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Family 1

こんにちは。

本日は少しBreakTime?♥

今日は『二度目』をお休みして新しいお話しをUpします。\(^-^)/
タイトルは『Family』でCPはモチロン💕つかつくです♪
内容はタイトルのまんま!家族です❗😃💕
オリキャラ取り混ぜてまった~とした展開です。
そしてこのお話しは基本1話完結なのですが…
なんとなくダラ~っと続いているのでFinの文字は打っておりません。
ラブラブなつかつくが目標なのですが私が書くとどうしても甘々度が足りないような気がします…(ー_ー;)
甘々ラブラブの代わりに仲良し家族を楽しんでいただければ嬉しいです🎵😍🎵


最後までお読みいただきありがとうございます。\(^-^)/
色々書きましたがいつも以上に緩~い感じでお楽しみくださいませ🎵



それではどうぞ~✴




私信です。
☆様
こんにちは。
いつもコメントありがとうございます。😆
司君、やらかしちゃいます!…(笑)
皆をビックリさせちゃうんです❗Σ(゜Д゜)








私の朝は忙しい!

って…大抵の共働き子育て中の主婦はみんなそうだろうけど

我が家には寝起きがウルトラ悪い男が三人もいる

その内の一人は三日前から北海道に建設中のリゾートホテルの視察に出かけてて留守なんだけど
まだ二人残ってる

毎朝5時半に起きて朝食の準備をしながら
二人を起こすんだけど

これがなかなか手強いの…


どこでもすぐに寝ちゃって
一度寝たらそんじょそこらじゃ起きないって

これは私の遺伝子を引き継いじゃったんだけど
とにかく寝起きが最悪ってのは
パパの遺伝子

ハァ~

時計を見ると既に6時を回っている

さっきから二回立て続けに起こしてるのに!

二人とも全く起きてくる気配はなし

もう!全く!


ここが実家ならちょっと大きな声を出せば
いいだけなんだけど
ここだとそうはいかない

無駄に広いって言うか…

とにかく少々大声で叫んだところであの子達の部屋まで届かない


現在の住まいは都内にあるパパが所有する超高級マンション

高さ制限のある地域に建つ5階建ての最上階のワンフロアーが現在の住まい

この建物自体が司が個人で所有している物件だから

このマンションに住んでいるのは最上階の私達の他には

3階には西田さんとSPさんに運転手さん
2階にはメイドさんとシッターさん

全部、道明寺の関係者ばかり


そこに親子四人暮らし

5年前、NYから日本支社の専務就任に合わせ帰国したのを機に
ここに住み始めた

私の人生…

私達の人生は…

パパがNYの大学に通う為、渡米した2ヶ月後に
劇的な変化を遂げた


パパがNYに渡り2ヶ月後、無事に、
英徳学園高等部の三年に進級していた私は
相変わらずバイト三昧の忙しい毎日を送っていた

パパからの連絡は週に一度あるかないか
それも、真夜中の数分だけだったけれど
私にとっては大切でかけがえのない時間だった


そんな日常の中で私の妊娠が発覚した

最初に気付いたのは桜子

桜子の付けていた香水の匂いで気持ち悪くなり
顔をしかめた瞬間、桜子の放った言葉にフリーズした私

心当たりはある

可能性もある


その後、桜子が買ってきてくれた検査薬で調べてって…

あれって説明書に何分待ってとか書いてあるじゃない?

でもね、何分も待つまでもなく

試した瞬間あっという間に二本線が…

もうその後は怒濤の展開で

正直、あの頃の事はよく覚えていない

あっという間に妊娠確定で

あっという間にパパが一時帰国して

あっという間に入籍して

あっという間にお屋敷に引っ越し完了

初めての妊娠に安定期に入るまでは悪阻も酷く
ほとんどをベッドの中で過ごした私

パパはNYで大学に通いながら仕事も始めていたから
連絡も儘ならない中で私は17歳で長男の健(たける)を出産した

18歳の父親と17歳の母親
自己中で我が儘放題だったお坊っちゃまと

意地っ張りで素直じゃない少女が

大人になる前に夫婦になり親になってしまった


戸惑う事ばかりの毎日の中で周囲の人達に支えられながら
私達は大人になった

健が産まれて半年後、私は健を連れパパが待つNYへと移り住み
その二年後に次男の翼が産まれ
現在、四人家族


パパは当時、マンハッタンにある超高級アパートのペントハウスで独り暮らしをしていた

大学にも近く会社にも近く
セントラルパークからも近く立地条件は最高の部屋で
私と健も渡米後はその部屋で暮らし始め
結局、日本に帰国するまでの7年間をその部屋で過ごした


