Bunker 23

パーティーの夜から３ヶ月

今日、司達が日本に帰ってくる

あの後は大変だった

事件の一部始終はパーティーに入っていたマスコミによって報道され
司が生きていた事、事件には黒幕がいて
それがＮＹ市警本部長だった事が瞬く間に全世界に流れ
世間に衝撃を与えた


逮捕された本部長の供述によると
一連の事件の計画を立てたのは自身で
実行犯は道明寺に怨みを持ち尚且つ金に困っている者ばかりを集め
資金は市警が押収したドラッグを横流しし得ていた

計画当初は身代金の要求は入っておらず
襲撃現場で衆人観衆の目の前で司を射殺する事が目的だったが

実行犯が勝手に計画を変更し司を連れ去り
身代金の要求をした為、司だけではなく
実行犯も全て処分しなければなくなってしまったと供述している


だが実行犯の処分については計画の全てを知っている者達をそのままにしておくリスクを考え
遅かれ早かれ結果は同じだっただろうと捜査関係者は考えている

そして事の発端となったあの夜の病院での出来事に関しても
ＦＢＩが調査し直したが道明寺側が何か不正を働きかけた証拠は見当たらず

ドクターが言っていた

お袋さんのお陰でマイアミで成功出来たというのは
マイアミで開業するにあたり自身の医師としての実績をアピールする為に
嘗て担当した事のある有名人やセレブの名前を誇張して宣伝に使用していただけだと判明していた

事件の概要がＦＢＩから発表され
世間が騒然とする中

俺達も関係者として事情聴取され

それと同時に４人で記者会見を開き
黒幕にたどり着くまでの一連の流れを説明し
美作商事、花沢物産に西門流に加え滋の大河原財閥に桜子の三条家までが
今後、道明寺を全面的にバックアップしていくと表明し
事件以降、下降気味だった道明寺の業績は
一気にＶ字回復した

そして本部長は起訴され収監されていた拘置所で
収監者同士のケンカに巻き込まれ刺殺された

日本では考えられないが世界的に見れば
刑務所内や拘置所内でのいざこざで命を落とす者は多い

特に司法関係者だった者が立場が逆転し
収監される立場になった場合
余程のファイターでなければ
生き残るのは難しい

だからそのような者が収監される場合は
独居房や警備が厳重な施設へと収監されるはずなのだが
元本部長に関しては捜査関係者も多数犠牲になっていた事から
そういった配慮がなされておらず
自業自得とはいえ四面楚歌状態だった

事件から３ヶ月

司は正式に道明寺ＨＤに副社長として復帰し
牧野と子供達と共に身代わりで犠牲となった亜門の遺骨を日本に連れ帰る事になっている

亜門の亡骸は事件終了後、掘り返され
アメリカで火葬され一部をアメリカの地で
そして一部を生まれ故郷である日本へと帰ってきた

亜門には近しい親族がいない為
その遺骨は道明寺家の菩提寺で丁重に供養される事が決まっている
都内に古くからある道明寺家の菩提寺にある霊廟で
歴代の道明寺家当主達と並び常しえの眠りにつく

事件以降、司のメディアへの露出は多くなり
苦難を乗り越えたサバイバーとして
世間に認知されている

それに加え妻子がいて生まれながら恵まれた環境で育ったお坊っちゃまとしてではなく
愛する相手と手を取り合い互いに苦難を乗り越え
二人の子供の良き父親としても称賛されている

実情を知る俺達はいささか持ち上げ過ぎじゃなぇ？とは思っているが

このイメージアップにはパーティーの最後に
司を庇うように飛び出してきた牧野の行動が大いに影響している

会場内にいたメディアによって一部始終が報道されたパーティー

当然、最後に司に抱きついた牧野の姿も放送されていた

震えながら司が無事で良かったと
人目も憚らず司の胸で泣きじゃくっていた牧野

そしてそんな牧野をしっかりと抱きしめながら
牧野が怪我をしていない事を確認し
安堵の表情を浮かべていた司

そんな二人を世間は好意的に受け止め
道明寺のＶ字回復に一役買っていた

事件後の記者会見で正式に牧野と子供達の事も公表され
今回の帰国は凱旋帰国のような様相を呈していて


日本だけでなく世界中のメディアが
司家族の到着を待ちわびている









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