パパはおんぞうし? 24 2020Xmasー蓮君verー(後編ー2)
本日2話目の更新です。💕
『パパはおんぞうし?』のクリスマス蓮君verの後編は
少し長かったので2つに分けてUpしていますので
ご注意くださいね。🎶
それではどうぞ~✴
翌朝、部屋には蓮の叫び声が響いていた
午前9時
いつもより遅い時間まで起きて来なかった蓮
柊と紬はとっくに起きて来ていて
ツリー下のプレゼントを開けていて
柊はさっそく貰った自転車の試し乗りしてくると庭を走り回っていて
紬は俺と蒼を観客にファッションショーをしている
俺と蒼の前をランウェイのようにポーズを付けながら
何往復もしていてその度に視線だけで拍手を要求してくる
「パパ、可愛いでしょ?」
「あぁ、可愛いよ」
「つむにスッゴく似合ってると思わない?」
「あぁ、思うよ」
この会話も3回目
で、やっと蓮が起きてきたと思ったら
パジャマのまま庭に飛び出して行き
キョロキョロと周囲を見回しお目当ての物を見つけ
嬉しそうに駆け寄っている
「とーちゃん!」
庭から俺を呼ぶ声に応えて庭へと出ると
そこには夕べサンタが言っていた蓮専用のソリと
そのソリを引く犬
「おぅ!どうした?」
「とーちゃん!すげぇーぞ!
サンタが れん せんようの とくべつな ソリ くれたぞ!」
「そうか、良かったな」
「うん!でも なんで イヌ なんだ?
それに こいつ すっげぇ ちっさいぞ!」
「その犬はハスキー犬って言ってソリを引く犬だ。
それにその犬はすぐに大きくなるんだぞ」
「そーなのか?!すげぇーな!こいつ!」
ハスキー犬の子犬を抱き上げ嬉しそうに胸元に抱き込んでいる蓮の頭を撫でてやる
「でもちゃんと世話もしろよ!
こいつはお前の犬なんだからちゃんと世話してやらないと
元気が無くなってソリ引いてくれなくなるぞ!」
「わかったぞ、とーちゃん!
おれ ちゃんと せわ してやるぞ!
こいつ おれが なまえ つけて いいのか?」
「あぁ、お前の犬だからカッコいいのつけてやれ!」
「わかったぞ!れんに まかせとけ!」
「おぅ!任せたぞ!
寒いからそろそろ中に入れ」
俺に続いて犬を抱えたままリビングへと入って来た蓮
その胸元に抱かれたままの犬を紬が見つけて駆け寄ってきた
「可愛い~!ねぇねぇ!なにこの犬?
どうしたの?きゃっ!可愛い~!
ちょっと抱かせて!」
子犬を見た瞬間、目がハートマークになった紬
蓮に犬を抱かせろと迫っているが蓮はそんな紬から犬を隠すように拒否している
「ダメだ!こいつは れんの イヌ なんだぞ!」
「え~ちょっとぐらいいいでしょ!
蓮のケチ!ちょっとぐらいお姉さまにも抱かせなさいよ!」
「れんは ケチじゃないぞ!
でも こいつは おれのだから ダメだ!」
「パパ~!つむも抱っこしたい~!」
抱っこしたい紬と誰にも触らせたくない蓮との間でケンカが始まった
「こら!ケンカすんな!
蓮はまず顔を洗って朝めし食ってこい!
その間はこいつをつむに預かってもらっとけ!」
「わかったぞ!でも ちょっとだけだぞ!」
「分かってるって!俺がちゃんと見ててやるから顔洗ってこい!」
そう言うと紬に犬を渡して顔を洗いに行った
「ねぇねぇ!蓮が犬貰ったとかって‥きゃっ!
可愛い~!」
蓮と入れ代わるようにリビングへと入って来たつくしが
紬に抱かれている犬を見て紬と同じ反応をしている
「サンタからのプレゼントだ」
「に‥犬なの?」
紬に抱かれている犬の顔を覗きこむように腰を折り
頭を撫でながら満面の笑みで紬と"可愛いね~"なんて話している二人
「あぁ、蓮の犬ゾリ用の犬だ!」
「そうなんだ‥でも意外」
「なにが意外なんだよ?」
「だってあんた犬ダメじゃん」
「ダメってわけじゃねぇーよ!
ちょっとだけ苦手なだけだ!」
「パパって犬怖いんだ?」
「怖くねぇーよ!」
「じゃあ、抱っこしてみてよ!」
俺が犬が苦手だって分かるとニヤニヤしながら
犬を近付けてくる紬
「‥いや‥俺はいい‥」
「やっぱ怖いんだ?」
「怖くねぇーよ!」
「怖いんでしょ?」
「怖くねぇっつってんだろ!」
「ふぅ~ん、怖いんだ~!
こんなに可愛いのにねぇ~!ママ!」
「だよねぇ~!」
「お前ら性格悪ぃぞ!」
二人してニヤニヤしながら俺をからかって遊んでやがる
怖くねぇーよ!
俺はお前らの方がよっぽど怖ぇーよ!
