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月夜に 56

おはようございます。(#^.^#)
お待たせしてばかりでごめんなさいm(__)m
久々のお引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴






なんだか夢を見ていたような気がする

ただし夢の内容は覚えなくて
嫌な感覚だけが残っている

目を覚ました時はすでに胃が痛かった
夕べからのキリキリと刺すような痛みがあり
ちょっと前かがみになりながらベッドから下りバスルームに向かう

夕べ、あきらと話していてそのまま眠ってしまったようだ

自分でベッドに入った記憶は無い
きっと彼が運んでくれたのだろう

着ているものだって昨日のまま

とにかくシャワーを浴びてすっきりすれば胃の痛みも少しは和らぐかもしれないと思い
ぬるめのお湯でゆっくりとシャワーを浴びる

シャワーを浴びて仕事に行く支度を整えてダイニングへ入っていくと
ダイニングではあきらと雛がすで朝食を採っていた
相変わらず胃の痛みはとれない

「おはよう」

「ママ~おはよう~」

「早いのね。もうご飯食べちゃったの?」

「うん、食べたよ、ママが遅いんだよ~」

「そうね。で、雛ちゃんは今日はどこ行くの?」

「今日はね~夢ちゃまとお姉ちゃま達とお買い物に行くの~」

雛はお母様の事を夢ちゃんと呼んでいる

デザートの苺をほおばりながら笑顔で答える雛に念を押しておく


「そう、よかったわね。
 でもお母様達のおっしゃる事をよく聞いていい子にしてるのよ。
 分かった?」

「は~い~」


返事だけはいいんだけど‥

新聞を読んでいたあきらだったが顔上げて

「櫻、一緒に出るだろ?」

「うん」

「だったら、早く朝飯食べてしまえよ」

「う~ん、あんまり食欲ないから。スープだけでいい」

「大丈夫なのか?きつかったら今日は休んでもいいぞ」

「もう、『sakura』のデザイナーは私だよ。少しぐらいの事で休めないでしょ。
 大丈夫よ、夕べはよく寝たし、大した事ないんだから!」

「本当に大丈夫なのか?雛もいるんだから無理するなよ。」

「うん、ありがとう、無理はしないから」


スープだけを飲んであきらと一緒に出社した

今日は朝から打ち合わせが続いている
みんながいる時は胃の痛みを忘れていられたが

一人オフィスで仕事をしているとまた痛みがやってくる
お昼にスタッフの女の子に貰った胃薬を飲んだけどあまり効き目が無いようだ
これが続くようだと一度病院に行って見てもらった方がいいかもしれない

でもあきらには内緒にしておこう

病院に行くなんて言ったら絶対について来るって言うに決まってるもの
心配かけるだけだし

これ以上、余計な心配をかけたくない‥

今日の仕事は一通り済ませ、時計を見ると6時を少し回ったところだった

携帯電話を取り出し少し迷ったが夕べの事を謝るために
道明寺さんに電話を掛けることにした

夕べあきらに教えてもらった番号にダイヤルしてみる

呼び出し音が鳴ってすぐ彼は電話に出た


ワンコールで出た事に驚いていると電話の向こうから怒鳴り声が響いてきた!

『誰だ!俺は今、忙しいんだ!』

ウッ!機嫌が悪い!

怒鳴られた!

怒鳴り声にたじろいで上手く声が出ない

「あ、あの‥櫻です!お、お忙しい所ごめんなさい!」

『えっ!?』

電話の向こうの彼が何を言ってるのかよく聞き取れなかったが
早く切ってしまいたかったので構わず用件だけを伝える

「夕べは言い過ぎてしまって‥一言謝りたくて電話しました!
 お忙しいのにごめんなさい。それだけです。それじゃ、失礼しました!」
 
早口で一気に話し終えると電話を切り、そのまま携帯の電源も切ってしまった

ハァ~ 電話するんじゃなかった‥

さらに胃が痛くなってきちゃったじゃない!

ダメだ、今日はもう帰って寝よ!






司のオフィスでは櫻から電話が掛かる少し前から総二郎が訪ねて来た

司の機嫌は最高に悪い

「よぉ!元気か?」

「はぁ?!夕べも会っただろうが!
 何の用だ!俺は忙しいんだ!用が無いなら帰れ!」

「何だよその言い方は!人が心配して様子見に来てやったのに!
で、司君は何でそんなに機嫌が悪いの?お兄さんに言ってごらん」

帰れと怒鳴られた腹いせに少しからかうような口調で言ってやると

「何でもねぇよ!気持ち悪い言い方するな!」

「何でもねぇはずないだろ、お前の機嫌の悪い原因は大方牧野の事だろうが!?」

「うるせぇーんだよ!親父の野郎が夕べの事知ってて
今朝から牧野の事はきっぱり諦めてあきらに譲ってやれとかぬかしやがった!
お前にはいい見合い相手探してやるからってよ!
冗談じゃねぇってんだ!誰が諦めるか、あいつは俺のもんなんだよ!!」

