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月夜に 54

こんばんは。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴







総二郎が出ていったのは気配でわかった

俺達どうしてこんな風になっちまったんだ?


俺はお前を傷つけたいわけじゃないんだ

なのに俺の口をついて出てくる言葉は
いつもお前を傷つけてしまう

だけどこの気持ちに嘘は無い

お前を愛してると言った言葉にも嘘は無い

俺はもうお前がいないと生きていけないんだ

だから俺は諦めない

お前とこの先の人生を共に歩んでいくために

ぜってぇ諦めねぇかんな!





屋敷に帰り着いてあきらは櫻の部屋へと直行し
ノックをしたが返事はない

また泣いてるのか?

ドアをそーっと開けながら声を掛ける

「櫻?入るぞ」

部屋に入ると櫻はバルコニーに置かれているデッキチェアーに座りぼんやりと夜空を眺めていた

ゆっくり近付き隣に腰を下ろし、何も言わずに肩に腕を回すと頭を肩にもたれさせてくる

「大丈夫か?」

独り言のようにつぶやくと櫻は前を向いたままで

「うん‥先に帰ってきちゃってごめんね」

「いいよ、気にするな」

「みんなにも心配かけちゃったね」

「そうだな」

「あのね‥聞いて欲しい事があるの」

「なに?」

「私、道明寺さんに痛いところ突かれちゃったんだと思うの‥」

「痛いところ?」

「そう、自分でも分かってるの、こんな事じゃダメだって。
いちいちあきらに聞かなきゃ行動出来ないなんておかしいもの。
でも今日、みんなに会ってみんなは私の事を牧野つくしとして見てるんだって思ったの。
でも、牧野って呼ばれても返事できないし久しぶりって言われても何て答えていいか分からなくて‥」

「話してても牧野つくしだったらどう答えるんだろ?とか
こんな事言ったらみんな、がっかりするんじゃないかって考えちゃうの。
考えれば考えるほど分かんなくなってきちゃって不安で恐くて
だんだん自分では何も決められなくなって‥」

「滋さん達が気を使ってくれてるのは分かるんだけど、上手く話せなくて、
愛想笑いしてる自分がいて、そんな自分に腹が立ってきちゃって。
そんな時に道明寺さんにズバリ言われて反射的にあんなヒドイ事言っちゃったの‥
さっき私が道明寺さんに言った事は完全に八つ当たりだよ‥」

「そうか‥俺はあんまり深く考えなくてもいいと思うぞ。
 だってお前はお前なんだから今の美作櫻でみんなと接していけばいいんだから。
 それにな6年半も経ってたら誰だって変わるよ、俺だって変わったし総二郎達だって
 みんな変わってるんだから気にする事無いよ」

「まぁ~しいて言えば牧野つくしと美作櫻の違いはすっげぇ美人になったのと
 少し大人しくなったことぐらいだな。後は変わってないな、鈍感だしどこでも寝るし、
 寝たら起きないし、素直じゃないし‥数え上げたらキリがないよ」

「何それ?褒めてるのけなしてるの?」

「両方
お前が司に言い過ぎたと思うんだったら素直に謝ればいいよ。
明日にでも電話してやれば喜ぶよ」

「本当?私、もう二度と会いたくないって言ったのに‥
雛の事だって父親だって認めてないって忘れてって‥
最低だよね、彼ね雛をベッドに寝かせた時額にキスしてたの。
本当に大事そうに‥
雛の事ちゃんと受け入れてくれてたのに‥」

「司はお前に何言われたってお前と雛への気持ちが変わる事はないよ。
 ただ、面と向かって二度と会わないって言われたのはさすがにこたえてる
 みたいだったけどな」

「やっぱり傷つけちゃったよね‥?」

「気にするな。司、今日笑ってただろ?あいつのあんな顔見るのみんな久しぶりだと思うよ。
 なんせ、N.Yでは誰もあいつに近付かないからな」

「近付かない?ってどうして?」

「いつも無表情で何考えてるか分かんないし、それに屋敷で急に暴れ出して、
 手当たり次第物壊すし、だから誰も恐がって近付かない」

「道明寺さんってそんな風には見えなかったけど?」

「それはお前がいたからだよ。あいつはお前がいればそれでいいんだよ。
昔っからお前にだけは目茶苦茶やさしかったし。
お前以外の女なんて眼中になかったからな。
記憶が戻ってからだってお前だけだよ。
誰とも付き合ってないって言ってたからな。
ずっとお前を探してたんだ。
だからあいつとの事、もう一度ちゃんと考えてやれよ」

「えっ‥!?だってお父様方は‥」

「櫻、俺はお前と結婚したいと思ってる。
だけど、司との事をクリアしないで結婚する事は出来ない。
記憶が戻っても戻らなくても司とちゃんと話し合って欲しい。
そうしないと俺が幸せになれないんだ」

「あきら‥‥」

「俺が今、言った事は本心だ。だけどな無理して俺を選ばないでほしい。
 じゃないと俺はお前といる限り不安になる。記憶が戻ったらお前は司の元に行ってしまうんじゃないかってな。
 だから俺の為にも、今は司とちゃんと向き合ってくれないか?」

「‥分かった。道明寺さんの事、ちゃんと考えてみる」

「ありがとう。
それからもう一つ、お前昔は司の事”道明寺”って呼んでたんだぜ」

「‥呼び捨てにしてたの‥?」

「ああ、あいつは”牧野”って呼んでた」

「そう、でも今は呼び捨てになんて出来ないよ」

「だったら名前で呼んでやれよ、あいつも喜ぶよ」

「う~ん‥それも考えとく‥
 ‥ねぇ、お月様キレイだね‥」

「そうだな」

しばらく何も言わずに月を眺めていた
安心したのか俺の肩にもたれかかっていた櫻の体から力が抜けていくのが分かった

ったくこいつは雛と同じだな‥

って雛が櫻に似てるんだな‥

眠ってしまった櫻を抱き上げベッドにそっと寝かせ、
顔に掛かっていた髪をかき上げ軽く額にキスをして部屋を出た







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kirakira
Posted bykirakira

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