今宵 あなたとワルツを‥
本日2度目の更新です。
タイトルは『今宵 あなたとワルツを‥』です。
このお話しは当時、仲良くしていただいていたサイト様のOPEN1周年の記念に
プレゼントしたお話しで本宅にも未掲載です。
CPはつかつくでせつない系で最後はHappyendで本人達が幸せだと感じられればOKという
リクエスト内容でした。リクエスト通りになっいるのはせつないって部分だけのような気がしますが
現在、そのサイト様はCLOSEされているので初見の方も多いお話しだと思います。
それではどうぞ~✴
「Would you dance with me?」
「With pleasure」
今宵 あなたとワルツを・・・
あの時、繋がっていた指先をどちらともなく離したのは愛していたから
17歳で初めて経験した恋は私の平穏な日常を一変させ
時間の流れを加速させた
文字通り駆け抜けた恋だったけど
彼と出会い恋をした事を後悔はしていない
時間の流れは必然でそれは残酷な事ではない
20年経って今、やっと気付いた
変わる事を悪だと感じるのは若いから
想いは風化しない・・
今でもそう思っている
ただ時間の流れの中で色と形を変えるだけ
18歳で英徳を卒業後、進学も就職もせずに
3つのアルバイトを掛け持ちしお金を貯め
そのお金を手になんの伝手も持たずに単身
海を渡ったのは22歳の私
私が辿り着いたのはL.A
右も左も分からない異国の地で語学学校に通いながら
バイトをし大学に入ったのが23歳の秋
形振り構わずただ我武者羅だった
ただ我武者羅に頑張れたのはロスという地に流れる
独特の自由な風と降り注ぐ太陽の光が私にあっていたからかもしれない
大学を卒業後、ロスの企業に就職し
ヘッドハンティングで企業を渡り歩く事でキャリアを積んできた
一つの企業に留まる事の少ないこの国でヘッドハンティングや
条件のいい仕事を探して企業を渡り歩きながらステップアップしていくのは当たり前の事
私もそれを繰り返しキャリアを積み
部下を持つ立場になり
気が付けば15年という時間が流れていた
その間、幾つもの出会いと別れを繰り返しきた
違った選択も出来たかもしれないけれど
私は今も一人で頑張っている
今年の初めに私は長年住み慣れた西海岸を離れ
ワシントンD.Cの企業へと移った
共同経営者として迎えられた企業は規模は小さいけれど
取引先のほとんどが政府関で忙しいけれど充実した毎日を送っている
西海岸と東海岸・・
同じアメリカだけど気候も風土も全く違う
それが一番よく現れているのはパーティだと思う
ロスではとにかく良くも悪くも開放的で
のんびりと人生を楽しんでいる人が多いけれど
こちらでは・・
特に仕事柄、政府関係者が多いからだと思うけど
大げさな肩書きを付けている人が多くて
顔と名前と肩書きを覚えるのに一苦労
日本を離れて15年
ただ我武者羅に突っ走ってきた月日だったけど
今、ここに居る事を後悔はしていない
大勢の人と代わる代わる笑顔で挨拶を交わしながらも
自ら歩いてきた道が蘇ってくるのは20年ぶりに見た懐かしい後ろ姿のせいだろうか・・・?
まさか今夜のパーティに彼も出席しているなんて思ってもみなかった・・
ううん・・違う・・
まさかまた彼と出会う日が来るなんて思ってもいなかった・・
忘れたはずの後ろ姿が運んできた懐かしい風に誘われるように
私はパーティ会場となっているホールから中庭へと足を踏み出した
芝生にヒールが取られるのも気にせずに
プールサイドまで歩みを進める
今夜は満月
D.C郊外に建つこのお屋敷には
都会の喧騒なんて届かない
時折、風が木々を揺らす音が耳に心地よく響いてくる
プールに張られた水に浮かぶ月が風で波立つ水面でユラユラと形を変えている
向きを変えた風が私の背後から届けたのは懐かしいコロンの香りと足音
背後から聞こえてきたのはジッポライターの音
ただよう紫煙が私を通り越し
ユラユラと揺れる月にかかる
振り向くことも言葉を交わす事もないけれど
確かに感じている彼の存在
あの日、決して振り向く事のなかった彼
あの日、去り行く彼の背中から決して瞳を逸らす事のなかった私
あの日も言葉は無かった
言葉は嘘になるから
最後に嘘だけは付きたくなかったから
だから現実から瞳を逸らす事なく見つめ続けた背中
あの日、振り向く事のなかった彼も
きっと同じ想いだったのだろう・・
ホールから風で運ばれてきたのはワルツのリズム
今でもあなたを愛してるなんて嘘は付けないけれど
今宵、月明かりの下であなたとワルツを・・
~Fin~
2007/1/9 KiraKira

