


「それはこれからも無いかもしれないんだぞ?」


「分かってる・・・だけど・・・」


「俺はあんたの言ってる事をそのまま鵜呑みには出来ない。
ましてや警察も自殺だって結論付けてるもんを覆そうって言うんだから
この先厄介な事になる可能性だってあるんだぞ」


「分かってる!結果がどんな物であっても俺はそれを受け止める覚悟はある!」


「そうか・・・分かった」


「あきら!こいつの言う事信じんのかよ?!」


司は意識を戻す事だけを考えている

ジャックも同じだけど

どうしてもそれ以外にも何かを隠している

そんな気がした・・・

俺はジャックの言葉を100%信じているわけじゃない

司だって本気で牧野が自殺したなんて思ってるわけじゃない

ただ今の状況は何もかもが曖昧で

それぞれが感情のままに行動している

何かが出てくる可能性は低いとは感じているけれど

もしかしたら牧野の心の奥底に封じ込みられていた痛みの影ぐらいは掴めるかもしれない

俺も司と同様に彼女の意識が戻る事を祈り

ジャックと同じように知りたいと思った


「司?お前だって本気で牧野が自殺したなんて思ってないんだろ?」


「思ってねぇけど・・・」


「ないけど?お前なんか知ってんのか?」


「分かんねぇけど・・・牧野が自殺する前日に電話で話しをした・・・」


「どんな話しをしたんだ?」


「その時、俺は日本に出張中だったから土産があるから戻ったら会いたいって言ったら・・・
もう俺とは会えないって言われて・・・」


「それでお前・・・問い詰めたのか?!」


「いや・・・理由を教えてくれとは言ったけど
話しをしてる内に牧野は段々興奮し始めて
自分には幸せになる権利は無いとか言い始めた
なんとか落ち着かせようと思ったけど時間が無くて・・・
また電話するからって中途半端で切っちまった・・・
だからあいつの自殺の原因は俺なんだよ!」


最後は息をするのも苦しそうに
一気に吐き出した司


司の話しを聞いてまた分からなくなってきた
俺にはどちらの言い分にも矛盾を感じる・・・


司の言うように電話で興奮していた牧野が衝動的に自殺を図った・・・
だとしても衝動的にと言うには電話から自殺まで24時間以上の時間が経過している
その間、ジャックと電話で会話していて
食事に行く約束もしていて
牧野はジャックと食事に行くつもりだった


食事に行くつもりだった女がその直前に自殺するか?

どうも腑に落ちない・・・

ならジャックの言い分はどうだ?

自殺じゃないとしたら事故か事件かのどちらかだ

事故なら間違って薬を飲んでしまった事になる

だけど素面の状態で大量に誤って飲んでしまうような薬じゃねぇし
事件なら牧野は誰かに命を狙われた事になるけど
それなら第三者の関与を疑わせる痕跡が牧野自身か部屋に残ってはずだと思うけど
今の所、事件だと示す痕跡は何も無い

どちらも正しくて
どちらも間違っているような気がする・・・

真実はどこにあるんだ・・・?

「分かった・・・司、それ以上自分を責めるのは止めろ。
きっと牧野もそんな事喜ばねぇし
とにかく今はお前とジャックが仲たがいしてる場合じゃねぇだろ?
とりあえず医者探しと原因探しは俺に任せてくれないか?
そろそろ類と総二郎が到着する頃だから
俺は迎えに行ってくるから二人は一度仕事に戻って夜に類の部屋に集合しないか?」


「仕事なんてどうでもいいんだよ!」
「俺もだ!」


二人共に規模は違えど人の上に立つ立場の人間だ
どんな事があってもどうでもいいでは済まされない
「そういう訳にはいかないだろう?
二人共ちょっとは自分の立場を考えろ!」


きつく諭すように告げると二人は黙り込み
やがてジャックが先に立ち上がりジャケットに袖を通し始めると
司も立ち上がりジャケットを手にした


二人の乗った車を見送り
俺は類達を迎えに空港へと向かった













応援ありがとうございます。♪
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kirakira
Posted bykirakira

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2018/04/06 (Fri) 22:00 | EDIT | REPLY |   
kirakira

kirakira  

悠○様

おはようございます♪

悠○様、メッセージありがとうございます。
お話しはしばらく苦悩する司君とそれを心配し支えるF3
という構図で展開していくとおもいます。
でも最後には良かった~って思っていただけるような
お話しにしたいのでこれからもお付き合いよろしくお願いします。

悠○様のお宅にもお邪魔させていただきました。
まだ少しだけしか拝読出来ていないのですが
沢山のお話しがあって読むのをワクワクしています❗😃💕

2018/04/07 (Sat) 09:28 | EDIT | REPLY |   

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