大家さんは元カレ！？ 1

「オイ！いつまでそうやってんだよ？！
さっさとシャワー浴びてこい！」


ぶっ飛んだ記憶をなんとか手繰り寄せようと
ベッドの上で一人もがく私にそう声を掛けた彼

「えっ‥あっ‥うん‥ぎゃあ～！」

「るせぇ！んだよ？！突然叫ぶな！」


叫ぶなって！

叫ぶわよ！

だ、だって私！

は、裸なんだもの～！

も、もしかして？

ヤっちゃった？！

えっ！？

いやいや！

待て待て！

そんなハズはない！

‥と思う‥

ってか‥

思いたい！

希望だけど！

思いたいの！

いや！

ヤってないはず！

だって！

記憶が～

って‥

まさか！？

その記憶までぶっ飛ばした？

いやいや！

それはないでしょ？

流石に‥

そう思いたいんだけど‥

ぶっ飛んだ記憶がまだ見つからない


「一人で何グダグダ言ってんだよ？！」


「えっ‥あっ‥ご、ごめん‥
でもさ‥わたし‥なんで裸なのかなぁ～って‥
あっ！いいの！言わないで！
聞きたくないから！言わなくていいから！
も、もしも‥もしもだけどさ‥夕べ‥」

恐る恐る確める私をベッドの端から見下ろすような視線が射抜く

こ、怖いんですけど‥


「ヤってねぇーよ！
お前が裸なのは夕べお前が暑い～とか苦しい～とか言いながら
自分で脱いだんだよ！」


「そ、そうだったんだ‥迷惑かけてごめん‥」


ハァ～

とりあえず良かった！

ん？

良かったのか？

自分で脱いだって言ってたけど‥

もしかしてこいつの前で脱いだ？

ん～

見られた？

「んだよ？！疑ってんのか？！」


「えっ！あっ！いや‥そういうんじゃないんだけど‥
‥やっぱいい！ごめんね！とりあえずシャワー借ります！」

それ以上は確かめられなくて慌ててシーツを身体に巻きつけて
ベッドの脇に脱ぎ捨てられていた下着もかき集めて
バスルームへとかけ込んだ




たっぷりとお湯がはられた広いバスタブに
膝を抱えるように小さく丸まって浸かる私は
本当にちっぽけな存在だ

昨日までは希望に満ちた幸せな将来が続いていると信じていたのに

今日は飲み過ぎて二日酔いで記憶もぶっ飛んだまま

どうしてこんなになるまで飲んだのかって？

それはね‥

私

牧野つくし２８歳

昨日

婚約破棄されました！











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