渡米してすぐは大変だった

慣れない環境での子育てと言葉の壁
そして大学に仕事

頼るべき人がお互いしかいない状況で
くだらない事で言い争いしている暇などなく
時々、ストレスを互いにぶつける事はあっても
互いに思いやり信じて進むしかなかった


今になって思い返せば予定外の妊娠だったけれど
健が産まれてきてくれたことで
私達は成長出来たんだと思っている


ハァ~

健の部屋に入るとさっきまでと同じ体勢のまま


「健!いい加減起きなさい!」

布団を剥がし大声で起こすのに
微動だにせず

毎朝の事なんだけどね…

朝から疲れる


「ちょっと!健!
いい加減に起きないとチューするわよ!」


12歳になり中等部に進級した
思春期に突入したお兄ちゃんは
母親からのキスで目が覚めるなんて許せないらしく
大抵これでバッチリ目が覚める

毎朝、聞こえてんじゃない!?

だったら最初っから起きなさいよ!って思うんだけどね

その反面、今日もチュー出来なかったって
ちょっと残念な気持ちもあるのよね

軽くうめき声を上げて健が体を起こしたのを確認して
翼の部屋へと向かう


翼はまだ健ほど難しくない

だって、まだ初等部の5年生だから
問答無用でチューしちゃえばいいんだから!

毎朝の儀式

こんな私にパパは呆れてるけど

いい加減にしろ!って怒るけど

けどね…

可愛くて可愛くて…

やっぱりベタベタしちゃう

「翼!そろそろ起きて!」

可愛いい頬っぺたにチューを一つ落としながら
少し体を揺するとやっと目を開けた翼


そのタイミングで強引に体を引き上げ
ベッドから下ろすと


「ほら!時間が無いからさっさと顔を洗って着替えて来て!」

とバスルームへと背中を押す


これで完了!

後は朝ごはんを食べさせて
迎えの車に乗せれば完璧


二人を見送った後、私も急いで支度をする

私は帰国後、道明寺財閥の日本支社の総務部で働き始めた


NYで翼を出産後、お義母様の勧めでパパも通っていた大学へと通い始め

卒業したのが24歳の時

そのタイミングでパパが日本支社の専務として帰国する事になり
一緒に帰国し私も働き始め

今年の春に支社長に昇格したパパの元で一社員として頑張っている


自宅マンションから地下鉄の駅まで徒歩5分

地下鉄で5駅

地下鉄の出口を出ると目の前が日本支社

通勤時間は約30分

パパは自分と一緒にリムジンに乗って行け
なんてお馬鹿な事言ってるけど

冗談じゃない!

結婚してることも子供が二人もいることも
未だ世間には発表していないのに

パパの注目度…

パパだけじゃなく花沢類にしても
西門さんにしても美作さんにしても

世間の注目度は高い


未だF4などと呼び

30の大台に乗ったハイスペックな四人組の中で

誰が一番好みだとか
誰が一番オシャレだとか
誰が一番優しいだとか
誰が一番最初に結婚するかだとか


メディアでの話題に事欠かない

この前だってパパは某週刊誌にパーティーで挨拶しただけの
どこかのご令嬢と婚約間近だと書かれていて
笑ってしまった

そういえば先月は美作さんが滋さんをパートナーに出席したパーティーの写真が雑誌に載り

婚約、結婚…果てに美作商事と大河原財閥が業務提携か?!

なんて書かれていて

株価にまで影響が出てしまい
ちょっとした騒ぎになった

滋さんは面白がって『私、あきら君ならいいよ!面白そうだから結婚してみる?』だなんて爆弾発言で
美作さんがソファーから滑り落ちていた


そんな感じだから

もし世間にバレたらえらい騒ぎになる事は目に見えている

私にしても仕事をする上で大いに支障をきたすから
このまま内緒にしておいてくれた方がいいんだけどね

やっぱりパパの立場上、いつまでも独身って訳にはいかないから
どっかのタイミングで公表する事になるんだろうし
パパも最近は公表するタイミングを計っているみたいだけど
私としてはもう少しこのままがいいなぁなんて
自分本位な考えも…