「へぇ~、それがお前がさっきから誰かれ構わず怒鳴りちらしてる原因か?」

総二郎が司の元へ来た時もオフィスの中からは秘書に怒鳴っている声が聞こえてきていた

「うるせぇ!俺のオフィスからとっとと出て行け!」

「ハイ、ハイ!じゃぁな、あんま怒鳴るなよ!」

そう言ってソファーから立ち上がろうとした時
司の携帯が鳴った

ものすごい速さで電話に出た司は電話の相手に怒鳴ってやがる

やれ、やれ‥あいつは怒鳴らないと生きて行けねぇーのか?


電話に怒鳴っていた司の様子が急に大人しくなった
不思議に思いしばらく観察していると今度は慌てている
相手が電話を切ってしまったのだろうか

『あっ‥!おい!ちょっと!』

などと叫んでやがる

全く忙しい男だ

電話を終えた司はたった今、切ったばかりの電話を握りしめ呆然としている

「おい!何そんなに慌ててんだ?誰からだったんだよ?」

「ま、牧野から‥だった‥」

「ハァ~!お前、牧野からの電話って‥
だから言っただろが!
あんまり怒鳴るなって!
ったく!で、あいつ何て言ってたんだ?」

「夕べは少し言いすぎたからごめんなさいって‥
 なぁ、総二郎どうすればいい?俺、怒鳴っちまった‥
 あいつ、絶対びっくりしてるよな?」

「そうだな。司!お前こそどうすればいいかなんて俺に聞くな!
自分で考えろ!バカ!じゃぁな!俺は帰る!!」
 
ハァ~本当にもうこんなバカに付き合ってらんねぇ!


牧野から電話が掛かってきた、これっていい傾向なんだよな?
でも俺はあいつに怒鳴っちまった

あいつが俺にごめんなさいって‥

昔なら絶対に考えられない

なのに俺はまた恐がらせて

牧野は今、俺に電話した事後悔してるだろう

恐らく二度とあいつが俺に電話してくる事などないだろう

本当に俺はバカだ!

自分でもイヤになってくる

どうすればいい?

とにかく今は一刻も早くあいつに謝らなければ、取り返しのつかない事になる


もうなってるかもしれないが

頭の中がぐちゃぐちゃで考えがまとまらない

とにかくあいつに電話してみよう

掛かってきた番号をリダイヤルしてみるが
帰ってきた声は

【お掛けになった番号は電波の悪い所におられるか電源が入っていない為掛かりません】

電源が切られてる

もう仕事どころではない

司は上着を手に取ると秘書に1時間程出かけると告げオフィスを飛び出した

オフィスを出た所であきらに電話をする

『もしもし?』

「牧野は今どこに居る?」

『自分のオフィスにいるよ』



やっぱり電話してきたな
5分程前、総二郎からの電話で櫻から掛かってきた電話に機嫌の悪い司が
怒鳴った事を聞かされていた


「今から行く」

『分かった』

俺の返事にちょっと驚いたようだったがすぐに

「あきら、サンキューな」

そう言って電話が切られた

司が礼を言った


明日は雨だな‥

いや、嵐だな‥



司からの電話を切った直後、櫻がオフィスに入ってきた

「私、終わったけど、あきらはまだかかりそう?」

「ああ、もう少し」

「そう、じゃぁ先に帰ってるわね?」

「いや、ちょっと待っててくれ」

「何かあるの?」

「今、司がこっちに向かってる」

「えっ?‥どうして?」

「お前、司に電話したんだろ?」

「したけど、何かすっごい怒鳴られたわよ」

「だからだよ。あいつ、焦ってこっちに向かってるよ。
 だからもう少し待っててやれ」

櫻が困った顔をしている

「イヤなのか?」

「う~ん、イヤって言うか、何だか彼って苦手なのよね‥
それに話す事もないし‥
ねぇ、あきらも一緒にいてくれる?」

「ダメだよ、夕べも言っただろう。ちゃんと司と向き合ってやれって。
大丈夫だよ。司はもう怒鳴ったりしないから。
それに俺はここにいるから何かあったらすぐに行ってやるから」

「ハァ~‥分かったわ。じゃぁ、オフィスにいるから」

櫻が自分のオフィスへ戻っていった

今、言った事は本心だ、櫻が俺と司のどちらを選ぶのか

それは彼女自身が答えを出さなくては意味が無いのだから









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kirakira
Posted bykirakira

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