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月夜に 65

おはようございます。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴








驚いたけど楽しいランチを終えますます元気な雛に連れられて
今度はディズニーシーへと入っていく

ここも凄い!!
おとぎの世界に迷い込んだみたいで
子供じゃなくても夢中になってしまうのも分かる気がする

雛に請われるままにアトラクションのはしご

休日で園内はかなり混雑していて各アトラクションの前には結構な行列が出来ているが
どういう話しがついているのかは分からないけれど私達は一切並ぶことなく横から先頭へと案内される

何十分も並んで待っている人たちの横を通り抜けるのは気が引ける

彼は平然としているけど私は並んでいる人たちの視線が気になる
それでなくても目立つのに

目立つのは彼の容姿だけじゃない!

休日のディズニーランドに不釣合いなビシッとスーツを着た男性が10名
耳にはそれぞれイヤホンを挿しサングラスをかけスーツの上からでも屈強な体つきが分かる
見るからに普通じゃないSPさんに囲まれて歩いてるんだもん
目立たないわけがない!!

その中でも一人、30代前半だろうか?

斉藤と名乗ったSPさんは高校生だった頃の私を知っている様子だった

そして今、雛はまた彼を引っ張ってアトラクションへと入って行ってしまったけれど
私はさすがに疲れたのでパス

振り返り手を振る雛に笑顔で手を振りかえして小さくホッと息をついた

斉藤さんが私が息をついたのに気付いたようで

「櫻様、お疲れでしたらあちらのベンチへ移動なさいますか?」

「いいえ、大丈夫です。
 皆さんこそこんな所で警備なんて大変でしょ?
 ごめんなさいね」

「大丈夫でございます。
私どもの事はお気遣い無くどうぞお楽しみください」

「ありがとうございます」

そう答えると斉藤さんは少し微笑んだ
そんな彼を見ているとふと聞いてみたくなった

「・・あの・・お聞きしたい事があるんですけど・・?」

「はい、どういった事でしょうか?」

「斉藤さんは高校生の頃の私をご存知なんですよね?」

「・・・は、はい・・存じておりますが・・」

「教えて欲しいんです、その時の事を」

「・・ですが・・」

彼も私の記憶の事は聞いているのだろう
きっと何も話すなって言われているはず
戸惑っている彼の顔を見ていれば分かる

「斉藤さん」

「・・は、はい」

「大丈夫です、私が知りたいのはあなたから見えていた私と彼の事なんです。
 当事者だった私達はもちろんだけどあきらやその他のみんなはどうしても
 客観的に見ることって出来ないでしょ?だから、あなたの目に映っていた事を知りたいんです。」

「ですが・・あの当時はまだ私もSPになったばかりでしたので・・
 詳しい事は・・あまり・・」

やっぱり言いにくそうに言い淀んでいる彼に少し微笑んでから

「斉藤さん、分かってますから。
あの頃のあなたがたのお仕事は私と彼を引き離す事だったんですよね?」

「・・分かりました。そこまでご存知であれば私の分かる範囲でお話しします」

「ありがとうございます」

「まず先ほども申しましたが、私は当時SPとして道明寺家に入ったばかりの新人SPでした。
 私の任務は道明寺家の警備でしたが・・本当の仕事は司様の監視でした。
 その当時、司様は夜になるとお屋敷を抜け出して櫻様の元へとお出かけになられてましたので・・」

「それで・・彼はどうしてたんですか?」

「司様はいつも裏口からこっそりとお出かけになられていたようです。
私どもが気付いた時は外出されてましたから・・どうやらリムジンはお使いにならずに
流しのタクシーをお使いになられて櫻様の元をお訪ねになられていたようです。
私どもは一度・・司様と櫻様を探して美作家の東屋にまで乗り込んで行った事がございました」

「美作の東屋にですか?」

「はい・・」

返事をしながら斉藤さんは少しバツの悪そうな顔をしている
彼の少し子供っぽいしぐさに笑みがこぼれた

「それで・・私たちはそこに居たんですか?」

「はい・・あっ・・いえ・・私どもが東屋に入った時には司様はお一人で
 櫻様のお姿は拝見しておりません・・ですが・・司様は洋服を着たままシャワーを
 浴びていらしてバスルームの窓が開いておりましたので・・恐らく櫻様だけその窓から
 先に外へ出られたのだと思っておりましたが・・・」

「バスルームの窓から・・・?」

バスルームの窓から外へ出たって
今の私じゃ考えられないけど
その頃の私たちって本当に必死だったんだ

「その後はどうなったんですか?」

「・・は、はい・・あの・・私どもが悪いんです!
 シャワーを浴びてらした司様のお邪魔をしてしまったので・・」

「どういう事ですか・・?」

「・・は、はい・・お怒りになった司様に殴られて終わりましたが・・」

この人って悪い人じゃないのね
額に一杯の汗を浮かべながらも本当の事を話してくれている

「ごめんなさい!私のせいで・・!」

「い、いえ、とんでもございません!大丈夫でございます。
 慣れておりますので!」

慣れてるの?

殴られる事が?

「・・あっ!申し訳ございません!」

どうして斉藤さんが謝るの?
謝るのはこっちでしょ?

「あの・・彼ってそんなに暴力振るうんですか?」

「いえ、決して櫻様に手をお挙げになるような事はございません!」

あまり慰めにならない

「あの・・櫻様?」

「はい?」

「司様は確かにSPや秘書にきつく当たられる時がございますが
この6年間で一番傷つけていたのは司様ご自身です。
司様の笑顔を見たのも本当に久しぶりなんです。
司様は本当に櫻様と雛様の事を大切に思っていらっしゃいます」

「・・ありがとうございます」

「・・いえ」

ほんの少しだけ垣間見えた私が彼と共に過ごした時間
あの頃の私は一体、どんな気持ちだったのだろう?









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kirakira
Posted bykirakira

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