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月夜に 76

おはようございます。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴
















『司!櫻と雛が事故に遭った!!』

事故という言葉に一瞬で頭の中が真っ白になる

『オイ!司!聞こえてるのか!?』

「・・あぁ、聞こえてる!事故ってどういう事だよ!
 二人は無事なのか!?」

『まだ詳しいことは分からない!
事故に遭ったって連絡が来ただけで俺も類と病院に向かってるところだからお前もすぐに来い!』

「分かった!俺もすぐに向かう!!」

『分かった、じゃあ一旦切るぞ!後でな!』

「あぁ・・」

電話を切ってすぐに病院へと向かうが
指先が冷たい・・

ふいに先ほど見た事故の現場の光景が浮かぶ

信号機に突っ込み斜めに止まったていたのは紺色のベンツ

・・まさか・・だよな・・・?

どうする事も出来ないリムジンの中でどうしても浮かんできてしまうのは最悪の状況で
悪い予想を頭の中から懸命に追い出しそれでも震える自分の手をきつく握り締めていた



駆け込んだ病院の待合室で雛は類に抱かれていた
腕と足に包帯が巻かれ額にはガーゼが貼られていたが軽症で済んだらしい
とりあえずホッとして待合室の硬いベンチに座り込んだ・・








完全に止まりきる前の車から飛び出し病院へと駆け込むと櫻と雛は処置中で

処置室の前には警官が二人俺達を待っていた

警察の説明によると櫻たちの車は青信号で交差点を直進中に
近くのコンビニに強盗に入った犯人が運転するバイクが信号無視で突っ込んできたらしい

ぶつかったのは車の後部だったがバイクを避けようとしてハンドルを切った拍子に
コントロールを失い何度かスピンを繰り返し信号機に激突して止まったらしい

強盗犯のバイクもコントロールを失い横滑りしたまま交差点の反対側まで転がり
植え込みに突っ込んでようやく止まり
強盗犯はバイクから投げ出され目撃者の話では数十メートル飛ばされたらしい

櫻たちはすぐに車から助け出され病院へと運ばれたが
犯人は病院に運び込まれた時点ですでに息を引き取っていたらしく
病院についてすぐ死亡が確認されていた

病院に運ばれる途中の救急車の中で雛はショックを受けている様子だったが
意識ははっきりしていたらしく
ドライバーもシートベルトを着用していたのとエアバッグが作動したのとで軽症で済んでいた

問題は櫻だった

櫻を助け出した救急隊員によると衝撃で開かなくなったドアをバールで抉じ開けた時
櫻は後部座席で雛を抱え込むようにして意識を失っていた

状況から事故の瞬間、咄嗟に雛をかばったのだろう

そのおかげで身体の小さな雛が車外にはじき出される事なく軽症で済んだらしい

事故の状況を説明すると警官はすぐに引き上げていった

警官が引き上げて行ったのと入れ替わりに看護婦さんに抱かれた雛が処置室から出てきた

包帯が巻かれていたが検査の結果も異常なしと判断され入院の必要はないとの事だった

雛は一人で不安だったのだろう看護婦さんにしがみつくように抱きついていたが
俺の顔を見て安心したのか抱き締めると堰を切ったように泣き出してしまった

しばらく泣きじゃくる雛を抱きしめ頭を撫でていると雛が出てきた隣の処置室から
一人の医師が出てきた

「美作櫻さんのご家族の方ですか?」

「はい、兄です。櫻の具合はどうなんでしょうか?!」

雛を抱いたまま勢いよく立ち上がり医師に詰め寄る

「落ち着いてください。櫻さんは左足を2箇所骨折が見受けられますが命に別状はありません。
 これから骨折箇所をボルトで繋ぐ手術を施したいと思いますので同意書にサインをしていただきたいのですが」

「その他に怪我をしているところはないのでしょうか?」

「はい、検査をしましたが今のところ脳波などに異常は見受けられません。
ですがこれは事故とは関係ないと思いますが、櫻さんは最近、胃の調子が
あまり良くなかったのではないかと思われます。
胃に数箇所の炎症が見受けられましたので」

「・・分かりました。
 先生、櫻をよろしくお願いします」

「大丈夫ですよ。比較的簡単な手術ですのでそれ程時間はかかりません。
 それではこちらでサインをお願いします」










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kirakira
Posted bykirakira

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