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月夜に 62

おはようございます。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴







司とそんな会話をしていると櫻が雛を連れてリビングへと入ってきた

「おはようございます」

俺は櫻の表情が気になっていたが思いのほか大丈夫そうだった

とりあえず司と向き合ってみる覚悟を決めたのだろうか?

「おはよう~」

元気よくリビングに入って来た雛が俺にも笑顔を見せてくれた

あの夜以来雛とは会っていなかった
雛が俺にどういう風に接してくれるのかが不安だったが今の言葉と態度で少し安心した

「もう出られるか?」

「はい」

「それじゃぁ、雛、行こうか?」

「うん、行こう~♪」

雛が司の差し出した手をしっかりと掴みスキップしているような軽い足取りでエントランスへと向かっていく

私はその後ろからあきらと並んで付いて行く

「パパ~ 行ってきま~す♪」

雛が元気よくあきらに声を掛けている

「おう、行ってらっしゃい!気をつけてな。」

「は~い」

今日の返事はいつもの数倍いい・・・

「それじゃぁ、行ってくるわね」

「あぁ、気を付けてな。楽しんで来いよ」

「うん」





俺は先に雛を車に乗せて後ろを振り返ったその時、見えてしまった
牧野の手が一瞬、あきらの指先に触れたのを・・・

偶然かもしれない・・だけどほんのちょっとした事が気になってしまう・・
今、見た光景を頭から追い出そうと目を逸らした

何事もなかったかのように彼女を車へと招きいれ
あきらにも軽く声を掛けて俺も車へと乗り込んだ

俺達が車に乗り込むとすぐに車は動き出し
車内には気まずい沈黙が流れていた

お互い何を話せばいいのか分からない・・・

雛が不思議そうにそんな俺達の顔を見比べている




暗い顔をしている私が心配になったのか雛が小さな手を私の手に重ねてきた

「ママ?」

「ん?どうしたの?」

「ねぇ、ママ、怒ってるの?雛、何か悪い事した?」

雛は私の暗い顔の原因が自分にあると思ったようだ・・・

「えっ?どうして?」

「だって、ママ怖い顔してるもん!」

ハァ~ 自己嫌悪・・・ごめんね・・雛・・

「ごめんね、ママは何も怒ってないよ」

「本当?」

「本当よ、だから心配しないで」

雛を私の膝の上に乗せて微笑んで見せると安心したのか
それ以上何も言わなかった

何も言わないかわりにリムジンの心地よい振動に雛は
私の胸に顔を埋めて眠ってしまった

そんな雛を見て彼は

「寝たのか?」

「ええ。」

「・・お前と同じだな」

「私と同じ?」

「ああ、お前もこの車に乗るといっつも寝てた。

寝たら最後、何しても起きなかったぞ!」

「・・・私、この車に乗った事あるの・・・?」

「ああ、何度もあるよ」

「・・そう・・」

そう言われて、改めて車内を見渡してみる・・

これといって変わった所は無いただのリムジンだ
但し、大きな身体の彼が余裕で足を伸ばせる程デカイけど

道はそれ程、渋滞していなくディズニーランドには一時間程で到着した

いつもは寝起きが最悪な雛も今日ばかりは機嫌がいい

休日だった為、園内はかなり混雑していたが

雛と手を繋ぎ前を歩く彼はとにかく目立っている
人より頭一つ出ているので遠くからでもすぐに見つけられるし
何よりそのモデル並みのルックスとスタイルはやはり人目を惹く

あきらもそうだけど・・・とにかくすれ違う人全てが振り返る

私は二人の少し後ろを付いて行くだけだけど
雛はとにかくご機嫌で広い園内を彼女のご希望通りについて歩くだけで重労働だ
こんな時は日頃の運動不足が身にしみる

目の前に人だかりが出来ているのを雛が彼に抱き上げてもらって中を覗き込んでいる

人だかりの中心にはミッキーマウスがいるようで

大勢の人がカメラを片手にシャッターチャンスを狙っている

雛が周りの人を押しのけて円の中心へと入って行ってしまった

その後ろから周囲の人に謝りながら付いて行くと

『ママ~ お写真撮って~』

雛がフランス語で叫んでいる・・・

周りに居た人達がいきなり訳の分からない言葉を話し始めた
小さな女の子に釘付けになっている・・もう、恥ずかしい!

雛は何故か興奮するとフランス語になってしまう

そしてミッキーに話しかけるのは英語で
興奮するとフランス語になるのは日常会話としてフランス語を話しているからだろうし
ミッキーに対して英語なのは恐らくビデオの中のミッキーが英語を話しているからだろう

雛が一番得意なのはフランス語、その次が英語で恐らく母国語である日本語が一番ヘタだ

よく訳の分からない日本語を話す雛を見てあきらが父親にソックリだと言っていた

けど

と言う事は・・今、雛と手を繋いで楽しそうにしている彼も日本語が不自由なのだろうか?
そんな風には見えないけど・・・

最近の雛は私が彼女の日本語を細かく注意するので私にもフランス語で話しかけてくる時がある

「雛、ちゃんと日本語で話してちょうだい」

そう言いながら雛のリクエストに答えて写真を撮るためにSPさんからカメラを受け取った

一応、カメラを持ってきていた
簡単な一眼レフのデジタルカメラでそんなに大きくないので女性にも扱いやすい

ミッキーを見上げながら何やら一生懸命話しをしている雛の写真を撮っていると

「なぁ、あいつ興奮するとフランス語になんのか?」

「うん、普段、私やあきらの前では日本語だけど、
 お屋敷のメイドさんはみんなフランス語だし、幼稚園もそうだから」

「でも、あの人形には英語で話しかけてるぞ?」

「特別教えたわけじゃないんだけど、ディズニーのビデオが全部英語だから自然と話せるようになったの。
 私は英語苦手だから」

「お前、昔っから英語苦手だったもんな」

「そうなの?」

「あぁ、よく類に教えてもらってた」

「類って・・花沢さん?」

「あぁ、あいつは英語もフランス語もペラペラだかんな」

司は少し面白くないと言った表情で話している

「あなたはどうだったの?」

「お、俺は・・今は大丈夫だけど、あの頃はな・・」

『ママ~ お腹すいたよ~』

また・・

時計を見るともうお昼を指している

『じゃぁ、お昼ご飯食べに行くか?』

「あなたもフランス語話せるの?」

「当たり前だ!俺様を誰だと思ってんだ?!」

俺様って・・何様・・?

「・・そ、そう、でも雛の前では日本語で話して」

「分かってるよ」

「雛、ちゃんと日本語でお話しなさい」

「まぁ、そんな怒るな!
 ホラ、雛行くぞ!!」

最初はどうなるかと思っていたが牧野の様子も段々と緊張が取れてきたみたいで
会話もスムーズに交わせるようになってきた

いい感じだ!






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kirakira
Posted bykirakira

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