応援ありがとうございます。
タイトルは『今宵 あなたとワルツを‥』です。
このお話しは当時、仲良くしていただいていたサイト様のOPEN1周年の記念に
プレゼントしたお話しで本宅にも未掲載です。
CPはつかつくでせつない系で最後はHappyendで本人達が幸せだと感じられればOKという
リクエスト内容でした。リクエスト通りになっいるのはせつないって部分だけのような気がしますが
現在、そのサイト様はCLOSEされているので初見の方も多いお話しだと思います。
それではどうぞ~✴
「Would you dance with me?」
「With pleasure」
今宵 あなたとワルツを・・・
あの時、繋がっていた指先をどちらともなく離したのは愛していたから
17歳で初めて経験した恋は私の平穏な日常を一変させ
時間の流れを加速させた
文字通り駆け抜けた恋だったけど
彼と出会い恋をした事を後悔はしていない
時間の流れは必然でそれは残酷な事ではない
20年経って今、やっと気付いた
変わる事を悪だと感じるのは若いから
想いは風化しない・・
今でもそう思っている
ただ時間の流れの中で色と形を変えるだけ
18歳で英徳を卒業後、進学も就職もせずに
3つのアルバイトを掛け持ちしお金を貯め
そのお金を手になんの伝手も持たずに単身
海を渡ったのは22歳の私
私が辿り着いたのはL.A
右も左も分からない異国の地で語学学校に通いながら
バイトをし大学に入ったのが23歳の秋
形振り構わずただ我武者羅だった
ただ我武者羅に頑張れたのはロスという地に流れる
独特の自由な風と降り注ぐ太陽の光が私にあっていたからかもしれない
大学を卒業後、ロスの企業に就職し
ヘッドハンティングで企業を渡り歩く事でキャリアを積んできた
一つの企業に留まる事の少ないこの国でヘッドハンティングや
条件のいい仕事を探して企業を渡り歩きながらステップアップしていくのは当たり前の事
私もそれを繰り返しキャリアを積み
部下を持つ立場になり
気が付けば15年という時間が流れていた
その間、幾つもの出会いと別れを繰り返しきた
違った選択も出来たかもしれないけれど
私は今も一人で頑張っている
今年の初めに私は長年住み慣れた西海岸を離れ
ワシントンD.Cの企業へと移った
共同経営者として迎えられた企業は規模は小さいけれど
取引先のほとんどが政府関で忙しいけれど充実した毎日を送っている
西海岸と東海岸・・
同じアメリカだけど気候も風土も全く違う
それが一番よく現れているのはパーティだと思う
ロスではとにかく良くも悪くも開放的で
のんびりと人生を楽しんでいる人が多いけれど
こちらでは・・
特に仕事柄、政府関係者が多いからだと思うけど
大げさな肩書きを付けている人が多くて
顔と名前と肩書きを覚えるのに一苦労
日本を離れて15年
ただ我武者羅に突っ走ってきた月日だったけど
今、ここに居る事を後悔はしていない
大勢の人と代わる代わる笑顔で挨拶を交わしながらも
自ら歩いてきた道が蘇ってくるのは20年ぶりに見た懐かしい後ろ姿のせいだろうか・・・?
まさか今夜のパーティに彼も出席しているなんて思ってもみなかった・・
ううん・・違う・・
まさかまた彼と出会う日が来るなんて思ってもいなかった・・
忘れたはずの後ろ姿が運んできた懐かしい風に誘われるように
私はパーティ会場となっているホールから中庭へと足を踏み出した
芝生にヒールが取られるのも気にせずに
プールサイドまで歩みを進める
今夜は満月
D.C郊外に建つこのお屋敷には
都会の喧騒なんて届かない
時折、風が木々を揺らす音が耳に心地よく響いてくる
プールに張られた水に浮かぶ月が風で波立つ水面でユラユラと形を変えている
向きを変えた風が私の背後から届けたのは懐かしいコロンの香りと足音
背後から聞こえてきたのはジッポライターの音
ただよう紫煙が私を通り越し
ユラユラと揺れる月にかかる
振り向くことも言葉を交わす事もないけれど
確かに感じている彼の存在
あの日、決して振り向く事のなかった彼
あの日、去り行く彼の背中から決して瞳を逸らす事のなかった私
あの日も言葉は無かった
言葉は嘘になるから
最後に嘘だけは付きたくなかったから
だから現実から瞳を逸らす事なく見つめ続けた背中
あの日、振り向く事のなかった彼も
きっと同じ想いだったのだろう・・
ホールから風で運ばれてきたのはワルツのリズム
今でもあなたを愛してるなんて嘘は付けないけれど
今宵、月明かりの下であなたとワルツを・・
~Fin~
2007/1/9 KiraKira

応援ありがとうございます。
スポンサーサイト