「とーちゃん!おれ そいつの なまえ かんがえたぞ!」
顔を洗い着替えを済ませてリビングへと戻って来た蓮
「なんて名前にしたんだ?」
「トナカイだ!」
「「プッ」」
同時に吹き出したつくしと紬
「こいつ犬だぞ!?」
「わかってるぞ!」
「犬にトナカイって付けるのか?」
「そーだぞ!
カッコいいだろ?!」
「‥カッコいい‥か?」
「カッコいいぞ!」
「そうか‥まぁお前の犬だからいいけど‥
なんでトナカイにしようと思ったんだ?」
「だってこいつはソリを引くんだろ?
だからトナカイだろ?」
自信満々な笑みを浮かべ嬉しそうに俺を見上げながら話している蓮を見ていて
こいつが嬉しいなら犬の名前がトナカイでもいいと思った
「そうか、そうだな。
じゃあ、トナカイと仲良くしろよ!」
蓮の頭を撫でながらそう言ってやると
本当に嬉しそうに笑うから俺も笑顔になる
トナカイと名付けられた犬はハスキー犬の子犬
犬ゾリのチャンピオンを親に持つエリート犬
だけどまだ生後2ヶ月ほど
ソリを引くには早すぎる
問題児と一匹はまだ出会って数時間だが
すっかり仲良しになったようで
飯もそこそこに庭に飛び出して行き遊んでいる
そんな一人と一匹をリビングから眺めていると
蓮がソリを持ち出してきて犬をソリに乗せて自分が引き出した
あべこべなその光景に同じく蓮を見ていた柊が
「父さん?あれって蓮は遊んでるだけだろうけど見ようによっては虐待だよね?」
柊の強い言葉のにギョッとするけれど
確かに見ようによっては見えなくもない‥
生後2ヶ月程のハスキー犬
寒さに強く足は太くソリを引くのには適している犬種だが
まだ幼児体系で足元も心許ない幼犬
その幼犬を不安定なソリに乗せ蓮が力一杯引くからすぐにバランスを崩し
ソリから転がり落ちている
引っ張る
落ちる
乗せる
引っ張る
落ちる
乗せる
を繰り返していて
柊はその光景を虐待しているようだと表現していた
「あれじゃあの犬可哀想だよ」
確かに柊の言うとおりあれじゃ犬がちょっと可哀想だな
そう思い立ち上がり庭にいる蓮に声を掛けた
「蓮!トナカイが落ちないようにもっとゆっくり引っ張ってやれ!」
「そもそもが逆じゃない?
それに蓮に微妙な力加減なんて出来ないと思うけど」
窓辺で話す俺の横に立った柊
「そーだな」
柊の言うとおり
ゆっくりとかそっととか‥
遊ぶ事に全力な蓮にはムリだ
それに蓮はクリスマスプレゼントにソリに乗りたいと言っていた
しょーがねぇな!
蓮のサンタはとーちゃんだもんな
トナカイを助けるべく庭へと一歩踏み出す
「蓮!とーちゃんが引っ張ってやるから
そいつを抱いてソリに乗れ」
「とーちゃんが ひっぱって くれんのか?
ヤッター!」
「おぅ!引っ張ってやるからしっかり掴まってろよ!」
「わかったぞ!」
大喜びでソリに座り自分の股の間に犬を座らせた蓮
「いけ~!とーちゃん!」
掛け声と共にソリを引っ張る俺
「はしれぇ~!とーちゃん!
いいぞぉ~!はえ~ぞぉ!」
問題児と一匹を乗せたソリを引っ張り庭を走る俺
「あ~!パパ!つむも乗りたい~!」
「俺も!」
庭の声に気づいた紬が自分も乗りたいとせがむ声に
柊も乗せろとせがんできた
で
結局
小さなソリに犬蒼蓮紬柊と
明らかに定員オーバーのぎゅうぎゅう詰めのソリを
引っ張る俺
その重さにゆっくりとしか進まないけれど
楽しそうに歓声をあげる四人と一匹
その声に気づいたつくしも庭に出てきて
「ママも乗りたい!まぜて~!」
と強引に柊の後ろに座る
グンと重さを増したソリ
「重ぇーよ!ソリが壊れんじゃねぇーか?!」
「失礼ね!大丈夫よ!」
「だいじょーぶだぞぉ~!
とーちゃん!ゴォ~!」
ゴォ~!の合図に引っ張るけれど‥
重ぇ~!
「パパ~!頑張って~!」
「とーちゃん!いけぇ~!」
「キャ~!落ちる~!」
蓮の希望とはだいぶ違うけれど
人数の分だけ増えた幸せを感じる日々
「あっ!雪!」
「ゆきだ!」
「積もるかな?」
「積もるといいなぁ~!」
「つもったら ゆきがっせん するぞぉ!」
「つむは雪だるま作りたい!」
引っ張るのを止め見上げた空からゆっくりヒラヒラと落ちてくる真っ白な雪
東京では珍しいホワイトクリスマス
歓声が響く庭で汗だくになりながらソリを引く
今年はこんなクリスマス
やっとクリスマス話が終わりました~♥

応援ありがとうございます。