月夜に 48
こんばんは。(#^.^#)
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴
ノックと共にドアが静かに開き
あきらとその少し後ろから写真の中の女性が入ってきた
久しぶりに見た牧野つくしだった
その場に居た全員の視線が櫻に集中する中
二人はまず親父達の前に歩み寄り挨拶をしている
「遅くなり申し訳ありません」
「いや、構わないよ。仕事だったんだろ」
「はい」
「お父様、お久しぶりです」
久しぶりに聞く彼女の声
あいつってこんな話し方してたっけ?
俺の中にある牧野の印象はいつも元気で声を張り上げて司と言い合いをしている
騒々しいという印象が強かったのだが‥
今、俺達の目の前で親父達と話している
女性は少し緊張しているようだが柔らかい声で話しをしている
「櫻、元気にしていたかね」
「はい、おかげ様で」
「そうか。仕事の方はどうだ?」
「はい、皆様のおかげで何とか日本での出店の準備も整いました」
「そうか、いよいよ櫻のデビューだな。お祝いしないとな。
櫻、欲しい物があれば何でもいいなさい」
「ありがとうございます」
柔らかく微笑んだ彼女に釘付けになる
俺達の中にある牧野じゃない
いや、牧野なんだけど‥
雰囲気が全く違う‥
「君達は初対面じゃないようだがね、一応紹介しておくよ私の妻の楓だ」
そう紹介された楓は一瞬、自分の夫の顔を恨めしそうに睨んだが
すぐに櫻に向き直り先手を打ってきた
「お久しぶりね、牧野さん。今は櫻さんなのね、司の母の楓よ。
雛ちゃんは司の子供なのよね?だとしたら私は雛ちゃんのおばあちゃんって事になるのね。
昔はあなた達の事反対したけれど、出来れば司と一緒にN.Yに来てもらえればと思っているのよ」
一気にそう言い終えた司のお袋さんの言葉に櫻が戸惑ったような表情を浮かべている
「‥申し訳ありません。
すでにお聞き及びだと思いますが私には雛の父親が誰なのか分かりません。
なので‥」
「分かっているわ、だから、今すぐにって言ってるわけじゃないのよ。
一度、雛ちゃんも連れてN.Yに遊びにいらっしゃればいいんじゃない。
考えておいて」
「‥は、はい‥」
牧野とお袋の会話で今のあいつの中には俺は居ないという事が分かった
「櫻、こちらに座りなさい」
促されて櫻はあきらの親父の隣に腰を下ろした
あきらも少し離れて腰を下ろしている
「今、司達にも話したところなんだがお前に話しておかなければならない事があるんだ。
あきら君には日本に帰る前に話してあるんだがね」
「‥はい‥」
「櫻、あと一年で記憶が戻らなければあきらと結婚しなさい」
「・‥えっ?」
親父の言葉に櫻は驚いてあきらの方を見た
「どうした?そんなに驚く事でもないと思うがね」
「で、ですが、私は‥」
「分かっているよ。今はあきら君と兄妹になっているが、そんな事は大した問題じゃない。
もう一度、牧野つくしに戻ってもいいし、私と養子縁組をして道明寺家の娘としてもいいし
西門さんでも花沢さんでも構わないよ。とにかくこの結婚は私たちの命令だから従ってもらうよ」
「親父!こいつは俺の!雛は俺の娘だろうが!
あきらとの結婚なんて俺はぜってぇに認めねぇからな!いい加減にしろよ!
何が命令だ!!」
怒鳴り声を上げた司の気持ちも分かる
だけど‥この状況でどうすれば親父達に逆らう事が出来るのだろうか?
自分の将来の伴侶を自分で選び出すことなど不可能だと諦めていた
いや、今でも諦めている
親父達が何を考えているのかは分からないが
面と向かって命令だと言われるとこの上なく嫌悪感を覚える
だけど‥牧野の考えていることも分からない‥
「‥分かりました」
興奮している司を遮る様に櫻が静かに返事をした
決定的な答えだった
あきらが慌てて間に入る
「櫻!お前何言ってんだよ?!本当にいいのか?」
「夕べ、話したでしょ?一歩前に踏み出すって‥」
「い、言ってたけど‥それが俺との結婚っておかしいだろ?」
「あきらは嫌なの?」
「‥そうは言ってないだろ」
こちらも決定的な答えだった
「どうやら話はまとまったみたいだね。
じゃぁ、そう言う事で話を進めるよ」
「お父様、もし私の記憶が戻った場合はどうなるのですか?」
「その時は櫻の意志を尊重するよ。そのままあきらと結婚してもいいし
司君とやり直しても構わないとにかくお前達でよく話し合いなさい」
「それじゃぁ、私達はそろそろお姫様のお相手をしなくちゃいけないのでね」
総二郎の親父さんがイタズラっぽく言うと親父四人組と司のお袋さんがリビングを出ていた
残されたのは俺達と牧野と椿姉ちゃんだけ
重たい空気の中
ハァ~
どうすんだよ?!
