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二度目の恋の話をしよう 34

こんにちは。

本日は二度目です🎶
いよいよ披露宴です♥


それではどうぞ~✴










披露宴当日は朝から快晴

滋は披露宴日和だなんて言っているけれど

正直、俺はすでに疲れがピークに達している

いつもにも増して超ハイテンションな滋とは裏腹に

俺は今日という晴れがましい一日をなんとか無事に乗り切る事だけに神経を使っていた

滋は・・・

この際もう滋は脇に置いといて

本心は今日という日を無事に迎えられた感慨も一塩だし

世間一般の娘を嫁に出す父親同様に

寂しさやら嬉しさやら上手く言葉では言い表せない感情も湧き出てくる

式はとっくに済んでいるのに

今日の方が感慨深いのはどうしてだろう?

きっとこの前の式は質素でひっそりとしたもので

式に出席していたのもだいたいいつものメンバーだったから
気構える程でもなかったからだと思っている

「パパ!もぅ!何ボッーとしてるのよ!」

イテ~・・・・・・

滋の声と共にド~ンと背中に衝撃が・・・

絶対背中に滋の掌の跡がついてるぞ!

「痛てぇな!いちいち叩かなくていいだろ?!」

「パパがボッーとしてるからでしょ!
 そんな事よりそろそろお客様が到着する時間だから早く準備して!」

「あぁ・・・分かってるよ」

俺の感慨なんて微塵も察してはくれない滋に急かされ着替えを済ませ

続々と到着しているであろう世界中からの招待客を出迎えるべく下へと降りる

メープルは今日の式の為に全面改装し貸し切りにされている

招待客の中には要人もいるため

敷地内はもちろんだか周辺の道路も交通規制が掛かり

式に関係の無い車両はもちろん徒歩でも近付けないようになっている

もちろんこれは道明寺の力による所が大きいのだが

日本の首相を始め大臣クラスの大物政治家が多数出席する披露宴だから

これぐらい厳重な警備も必要なのだろう

披露宴会場へと滋と降りて行くと

すでに司と牧野は会場入口に居て招待客への挨拶を始めていた

さりげなく二人の横へと並び笑顔で招待客を迎える

古くからの取引先の人間や付き合いのある政治家などなど

多岐に渡りレパートリー豊富な招待客が世界中から到着している

隣に立つ牧野は落ち着いた様子でそれらの招待客一人一人に笑顔で応対している

俺は十代から二十代に掛けての彼女を一番間近で見てきた

少しづつ蛹が成虫に孵化するかのように

ゆっくりと時間を掛け少女から大人の女性へと成長していった彼女は

やがて自らを更に高める運命の男と再会し羽ばたいて行った

なんて少しキザかもしれないけれど

この時、真剣にそう思っていた









午後7時いよいよ披露宴が始まった

余談だがこの夜の7時から開始には訳がある

この披露宴は全国ネットで生放送されている

芸能人じゃあるまいしなんでテレビ中継なんてするんだよ!?

とは思ったけど・・・

これを言い出したのは滋で・・・

流石にテレビでの生放送なんて・・・

と、難色を示す牧野を説き伏せテレビ中継の話しを進めてしまった

滋に何を言っても無駄だから

俺からこの件に関して意見を言った事はなかったけど・・・

やっぱ少しは言った方がよかったか?

なんて今ごろになって少し後悔している

披露宴は順調に進んでいる

広大な会場に規則正しく配された円卓には

この日の為に世界中からよりすぐりの食材をかき集め

世界中のメープルホテルの総料理長が呼び寄せられ

それぞれが腕を競い合った料理が並べられている

仲人は立てず乾杯の音頭を取るのは壮大な権力争いではなく

小賢しい派閥争いの末に日本の最高権力者の座をつかみ取り

就任一ヶ月で早くも器の小ささが露呈し

支持率がステルス並に低空飛行を続けている首相

続いてお決まりの祝いのスピーチが続き正直退屈だ・・・

一年以上もの時間を掛けてゴールデンタイムに

テレビ中継までしているのに豪華ではあるが普通の披露宴だ

いや・・・普通の披露宴でなんの問題も無いのだけれど

あの滋が考えたにしてはあまりにも普通すぎないか?

なんてお決まりの美辞麗句を並べたてるスピーチを聞き流しながら考えていた

式は順調に進んでいるようだけど

肩書ばっか大袈裟な腹の出たハゲ親父の連続スピーチを

テレビで生放送なんてして見ている奴いんのか?と少し心配になってきた頃

「なぁ滋?なんか隠してる事とかねぇよな?」

不安に駆られ隣に座りスピーチなんて全く聞かず料理に夢中の滋に聞いた

「隠してる事?今は特にないけどどうしたの?」

今はってとこが気にならなくもないけど

ここではとりあえず脇に置いといて

「いや・・・なんか普通の披露宴みたいだから・・・
 このまま終わんのかな?っと思って」

「私とつくしの披露宴なんだよ!そんなわけないじゃん!」

ドーンと背中への衝撃と共にそう言い切った滋

いや・・・優と夢花の披露宴だから・・・

「こ、これから何が始まるんだ?」

「それは始まってからのお楽しみだから!
 あっ!そろそろお色直しの時間だから私行くね!」

お色直しにお前は関係ねぇーだろ!?

