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月夜に 47

こんばんは。(#^.^#)
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴









あきらのお袋さんが双子と雛をリビングから連れ出し
残ったのは親父達と司のお袋さんに俺達と椿姉ちゃんだけになった

「お前達に話しておかなければならない事があるんだがね」

親父達の表情は先ほど雛に笑顔を見せていたのが嘘のように
厳しい表情に変わっていた

リビングには一気に緊張感が漂い始める

俺はずっと司のお袋さんの様子が気になっていたが
雛を見つめる瞳は思いのほかやさしい物だった

まず口火を切ったのはあきらの親父さんだった

「まず、君達に謝らなければならないな。
 長い間、櫻の事で心配掛けてすまなかったね」

返事をしたのは司だった

「いいえ、今までつくしと雛を守っていただきありがとうございました」

すかさずソファーから立ち上がり親父達に向かって頭を下げた

司は心を決めたのだろうか?

「いやー、司君も少し会わないうちに立派になったね。
 楓さんもこれで一安心ですな」

いきなり俺の親父にふられた司のお袋さんは少し驚いていたが
すぐに"ありがとうございます"と笑顔で返している


こんなに穏やかな顔のお袋さんを見たのは初めてだ、
もしかしたら、司や椿ねえちゃんも初めて見るお袋さんなのかも知れないな

「お前達は牧野つくしさんがどうして美作櫻になったのかは知っているな?」

「はい、先日あきらから聞きました」

「そうか。だったら櫻の記憶が無い事も知っているのだな?」

「はい、知っています」

「だったら話が早いな。
櫻達が来る前にお前達に話しておきたい事がある」

「はい」

親父達の話は前置きなしにいきなり本題にはいった

心の準備もないままに話を始められ思考停止状態になってしまった

「あと一年で櫻の記憶が戻らなければ櫻とあきら君を結婚させるつもりなので
 お前達もそのつもりでな」

その場の空気が一気に固まった

正確には俺達と司のお袋さんだけだが

親父達は涼しい顔のまま

お袋さんの表情からどうやら彼女も知らなかったようだが
だけど記憶が戻らなければあきらと結婚なんて

どうしてそう言う話になるんだ?

固まったままの空気の中、最初に口を開いたのは姉ちゃんだった
物凄い剣幕で自分の父親に食って掛かっている

「お父様!一体どういうことですの?
 つくしちゃんと雛ちゃんは司の‥」

「そんな事、今さらお前に言われなくても充分承知しているよ」

腹が立つほど冷静な声だった。

「だったら‥どうしてあきらと結婚なんて‥?!」

「あなた、一体何をお考えなのですか?
 雛は道明寺の孫なのですよ!」

鋭い声でお袋さんが詰め寄っている

「ハハハハ!楓、君こそ何を考えてるんだ」

司の親父さんの声はさっきよりもさらに冷たい‥

「元々、二人を別れさせたがっていたのは君じゃないかね。
 だから私としては君の希望をかなえたつもりなんだがね」

「あなた!私は‥!」

「私は?どうしたんだね?
 君は雛がいるから司と櫻の事を許すとでも言うのかね?」

「違いますわ。私もずっと牧野さんを探してましたのよ。
あの時の私の決断は間違っていた思ったから。
やっぱり司には牧野さんじゃないとダメだという事が分かったから。
でも、あなたが隠していたのなら見つかるはずないですわね。
どうして教えて下さらなかったの?」

「君も私に何も聞かなかったじゃないかね。
 私は、もし君が櫻の事を言ってきたらすぐに教えるつもりだったんだがね。
 残念だよ。今さら君が何を言ってもあきら君と櫻の結婚の話は変わる事は無いよ」

「そんな!じゃぁ、司はどうなるんですか?!」

今度は司の親父さんは俺達に向かって

「君達もいつまでも独身ってわけにはいかないだろう。
司、私はここ数年ずっと君の事を見てきた。
君が櫻の事を想っている事も理解している、
本当に櫻を守りたいと思っているのならもう少し大人になったらどうかね。
私には君は図体の大きな単なる駄々っ子にしか見えないがね」

辛辣な言葉だが親父さんの言葉はここ数年の司の態度を見ていれば反論は出来ない

黙り込んでしまった中で類が口を開いた

「牧野は‥彼女はあきらとの結婚を承知してるのですか?」

「いいや、まだだよ。まだ櫻には話てないからね。
 あきら君には日本に帰る前に考えておくように言っておいたので、
 今ごろはもう答えが出てるんじゃないかな」

「では、まだ牧野があきらと結婚すると決まったわけではないのですね?」

「記憶が戻らなければ結婚させるよ」

「勘違いしてもらっては困るよ。
私達は別に君達の意見を聞こうなんて思ってるわけじゃない。
これは命令だ。櫻は今 美作家の娘だ。父親は私なんだよ。
君達に櫻の結婚を反対する権利は無いんだそれにあきらもだ
美作家の長男として私の決めた結婚を拒む権利は無い」

俺はさっきからずっと黙ったままの司の様子が気になっていた

司はさすがに親父達の前で暴れ出す事はなかったが
俯いたままずっと何かを考えているようだった
そんな司がやっと口を開いた

「じゃぁ、牧野の記憶が戻ればいいんだな?」

挑みかかるように自分の父親を睨み付けている

「そうだな、それが出来ればいいがな。
 櫻の記憶が戻ったら私達は櫻の意志に任せるよ。
 でも、櫻の記憶が戻っても変わらないと思うがね」

意味深な笑みが司の親父の顔に浮かんだ‥

「どういう意味だよ!あいつは記憶が戻ってもあきらと結婚する事を選ぶって事かよ!」

「それはお前自身が自分の目で確かめるんだな。
もうすぐ来ると思うが二人に会ってみれば分かるよ」

「それから司、くれぐれも言っておくが櫻は今は美作家の人間だぞ。
 それを忘れて行動するないいな」

「‥分かってるよ!」


それ以上誰も口を開かなかった

ノックと共に親父の秘書が入ってきて何やら告げた

「二人が到着したようだ」











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kirakira
Posted bykirakira

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