この状況‥
しばらく誰も口を開かなかった

応援ありがとうございます。
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴
ノックと共にドアが静かに開き
あきらとその少し後ろから写真の中の女性が入ってきた
久しぶりに見た牧野つくしだった
その場に居た全員の視線が櫻に集中する中
二人はまず親父達の前に歩み寄り挨拶をしている
「遅くなり申し訳ありません」
「いや、構わないよ。仕事だったんだろ」
「はい」
「お父様、お久しぶりです」
久しぶりに聞く彼女の声
あいつってこんな話し方してたっけ?
俺の中にある牧野の印象はいつも元気で声を張り上げて司と言い合いをしている
騒々しいという印象が強かったのだが‥
今、俺達の目の前で親父達と話している
女性は少し緊張しているようだが柔らかい声で話しをしている
「櫻、元気にしていたかね」
「はい、おかげ様で」
「そうか。仕事の方はどうだ?」
「はい、皆様のおかげで何とか日本での出店の準備も整いました」
「そうか、いよいよ櫻のデビューだな。お祝いしないとな。
櫻、欲しい物があれば何でもいいなさい」
「ありがとうございます」
柔らかく微笑んだ彼女に釘付けになる
俺達の中にある牧野じゃない
いや、牧野なんだけど‥
雰囲気が全く違う‥
「君達は初対面じゃないようだがね、一応紹介しておくよ私の妻の楓だ」
そう紹介された楓は一瞬、自分の夫の顔を恨めしそうに睨んだが
すぐに櫻に向き直り先手を打ってきた
「お久しぶりね、牧野さん。今は櫻さんなのね、司の母の楓よ。
雛ちゃんは司の子供なのよね?だとしたら私は雛ちゃんのおばあちゃんって事になるのね。
昔はあなた達の事反対したけれど、出来れば司と一緒にN.Yに来てもらえればと思っているのよ」
一気にそう言い終えた司のお袋さんの言葉に櫻が戸惑ったような表情を浮かべている
「‥申し訳ありません。
すでにお聞き及びだと思いますが私には雛の父親が誰なのか分かりません。
なので‥」
「分かっているわ、だから、今すぐにって言ってるわけじゃないのよ。
一度、雛ちゃんも連れてN.Yに遊びにいらっしゃればいいんじゃない。
考えておいて」
「‥は、はい‥」
牧野とお袋の会話で今のあいつの中には俺は居ないという事が分かった
「櫻、こちらに座りなさい」
促されて櫻はあきらの親父の隣に腰を下ろした
あきらも少し離れて腰を下ろしている
「今、司達にも話したところなんだがお前に話しておかなければならない事があるんだ。
あきら君には日本に帰る前に話してあるんだがね」
「‥はい‥」
「櫻、あと一年で記憶が戻らなければあきらと結婚しなさい」
「・‥えっ?」
親父の言葉に櫻は驚いてあきらの方を見た
「どうした?そんなに驚く事でもないと思うがね」
「で、ですが、私は‥」
「分かっているよ。今はあきら君と兄妹になっているが、そんな事は大した問題じゃない。
もう一度、牧野つくしに戻ってもいいし、私と養子縁組をして道明寺家の娘としてもいいし
西門さんでも花沢さんでも構わないよ。とにかくこの結婚は私たちの命令だから従ってもらうよ」
「親父!こいつは俺の!雛は俺の娘だろうが!
あきらとの結婚なんて俺はぜってぇに認めねぇからな!いい加減にしろよ!
何が命令だ!!」
怒鳴り声を上げた司の気持ちも分かる
だけど‥この状況でどうすれば親父達に逆らう事が出来るのだろうか?
自分の将来の伴侶を自分で選び出すことなど不可能だと諦めていた
いや、今でも諦めている
親父達が何を考えているのかは分からないが
面と向かって命令だと言われるとこの上なく嫌悪感を覚える
だけど‥牧野の考えていることも分からない‥
「‥分かりました」
興奮している司を遮る様に櫻が静かに返事をした
決定的な答えだった
あきらが慌てて間に入る
「櫻!お前何言ってんだよ?!本当にいいのか?」
「夕べ、話したでしょ?一歩前に踏み出すって‥」
「い、言ってたけど‥それが俺との結婚っておかしいだろ?」
「あきらは嫌なの?」
「‥そうは言ってないだろ」
こちらも決定的な答えだった
「どうやら話はまとまったみたいだね。
じゃぁ、そう言う事で話を進めるよ」
「お父様、もし私の記憶が戻った場合はどうなるのですか?」
「その時は櫻の意志を尊重するよ。そのままあきらと結婚してもいいし
司君とやり直しても構わないとにかくお前達でよく話し合いなさい」
「それじゃぁ、私達はそろそろお姫様のお相手をしなくちゃいけないのでね」
総二郎の親父さんがイタズラっぽく言うと親父四人組と司のお袋さんがリビングを出ていた
残されたのは俺達と牧野と椿姉ちゃんだけ
重たい空気の中
ハァ~
どうすんだよ?!
この状況‥
しばらく誰も口を開かなかった

応援ありがとうございます。
スポンサーサイト