俺の心の声が滋に届くはずもなく・・・

滋は広い会場の反対側のテーブルに座る牧野を引っ張り外へと出て行ってしまった

国内外から厳選されたとはいえ

道明寺家と美作、大河原家の披露宴となると両家合わせて

千人近い招待客で会場は埋まっている

そんな中で席の配置を決めスピーチの順番を決めるだけでも一苦労なはずなのに

二人の母親はお色直しにまで口と手を出している・・・

二人の母親がこの披露宴に掛ける情熱は並々ならぬ物があるけれど

その方向性は真逆と言ってもいい

牧野はただひたすら道明寺家の為

世界に名だたる大財閥として一分の隙もないように情熱を傾け

滋は娘の披露宴を他の誰も真似出来ないぐらい派手に豪華に楽しむ事に情熱を傾けている

司は・・・

自分の長男の披露宴だからまぁなんとかおとなしく座ってはいるが・・・

座っているだけで・・・

隣の牧野が滋に連れ去られた途端に

こんなに離れていてもはっきりと分かるほどの

不機嫌オーラを出しまくっている

「最近の司は牧野に一緒に風呂に入れって迫ってるらしいぞ!」

いつの間にか自分のテーブルから滋の席に移ってきた総二郎が誰に聞いたのか・・・

知りたくもない司のプチ情報を耳打ちしてきやがる・・・

「娘の披露宴で気持ち悪い事言うな!
 自分の席に帰れ!」

「おっ!今ごろ花嫁の父ってやつか?
 まぁそうカリカリすんな!
 大丈夫だ!優ならあの滋とお前の血を引いてる娘を上手く扱えるって!」

「そんな事今さらお前に言ってもらわなくても分かってんだよ!」

「じゃあ花嫁の父が披露宴に何をカリカリしてんだよ?」

一番はお前だよ!

と言いたいところだけれど

それよりもさっきの滋の言葉が気になる

「滋だよ!あいつまだ何か企んでる」

「披露宴でか?」

「ああ、この後サプライズななんかがあるみたいだそ!」

「まぁ滋の事だからこんな普通の披露宴で満足するわけねぇけど
 サプライズってなんだ?」

”それが分かんねぇから不安なんだろ!”

総二郎にそう言おうとした時

後ろからこの披露宴の責任者を任せられているメープルの支配人が小声で話し掛けてきた

「美作様」

「どうした?」

「いささか奥方様が・・・」

いささかとは言ったが

支配人の額には汗が浮かび

苦悩と疲労が顔に口元に浮かんでいた

「分かった、俺が行く。
 滋はどこだ?」

「ご案内いたします」

そう言った支配人の後について一番近い扉から会場を出て

新郎新婦の入場用の扉の方へと近付いて・・・

目の前に展開していた光景に腰が抜けそうになった・・・

こ、ここはサファリか?!

「な、なんだこれ・・・?」

「アフリカゾウの華子でございます」

いや・・・そこ冷静に言われても・・・

「そんな事聞いてんじゃなくて・・・」

「申し訳ございません。新郎新婦様がこれで再入場されるご予定なのですが
 奥方様がご自分もこれに乗り入場されたいと申されまして・・・」

目の前には綺麗に飾りつけられたゾウ

ゾウの後ろでは優が自分の母親に

  ”俺様にこんなもんに乗って入場しろってか?!
こんなもん乗って入場なんてしたらいい笑いもんだろーが!”

  ”ごめんね。わ、私も反対はしたんだけど・・・”

  ”反対するだけじゃなくて阻止しろっつんだよ!”

  ”だからごめんねって謝ってるじゃない!
   そんなお父様そっくりに偉そうに怒る事ないでしょ!”

  ”あんなデレデレのバカ親父と一緒にすんな!
   とにかく俺はこんなもん乗らねぇからな!”

牧野を見下ろしながら牧野に怒りをぶつける優は

まるで若い頃の司を見ているようだ

周囲の人間がハラハラしながら展開を見守る中

動いたのはやっぱりこの騒動の発端の滋だった

「ゾウが嫌ならライオンにする?それともトラがいい?
 あっ!?後、サイとカバとキリンがいるけどどれにする?
 滋ちゃん的にはおススメはサイなんだけどなぁ~」

マジでサファリだ・・・

隣で総二郎が”サイって乗れんのか?”なんて聞いてくるけど・・・

そんな事俺が知ってるわけねぇーだろ!

「俺様はなんにも乗りたくねぇーんだよ!
 どっから持 ってきたのか知らねぇけど
 サイだのカバだのさっさと捨ててこい!!」

「楽しいと思うんだけどなぁ~」

「楽しくねぇよ!」

「じゃあサイは無しの方向で行く?」

「サイだけじゃなく全部無しだ!
 いい加減にしとかねぇと帰るぞ!」

「もぅ!若いくせにノリが悪いんだから!」

言い合う事、約5分・・・

なんとか牧野が滋と優の間を取って

優と夢花は歩いて普通に再入場し

その後ろをゾウに乗った滋が続き

またその後ろをライオンやらトラやらが続く大名行列で納まった

ひな壇へと続く会場のど真ん中に敷かれた赤絨毯の上を

新郎新婦に続く滋と動物達

動物達にはそれぞれ猛獣使いが付き添ってはいるけれど

間近で見るライオンやらトラに思わず腰を浮かせている招待客もいた

誰も見た事のない体験した事のない披露宴

少し席を離れている間に何故か親族だけ席が入れ変わっていて

司夫婦と総二郎、類が同じテーブルについていた

披露宴で新郎と新婦の両親が同じテーブルって・・・

そんなのアリかよ?








応援ありがとうございます。
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kirakira
Posted bykirakira

Comments 2

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2018/05/30 (Wed) 13:39 | EDIT | REPLY |   

kirakira  

悠○様

こんにちは。
いつもコメントありがとうございます。😆

そうですよねぇ💕彼らだから許されるんだと思っています❗😃💕
楽しくて思い出に残る披露宴!を目標にまだまだ何か起こりそうです❗(笑)

2018/05/31 (Thu) 16:14 | EDIT | REPLY |   

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