季節はそろそろ本格的な夏

昨日まで三日連続で雨模様だった東京の空も
今日は朝から快晴

まとわりつくような湿気の中、満員の地下鉄から吐き出される人々の流れに乗り
日本支社の前で一度立ち止まり
ビルを見上げる


いつ見ても威圧的な高層ビル


ビルに吸い込まれるように入って行く沢山の人達に続き
私もビルの中に


日本支社の28階が私の職場

道明寺HD日本支社総務部

広いフロアーには総務部の他に
国際事業部と広報部があって
このフロアーだけで50人近い人がいる

私の所属している総務部はいわばなんでも屋さん
蛍光灯にコピー用紙などの細々とした備品の管理から
コピー機などの保守管理に
会計処理もすれば株主総会の準備まで多岐に渡っている

パパは私を自分の秘書にしようとしてたんだけどね

冗談じゃない!

経験の無い私がパパの秘書なんて無理!

秘書をしないなら働くな!

の堂々巡りに決着をつけてくれたのがお義母様


総務部は謂わば会社の中枢

どの部署にも繋がっていて
社内全体を見渡せる部署だから
社内の事を把握したいなら総務部に所属しなさい!の天の一言で決定


パパは最後まで怒ってたけど
お義母様には逆らえずそれ以来、私は総務部 総務第2課に所属している

同じ課のメンバーは課長を筆頭に全部で8人

備品の補充など誰にでも出来る雑用が多いってイメージが強いんだけどね

これが意外とそうじゃなくて忙くて重労働だったりするの

コピー用紙の補充一つにしても台車を押してビル中を行ったり来たりだし

2課には意外な経歴を持っている人が多く

全員が語学が堪能で課長なんて英語は当たり前でロシア語に中国語がバッチリだし

その他のメンバーも語学が堪能だって他にいろんな資格を持っている人ばかりで
英語が少し話せるぐらいの私なんて足元にも及ばないくらい優秀な人達ばかり

そんな優秀な人達がどうして総務部なんて?って思ってる?

それは、全員が希望したから

この部署は他の部署と違い残業がほとんど無く
長期で海外に出張に出る事もないし
有給も気兼ねせず取れる

出世は期待出来ないけれど無理無く働き続けられる部署

この部署に在籍している人達だって元々は他の部署でバリバリ仕事をし
残業だってしてたし出張だって行っていた

だけど、人生は順風満帆な時ばかりじゃないし

バリバリ働きたくても出来ない時もある
自身の体調の変化や家庭の都合など
それぞれの理由でこの部署を希望し移動してきた人ばかり

だからってここの人達は適当に仕事をしているわけじゃない
皆それぞれのペースで自身のスキルを生かし仕事に取り組んでいる

私も今は子育てを優先させたいから
残業無しで帰れる今の部署に満足している

働かざる者食うべからずがモットーだし
自分のキャリアだって重ねたいし
せっかくNYの大学を卒業したんだから
その経験だって活かしたい

だけどね、今の私の最優先事項は家族なの

パパが頑張っているのは近くで見ていてよく分かっている

そんなパパをサポート出来るのは私だけだって思ってるし

出来る限り健と翼の側にいたいと思っている

パパが幼い頃に経験した淋しさを
二人には体験させたくない

これは私だけじゃなくてパパも同意見

だから最近は少々うっとおしがられているのは分かっていながらも
彼らに…特にお兄ちゃんに付きまとっている


私の日常はそんな感じ

忙しいながらも充実した毎日


今日も朝から大忙しだった

今日は総務の仕事っていうより
人手が足りていない部署に駆り出されていて
午前中一杯を広報部で過ごしていた

広報部は2つのグループに分かれていてるんだけど
その内の一つが壊滅状態に陥ってしまった

原因は課長さん!

課長さんの下の娘さんが保育所で流行中だったウイルス性腸炎に掛かり
小学生のお姉ちゃんに移り
奥様に移り課長さんへと…

そして課長さんがウイルス性腸炎で休んだ二日後に
広報部のメンバーがバタバタと倒れ
メンバー7名中
5人が欠勤…


当然、仕事は回らなくててんてこ舞い

そして原因となった課長さんが回復し
出社して来たんだけど

責任を感じているようで
なんだか申し訳ないくらいに平身低頭で

今朝は私の課の課長に

ランチを奢るから牧野さんを貸してくれ!

