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月夜に 51

こんばんは。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴









その後は滋と桜子も合流して一気ににぎやかになった

能天気に登場した滋にその場の雰囲気は一気に和んだけれど
全く状況を理解していないハイテンションは気を付けていないと
どんどん司の地雷を踏んでいく

「櫻ちゃ~ん、この前は驚かせちゃってごめんね」

「い、いいえ‥滋さんと‥桜子ちゃん‥?」

櫻はあきらの方へと確認するように視線を送ると
あきらが小さくうなずいた

「私こそごめんなさい。
 話も聞かないで逃げ出したりして‥」

「いいの、今日またこうして会えたんだから!もういいの‥」

滋は櫻に抱きつきながら泣いているけれど
抱きつかれた櫻には戸惑いの表情が浮かんでいる

「滋さん、先輩を独り占めしないでください!」

桜子は櫻に抱きついていた滋を強引に引き剥がすと今度は自分が抱きついている

思ったとおりの二人の反応だがいつまでも女同士の抱擁を見ているのはつらい

「オイ!桜子もういいだろう!そろそろ離してやれよ」

総二郎の声に桜子はしぶしぶ牧野から離れるとすぐに滋が

「ねぇ~今日は雛ちゃんも一緒?」

「はい」


「え~会いたい~、ねぇ、ねぇ、会わせて~」


「は、はい。じゃぁ、呼んできますね」


「いい、俺が行く、お前はここにいろ」


「うん、お願い」


あきらが雛を連れて戻ってくるとリビング中に再び滋の叫び声が響いた

ったく!

”かわいい~”とか”司にそっくり~”だとか、
この前写真見た時に言ってたのと同じじゃねぇかよ!

もっと、ほかに無いのか!

あ~ぁ、リアクションがいちいちオーバーなんだよなー

もうちょっと普通にできねぇか?


ほら見ろ!

雛がビックリしてるじゃねぇか!

泣かすなよ!


その後、女達は雛を囲んで何やら盛り上がっているが
俺達は‥

司もあきらも一言もしゃべらねぇし‥

何だよ、何か言えよな!


類!涼しい顔でワインなんか飲んでんじゃねぇよ!


しばらくは対照的な時間が流れていたが

今まで大声で騒いでた

騒いでたのは主に滋だけだったけど‥

女達が急に静かになったから
見ると櫻に抱かれていた雛が眠ってしまっている


「あきら?雛が寝ちゃったんだけど‥」



櫻に呼ばれて時計を見ると午後8時を過ぎていた

いつもはベッドに入って誰かに絵本を読んでもらっている時間だな

「疲れたんだろうなよく寝てる」

「そうね。今日もず~っと遊んでたもの」

「そうだな」

二人で雛の寝顔を覗き込みながら話している

まただよ二人だけの世界だ‥


「ずっと抱いてたら重いだろ?」

「うん、腕が痺れてきた。」

「抱いててやるよ」

そう言ってあきらが櫻から雛を受け取ろうとした時、司が動いた

「俺に貸せ!」

突然のその言葉に全員の視線が司に釘付けになる

「えっ‥?」

一瞬、櫻が困った顔をしたのが分かったが構わずに続ける司

「大丈夫だ!何もしねぇよ!このまま抱いとくわけにもいかねぇだろーが!?
 だからベッドに寝かせてくるだけだよ!」

少しきつい口調で話す司に困った顔の櫻が助けを求めるようにあきらを見ているが

あきらが小さく頷くと櫻は静かに雛を司の手に渡した


あきらが言ってた通りだった

6年半ぶりに再会した牧野は俺達の知っている牧野つくしじゃ無かった

どこか不安げで自信がなく
常にあきらに助けを求めている

司の時もそうだったが記憶が無いという事は
こんなにも一人の人間を変えてしまうものなのだろうか?

「心配だったら、お前もついてくればいいだろ」

司は睨み付けるような表情で声も先ほどよりきつくなっている

その怒気を含んだ声色に櫻が怯えた顔をあきらに向ける

一つ一つあきらに確認する牧野に司が苛立つのは分かる
はたから見ている俺だっていい加減にしろって思うけど
だからって、怯えさせてどうすんだよ!

それじゃぁ、逆効果だろうが!

もう少しやさしく言えねぇのかよ!

「大丈夫だから、雛について行ってやれ」

「‥わ、分かった」


雛を抱いた司が先に出て行った
その後を櫻が少し遅れてついて行く

司が雛を寝かせたのは自分の部屋のベッドだった

部屋に入ると司はやさしく雛を自分のベッドに寝かせ額にキスしている

そんな様子を複雑な心境で見ていたが急に今ここには自分と彼しかいない事に気付いてしまった

思いがけず二人っきりになってしまい戸惑ってしまう‥












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kirakira
Posted bykirakira

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