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月夜に 64

おはようございます。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴

変わらずじっくりと更新出来る時間が取れず
頂いたコメントのお返事などが滞っております。
ごめんなさいm(__)m
お返事は後日まとめてさせていただきますのでお待ち頂ければ幸いです。m(._.)m
暫く予約投稿ですが楽しんで頂ければ嬉しいです🎵😍🎵


更新予定です。
毎朝7時に予約投稿してあります。
9日 『月夜に‥64』
10日 『月夜に‥65』
11日 『月夜に‥66』
12日 『月夜に‥67』
13日 『月夜に‥68』
以上です。💕













昼食を食べる為にやって来たのはディズニーランドの隣にある
直営ホテルだった

そのホテルのスウィートルームでフルコースの昼食が始まった

もしかして昼食の為だけにこの部屋取ったのかしら?

彼は周りに人がいると落ち着かないのだろう
三人でゆっくり食べたかったからと言っていたが・・

この人って全てこんな調子なのだろうか?

そして、もう一つ驚いた事は食後のデザートを
食べている時にチャイムが鳴って部屋に入ってきたのは

「誰か来たな、雛ちょっと見てきてくれるか?」

そう言って彼は雛にドアを開けさせた

ドアの前に立っていたのは
ディズニーのキャラクターが一式・・

一式って変な表現かもしれないけど
今、目にしている光景はまさにそんな感じ

もちろん雛は大喜びでミッキーの手を取り部屋へと招き入れている

ミッキーにミニーにドナルドにプーさんにプルート・・etc...
後はよく分かんないけど

とにかく一杯

あっという間に人形に囲まれてしまった

そしてキャラクターそれぞれがプレゼントを手にしていてそれを雛に渡していて
みるみるうちに雛の前にプレゼントの山が出来上がってしまった

興奮した雛はミッキー達にお礼もそこそこにプレゼントの山と格闘している

中に入っていたのはこれまたキャラクター一杯の
アクセサリーや人形などなど
恐らくどれも特注品で世界に一つしかないのだろう

頭痛くなってきた

私言ったわよね?

なるべく普通にしてって・・これのどこが普通なわけ?

でも、抗議しようにもミッキー達に囲まれて嬉しそうな雛と
その横で雛を見て幸せそうに笑っている
彼の顔を見たら何も言えなくなってしまう

黙って楽しそうな二人を眺めているとシンデレラ(多分・・?)
の格好をした人が私に小さな箱を差し出した

どうやら私にもプレゼントがあるらしい

お礼を言って受け取ったが何コレ?

複雑な感情で彼を見ると笑顔の彼と目が合った

「開けてみろよ」

そう言われてリボンを解いて箱を開けると中に
一回り小さなベルベット生地の箱が入っていた

ベルベット生地の箱を開けると中にはシンプルなダイヤのリング

彼は私からリングを取り上げると私の右手を取った

右手の薬指にはめられたダイヤのリング
ライトに反射してキラキラ光っている

デザインはシンプルでダイヤ自体は大きくはないが
クオリティーの高い物だと一目で分かる

キャラクター達はプレゼントを渡し終えると部屋から出て行った

「どうしたのコレ?」

自分の指にはめられた指輪を眺めながら彼に聞いた

「本当は左手の薬指にはめたかったんだけど
 とりあえずは右手で我慢しとく」

我慢しておく?

彼の気持ちは嬉しいけど
私はまだそんな事まで考えられない・・・

そんな私の気持ちを見透かしたように彼が言葉を続ける

「俺はお前と結婚したいと思ってる。
 けど急いでないからゆっくり考えてくれればいい。
 俺の気持ちは変わらないから」

「・・・分かった」

彼からプレゼントされたこの指輪
測ったように私の指にぴったりとはまっている

私は普段あまりアクセサリーをつけていない
持っているアクセサリーの数もそう多くはないし
その殆どがお父様方やあきらからのプレゼントされた物だ

牧野つくしだった頃の持ち物の中にあったのは
土星のネックレス一つだけで、元々、私はアクセサリーなど
身に付けていなかったのだろう

雛が産まれた後も指輪などは危ないから普段からつけていなかったし
カメラを始めてからは薬品を使ったりするので着けていなかった

「ねぇ・・・指のサイズ誰かに聞いたの?」

「いいや、昔、お前が眠ってる時にこっそり測ってた。
 だけどサイズが変わってなくてよかった」

「昔・・・?」

「ああ、まだ俺が記憶を失くす前にお前に指輪をプレゼントしようと思って測ってた。
その指輪は記憶が戻ってからNYで買ったんだ。
いつかお前に渡そうと思ってずっと持ってた。渡せてよかったよ」

そう言って彼は微笑んでいる

「何年も持ってたの?ずっと・・・?」

「ああ、買ったのは6年前だ。
 NYに行って仕事を始めて初めて貰った自分の給料で買ったから
 そんなに高いもんじゃないけどな」

6年前から・・

6年前、彼は一体どんな想いでコレを買ったのだろう?

6年間、彼は一体どんな想いでコレを持っていたのだろう?

私がパリで失くしてしまった記憶に苦しんでいる時に
彼もまたNYで取り戻した記憶に苦しんでいたんだ

”ありがとう”の言葉と共に涙が溢れ出す

私が記憶を失くしたこの6年間、自分でも気付かないうちに
あまりにも多くの人たちを巻き込んでしまっていた

泣き出してしまった私の頬に彼の手がそっと触れた

温かい手

あきら以外の人に触れられるのは好きじゃなかったけど
彼の手は不思議と嫌じゃなかった

「泣かないでくれ・・泣かせるために渡したんじゃないんだ」

声にならない

声を出してしまったらとめどなく涙が溢れてきそうで小さく頷いただけだった

急に泣き出してしまった私に雛が驚いている

不安そうな表情を浮かべて私の元へと近寄ってきた彼女は
泣いている私の顔を下から覗き込みながら

「ママ?どうしたの?おなかいたいの?」

雛の少し間の抜けた問いかけに思わず笑ってしまう

「クスッ・・大丈夫よ。
 お腹痛くないよ」

そう言いながら雛を抱き寄せると雛も私を抱きしめてくれる
私の背中に回された小さな手にまるで守られているようで心が温かくなる

そんな雛に彼は数日前、私に見せてくれたあの土星のネックレスを手渡した

雛はネックレスを手に取ると自分の顔の高さまで持ち上げて
ウットリとした表情で眺めている

彼はネックレスの先に付いているのは土星だと説明しているが
雛はいまいちピンときていない様子

彼は懸命に雛にも分かるように土星とは何かを説明しようとしているのだが

”土星ってなに?”

”惑星だ”

”惑星ってなに?”

こんな調子で質問が質問を呼びどんどん土星から離れていってしまう

とうとう答えきれなくなった彼は今度見せてやると言って
会話を終わらせてしまった

雛は目の前に積み上げられている沢山のプレゼントを一つ一つ箱から出して
私や彼に見せて楽しそうに笑っている

向かい側に座っている彼もコーヒーを飲みながら楽しそうだ










応援ありがとうございます。
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kirakira
Posted bykirakira

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