って…

課長のうなぎランチと引き換えに私は広報部へ



午前中、パパからは今オフィスに戻ったってメールが入っていたけど
返事を返す暇も無いまま過ごしていた


返事を返さないままお昼過ぎ

やっとホッと一息ついて
午前中ずっと一緒に仕事をしていた
広報部の同期の女性二人と
お昼を食べる為に社員食堂へとやって来た


普段は部署も違うのであまり接点は無いし
同期だけど歳は三つ下の彼女達

二人とも道明寺HDに入社するだけあって頭が良く
美人だしスタイルもいい

そんな彼女達と空いていたテーブルを見つけてお昼を食べる


私はここ数日少し胃の調子が悪い
季節の変わり目で疲れが出ているだけだと思うんだけどね
あまり食欲がなかったので軽めに
きつねうどんとお稲荷さんのセットを注文して
席に着いた


普段からあまり接点は無いけれど
仲が悪いわけじゃない
ただ話は合わない…


年下で独身の彼女達の話題と言えば恋話
私は聞き役?

目の前で楽しそうにこの前行った合コンの話を聞いている私


合コンなんて行った事が無い
とうっかり口を滑らせてしまい始まった質問攻め

旦那様との出会いは?から始まり
根掘りはほり

高校の一年先輩で初めてお付き合いした人で
学生結婚して子供は二人って…

嘘は言ってないでしょ

ここまでは隠さず話してた事だから
社内でも知っている人はかなり多い


ただ相手が誰だかは言っていないだけ

彼女達が興味があるのは私が合コンにも行った事がなく
初めてお付き合い人と学生結婚したって事が信じられないみたい


なんだか珍獣を見ているような視線で見られてる?


私だってね…

最初は信じられなかったけどね

不思議と迷いはなかったのよね

パパとなら…


二人が一緒なら不思議と大丈夫だって思えたんだけど

目の前の彼女達には信じられない選択みたいで

初めての人と…なんて後悔してません?

なんて言われちゃってるし

後悔?

後悔なんてしていないし
きっとこの先もする事はないと思う


そう答えると…

ほら!また…

珍しい物でも見るような視線で…

まぁね、自分でもなんでこんなにもこの人をって思う事はあるけれど

仕方ないじゃない…

好きなんだもん!

理屈じゃなく彼が好きで大切なんだもん!

本人には言わないけどね


後悔しないって答えた事で彼女達の興味が
旦那様ってどんな人?にシフトしちゃったみたい


「牧野さんの旦那様ってどんな人?」

「どんな人って…言われても」


ねぇ…


我が儘だし横暴だし自己中だし

異常にヤキモチ焼きだし

さっきから私の携帯から連続してLINEのメッセージが入ってるの分かってるでしょ

束縛が半端ないし

話しながらもチラチラと携帯を意識する私に

「さっきから鳴ってるのってもしかして旦那様からですか?」


あまりにも鳴る着信音に彼女達も気になるみたい

仕事ならすぐに返信するだろうからなんとなく

だなんて…

正解です!


さっきから


“帰ってるぞ!”に始まり

“今、オフィスだ!”に

“こっちに来い!”だとか

“今、何してる?”とか

こっちに来いの前に何してるか聞いてよね!

なんて

心の中だけで突っ込みつつ

私が返したのは


“お帰りなさい。今、社食でお昼食べてる。”

だけ


「牧野さんって今でもラブラブなんですね!」

だなんて言われちゃってるじゃない!


「どうして?」


「だって、お昼休みに旦那様からこんなにメッセージが入るなんて愛されてる証拠じゃない!」


「そうなの?」


「そうですよ!なんかちょっと羨ましいかも」

ちょっとだけなの?

ちょっとだけって言葉に笑っちゃうけど

私の場合、全てがパパだけだから
比べる相手がいない


「やっぱり結婚するなら運命の相手としたいけど現実はねぇ…
なかなか難しいから色んな人と知り合って自分に合う人を探してるの」


運命の相手…

確かに私にとってパパは運命の相手なんだろうけどね…


まだまだ鳴りっぱなしの着信音

“何食ってるんだ?”とか

“俺はお前が喰いたい!”だとかね

真っ昼間からなんつぅー事を…

ハァ~ちょっと面倒くさい!

そろそろ終わらせて欲しい

そう思って返事を返そうと携帯を手にした瞬間
着信音が鳴りびっくりして思わず携帯を落としそうになった

掛けてきたのはパパ


出ないときっと出るまで掛けてくるだろうから
目の前の彼女達に断り着信ボタンを押した


「も、もしもし?」

「お前、なんですぐに返事返さねぇんだよ!俺を無視すんな!」


いきなり耳に飛び込んできた怒鳴り声に
思わず携帯を耳から離した


「お、お昼食べてたから。
ど、どうしたの?何か用?」


目の前に座る彼女達が興味津々って表情でこっちを見てるから
思わず素っ気ない返事を返してしまう

携帯から飛び出してくる怒気を含んだ声に
ウンザリして少し眉根を寄せる

だから…

私は気付いていなかった…


社員食堂から音が消え

ずっと私に向けられていた目の前に座る彼女達の視線が
私を通り越し社員食堂の入口付近に向けられていた事に

気付いていなかった…



「用がないなら切るわよ!」


「勝手に切んな!」


ん!?

背中からダイレクトに響いてくる声

そして…


「あっ!ママ~!」

って…

聞き慣れた私を呼ぶ愛しい声の存在に

気付いていなかった…

慌てて振り返ると…


そこに居たのは…


私の家族


瞬間的に状況を判断出来なくて
携帯を持ったまま固まってしまっていた
私の元までたどり着いた翼が私に抱きついてきてやっと我に返った


「ママ~!」


って…

もう10歳なのに!

未だに私をママと呼び抱きついてきてくれる可愛い息子を
思わず抱きしめる


そんな翼の襟首を持ち私から引き剥がしたパパ


もう!息子にヤキモチ焼かないでよね!


って!

そんな事、考えてる場合じゃない!

だって!

ここは社員食堂で沢山の社員さんがお昼を食べている最中なんだもの!


「ど、どうしたの?!な、なに?!」


軽くパニクっている私と

周囲の視線など気にせず悠然とした態度で隣の席に腰を下ろしたパパと

パパに引き剥がされても
いつもの事だからか慣れた様子で
今度は腰を下ろしたパパの首元に腕を巻き付けている翼と

パパの後ろで少しだけウンザリとした表情を浮かべている健


「パパが迎えに来てくれたんだぁ~」

って…

「が、学校に…?」


「うん!ママ~僕お腹空いた~!」

って…

我が子ながら周囲の視線を全く気にしていない発言に脱力


「つ、翼?そうじゃなくて…
えっーと…なんでみんなここにいるわけ?何がどうなってんの?
ってか!なにしてくれてんのよ!?」


「ママ~怒ってる?」

「えっ!?あっ!翼にじゃなくてパパに言ってるの。」


あっ!パパって言っちゃった!

んだけど…


後の祭り?


すっかりその存在を忘れてたけど…

目の前に座る彼女達がパパって言葉に反応して
悲鳴を上げちゃった…


バレたわよね!?

完全にバレてるわよね?!

まぁ…この状況を見ればとっくにバレてるんだろうけど

ずっと秘密にしてきた事を
何の相談も無くアッサリとバラされてしまい
なんかちょっとムカつく!


「ちょっと!何なのよ!?
どういう事?ちゃんと説明してよね!」


今朝まで視察に行ってたくせに、
勝手に子供達を早退させて
オフィスまで連れて来ちゃって!

「説明してやるから怒んな!
それより、こいつら腹減ってるからなんか食わせろ!」


「へっ?!こ、ここで?」

「あぁ、さっきから翼が腹が減って死にそうだって煩せぇし、お前がここでメシ食ってるって話したら自分も食べるって聞かねぇーんだよ!
おい!健!翼連れて好きなもん買って来い!」


だって…

パパにそう言われた健が翼を連れ注文ブースの方へと行きかけているのを呼び止める


「あっ!健!こ、これ!
これで買えるからおばちゃんに渡して!」

私が渡したのは社員証

好きな物を注文して最後にレジで社員証を翳すと精算出来るシステムになっている

健は私から社員証を受け取ると
チラリとパパを見て


「父さんは?」


「俺は腹減ってないからいらねぇ。」


要らないと言いながら私の食べていたお稲荷さんを一つ口に入れたパパ


なんかもうね…


開いた口が塞がらないって言うか

次の言葉が見つからないって言うか

とにかく呆れちゃって…


黙ったまま残りのうどんを食べている私


そんな私を横で肘を付き掌に顎を乗せたパパが見ている


照れる…


「こっち見んな!食べにくい!」


テーブルに肘をつき手のひらに顎を乗せこちらを見ているパパが妙に色っぽくて

こんなとこで変なフェロモン出すな!って言いたい


「笑うな!」


食べにくい!と言った私の言葉に
仕事中には絶対に見せない笑顔を浮かべたパパ


その笑顔にまた周囲から悲鳴が上がる


ハァ~


「ママ~、助けて~落ちる~」

翼の声に慌てて振り返ると
トレー一杯に器を乗せた翼が
重すぎてバランスが取れなくて
ブルブル震えながらこちらに向かって来る


「翼!落ちるから動かないで!
パパが行くから!」

その言葉にパパは

「俺かよ!?」

なんて言いながらも翼を助ける為に立ち上がった


トレーを受け取りこちらに戻ってきた二人


翼は私とパパの間に椅子を持ってくると
パパの「あっちで食え!」の言葉を無視して食べ始めた

それにしても
どんだけ食べるつもりなの!?

翼のトレーの上には唐揚げにご飯にお味噌汁に里芋の煮っ転がしが入った小鉢

唐揚げ定食だね…

がっつり食べたい若い男性社員でも満足出来るようにと
かなりのボリュームがあるのに!

その他にだし巻き玉子とデザートのプリンにさくらんぼの乗ったバニラアイス


全部、食べれるわけ?

アイス溶けちゃうわよ!

「ねぇ、翼?全部食べられる?」


「大丈夫!お腹空いてるから!」

笑顔で言い切った翼


絶対に無理!

そう思うんだけどね…

その笑顔が可愛くて

何も言えない…


私ってかなり親バカじゃない?

「食い意地張ってんのは、お前に似たんだろ!」

確かに!

そうなんだろうけどねぇ

認めるのが癪でちょっとパパを睨んだだけ

「これ。」

私の左横から健の声


健が差し出したのは社員証

それを受け取りながら彼のトレーを見ると
乗っていたのは翼とは対照的にパスタだけ

小さい頃から食が細くてかなり苦労した健


あれはイヤ!これもイヤ!で全然食べてくれなくて

偏食で好き嫌いが多くて…

パパそっくり!

パパは食が細いって言うより食べる事に執着心が無い

だから注意しとかないと朝から何も食べずに…なんて事がある

「健?それだけで足りる?」


「ん」


私の方は見ずに短い返事だけ

最近はずっとこんな感じ


話しかけても返ってくる言葉は

“ん”とか

“あ”とか

“いや”とか

だけだから

その時の会話のニュアンスで判断している

まぁ、返事が返ってくるだけまだマシなんだろうけど

でもね…やっぱり可愛いの

何が気に入らないのか知らないけど
ブスーっとしてる表情だって

可愛いくて可愛いくて堪らないのよね

やっぱり親バカでしょ?


いつの間にか目の前に座っていた彼女達も居なくなっていて

周囲の人達が私達を遠巻きに眺めてるって状況


もう今さらジタバタしても仕方がない

椅子の背凭れに身体を預けるように座り
翼越しにパパを見る


「ねぇ?仕事はいいの?」


「パパ、今日と明日はお休みなんだって!だからUSJに連れて行ってくれるって!ねぇ?そうでしょ?」


パパの代わりに唐揚げの油で口元がギトギトになった翼が答えてくれたけど…


「へっ?何それ?どういう事?」

「だ~か~ら~」

「翼!お行儀が悪いから食べながら話さないで!」


口一杯に唐揚げを放り込んだまま話す翼を注意して
視線をパパに戻す


「どういう事よ?」

「今、翼が答えただろ」

「いや…そうじゃなくて!
休みって…大丈夫なの?」


「大丈夫なんだよ!
まぁ、その代わりに来週から2週間ドイツだし今年の夏は休みが取れそうにねぇーけどな。
だからその代わりの少し早い夏休みだ!」


「そ、そうなんだ…って!
で、今からUSJ?!」


「おぅ!それ食ったら行くぞ!」

だって…


「わ、私も…?」


「当たりめぇーだろうが!
お前が行かなくてどうすんだよ?!」


いや…どうもしないと思うんだけど…


でもこれを言ったらまた何を言い出すか分からないから言わないけどね


本心では三人で行ってくればいいじゃない!ってちょっと思っている


「いや、ダメだって!私は仕事だし!今日は一日広報部のヘルプなんだから!」


「それなら大丈夫だ!秘書課から優秀なの回しといたしお前の半休届けももう出してある!」


勝手な事を…


「広報の奴らは秘書課からの応援に喜んでたぞ!」


そりゃそうでしょうよ!

秘書課って言えば花形の部署で
優秀だし独身で綺麗な人ばっかりだもの!

子持ち人妻のアラサーより喜ばれるでしょうよ!


争うつもりはないけれどパパに笑顔で言われると
なんかムカつくのよね!

そんな気持ちを込めて睨み付けるような視線を向けると
パパはそんな私の気持ちを見透かしたように
翼越しに長い腕が伸びてきて手の甲で私の頬を撫でながら

「俺はお前がいい」

だなんて…

極上の笑みを浮かべながら…

ね!ムカつくでしょ!

ムカつくから頬を撫でていた手を払いのけた


「ママ~、お腹一杯!」

横から翼の声

パパに向けていた視線を翼に戻すと
背凭れに凭れ掛かりながらお腹を擦っている翼

「もう、食べないの?
まだ残ってるじゃない!
残したら勿体ないでしょ?ちゃんと責任持って食べなさい!」


食べ物は残さず食べる!がモットーだから
子供達には最後まで食べる努力を促すけれど
食べきれないのは分かっている

こんな時は大抵私が残り物処理係なんだけどね…


胃の調子が良くないから目の前の唐揚げが重い…


子供達の手前、食べなきゃって思うんだけど手が伸びない

翼は”も~う、む~り~ぃ”なんて
言いながら半分溶けかけのアイスを食べている…


仕方なくパパに助けを求めるように視線を送ると

パパはため息一つ溢し

「腹減ってねぇって言っただろ!」

なんて言いながら翼の前からトレーを引き抜き
残り物を食べ始めた


かなりレアな姿だと思うんだけど

我が家ではこれは普通の事

って大抵の家族では普通でしょ?

だけどパパにとっては自分が幼い頃には経験しなかった事だから
最初は私にも子供の食い残しなんて食うな!とか怒ってたんだけどね


今ではこれが我が家のデフォルト

子供の食べ残しは親が食べる!

文句を言いながらも翼の食べ残しを綺麗に食べてしまったパパは
椅子から立ち上がると

「そろそろ行くぞ!」

と私に手を差し出した


私はその差し出された手を掴み立ち上がった


子供達が食べ終わった食器を返却口へと返しているのを見届けてから
ゆっくりと歩き始める


ハァ~

私…これから関西に行くのね…









応援ありがとうございます。

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kirakira
Posted bykirakira

Comments 6

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2018/05/29 (Tue) 21:12 | EDIT | REPLY |   

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2018/05/29 (Tue) 23:40 | EDIT | REPLY |   

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2018/05/30 (Wed) 00:08 | EDIT | REPLY |   

kirakira  

ま○○ん様

こんにちは。
コメントありがとうございます。😆

『Family』楽しんでいただけて良かったです\(^-^)/
ちょっとイレギュラーな設定ですが若い二人が
家族になって子供達と一緒に成長しているこのお話しは
書いている私も楽しかったです🎶
歳違いの男の子の兄弟がいるお家のママさんなんて…
身体が一つじゃ足りないぐらいですよねぇ(笑)
社内では色々とバレちゃってこれからが大変かもしれませんが
この家族の絆は変わらずホンワカと続いていくと思います❗😃💕
このお話しはシリーズとして続ける予定ですので
これからもよろしくお願いします。🎵

2018/05/30 (Wed) 12:39 | EDIT | REPLY |   

kirakira  

悠○様

こんにちは。
いつもコメントありがとうございます。😆

そうなんです❗😃💕USJに家族旅行にお出かけしちゃいます。🎵
つくしちゃんなら食い倒れの方が嬉しいかもですよね❗(笑)
美味しい物を沢山食べていっぱい遊んで家族で楽しい思い出が沢山出来たと思います\(^-^)/

2018/05/30 (Wed) 12:43 | EDIT | REPLY |   

kirakira  

あ○様

こんにちは。
コメントありがとうございます。😆

ごめんなさい~二度目待っていてもらってたのに…m(__)m
でも『Family』も気に入っていただけて嬉しいです🎵😍🎵
それから連載の続きですが…目標は最後まで全部書き上げる!なので
積み残しを全部Upしたらペースは落ちると思いますが
最後まで妄想しようと思っています。\(^-^)/
これからもお付き合いよろしくお願いします。♥

2018/05/30 (Wed) 12:49 | EDIT | REPLY |   

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