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月夜に 97

おはようございます。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴













NYの空港に降り立つとそこはパリとは全く違う空気を感じさせる

パリは何処となく落ち着いたイメージがあるけれど
ここは一歩足を踏み入れた途端、圧倒されるような熱気に包まれている

あらゆる人種の人々が忙しそうに先を争ってゲートへと向かい
同じ飛行機から降り立った人の波に少し遅れてついて行く

のんびりとした入国審査を通過し人影もまばらになったターンテーブルから
回り続けていた自分のトランクを降ろしゲートを出ると出迎えの人々の間を
抜けてタクシー乗り場を探して歩き始めた

案内板を見ようと視線を上げたその時、私の視界の端に微かに見覚えのある
シルエットが飛び込んできた

遠くから行きかう大勢の人々を押しのけるようにしてこちらに突進してくるのは

"ん・・?道明寺・・・?"

そう思った瞬間、私の元まで辿り着いた彼に渾身の力で抱きしめられた

ぐぇっ・・・

自分の喉元からカエルがつぶれたような声が聞こえた

ぐ、ぐるじぃ!

抱きしめられている腕の力と懐かしいコロンの香りとで意識が遠のきそうになるのを
なんとか堪え彼のわき腹に思いっきりパンチを打ち込んだ

ドスッ!!

鈍い音と共に見事にヒットした私のパンチに彼は身体をくの字に曲げ
苦しそうな表情で微かにうめき声を上げた

私は彼の腕の力が少しだけ緩んだ瞬間、彼の腕の中から逃げ出した

「痛ぇだろーが!何すんだよ!!」

「あんたこそ何すんのよ!手加減しなさいよね!
 死ぬかと思ったじゃないのよ!もうバカなんだから!!」

「ああぁ!何だと!?」

額に幾つもの青筋を浮かべて私を睨みつけていた彼だったが
すぐに表情は少し切ないものに変わり今度はゆっくりと優しく抱き寄せられ
私の髪に顔を埋めた彼の声が私の耳をくすぐる

「お前なぁ~久しぶりに会ったんだぞ!
 もうちょっと何かねぇのかよ!?」

・・って・・どうして此処に道明寺が居るわけ?

偶然?

んなわけないわよね?

「ねぇどうしてあんたが此処に居るわけ?」

そう思って素直に疑問を口にしただけなのに
途端に彼の額には青筋が浮かぶ

「お前を迎えに来たんだよ!!」

「だからどうして?」

ん・・?

私、なんか変なこと言ってる?

「どうしてって・・お前は何でNYに来んのに俺に連絡してこねぇーんだよ!?」

あっ・・・?!

「・・だ、だって・・それは・・アレだよ!アレ!!」

「アレって何だよ!?」

「アレってほら・・ギリギリまでNYへ来れるかどうか分かんなかったから・・ねっ!
 道明寺も忙しそうだったし・・」

道明寺の言葉と態度にしどろもどろになりながら
苦しい言い訳をしてみるが
そんなもの彼には通用するはずもなく
ますます険しい顔で私を睨みつけている

「ほぉ~お前は来れるかどうかも分かんねぇーとこに
 2週間も前から予約を入れとくのか?」

「・・そ、それは念のためだよ!」

「念のためねぇ~!?
 で、それが俺に黙ってこっちに来た言い訳なのか?」

・・・うっ!?

「言い訳って・・べ、別に言い訳なんかしてないわよ!!」

言い訳していると言われてなんだか腹が立って
否定してみたんだけど・・・

「してんじゃねぇーかよ!言い訳!!
 それになんで俺に何も連絡してこねぇーんだよ!?
 お前、まさか・・本気で俺に会わないでロスに行くつもりだったんじゃねぇーよな?!」

「ハッハハハハ・・・」

相変わらず睨みつけている道明寺から視線を逸らし
笑って誤魔化そうとしたんだけど無理だったみたいで

「笑ってごまかそうとすんじゃねぇーよ!!」

「もう!いいでしょ!?今、こうして一緒に居るんだから!!
 それよりあんたはどうして私がNYに来る事知ってたのよ!?」

「姉貴だよ!」

「椿お姉さん?」

「そーだよ!姉ちゃんから連絡があったんだよ!
 お前、姉ちゃんにも何にも言わないでカメリアに予約入れてただろ?!
 姉ちゃんも3日前にお前の名前で予約が入ってるのを見つけて俺に何か
 聞いてるかって連絡してきたんだよ!!そんで航空会社の予約名簿を
 調べて今日の便にお前の名前を見つけたんだよ!!」

「そう・・でもわざわざ調べなくてもあんたこそ私に聞けばよかったのに」

自分が内緒にしておいて酷い言い草だと思うけど
さっきから何だか押され気味で
私ってどうしてこんなにも負けず嫌いなのだろう?

私の言葉を聞いて道明寺の額にはさらに青筋が浮かび上がっている

「お前だって連絡してこなかったじゃねぇーかよ!!
 俺はこの3日間ほとんど眠れなかったんだぞ!!」

「どうして?」

「お前・・ソレ本気で言ってんのか?
 俺は少しでもお前と一緒に居たいんだよ!
 その為にスケジュール調整したし・・なによりこうして実際にお前の顔見るまで不安だったんだよ!!」

「・・だから言わなかったのに・・私が来るって言ったら
 絶対に無理すると思ったから・・私のために仕事で無理してほしくないから・・」

「無理なんかしてねぇーよ!いつも言ってんだろ
 俺はいつだって手を伸ばせばお前に触れられる距離に
 居たいんだよ!だから早く雛連れてNYに来てくれよ」

話しているうちに段々と声が小さくなり照れたように少し顔を
そむけている彼がなんだか可愛い

「ねぇ、道明寺?私、ちゃんと考えてるから・・・
 ちゃんとあんたとの事考えてるからもう少しだけ時間を
 ちょうだい・・だから私の為に無理しないで・・お願い」

「・・分かってるよ!とにかく車待たせてあるから行こうぜ!!」

そう言うと彼は私の手からトランクを奪い取ると自分の左手に
持ち替え右手で私の手を掴み出口へと向かって歩き始めた

待っていたのは当たり前だけどリムジン

やっぱり何処に行ってもコレなのね

どうしてこんなにデカイ車が必要なのだろうか・・?

背の高い彼が足を伸ばせる程ゆったりとしたスペースと
高そうなレザーのシートと心地よい振動とが重なって
車が動き始めて5分としないうちに睡魔が襲ってきた





車に乗り込んでも俺は彼女の手を握ったままだった

横にあいつの温もりを感じながらも何だか照れくさくて
視線はずっと窓の外へと向けていた

動き出してすぐに右肩に重みを感じ
俯いていた櫻の顔を覗き込むと

ハァ~・・寝てやがる

ったく・・やっぱりと言うかなんと言うか

こんなとこも変わんねぇーんだな

呆れながらも変わっていないのが嬉しくて

握り締めていた手をそっと外し彼女の肩に腕を
回して抱え込んだ頭にそっとキスを落とした・・・











応援ありがとうございます。
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kirakira
Posted bykirakira

Comments 2

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春の嵐  

ですよね~司が知らないわけないですよね。ここからが司のターンですかね?つくしちゃんも少しずつ元の元気なつくしちゃんになってきてますかね。

2021/06/27 (Sun) 08:30 | EDIT | REPLY |   
kirakira

kirakira  

春の○様

こんばんは~✴
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m

ハイ!知らないわけありません❗よね~💕
これからは司君の出番も増えてきてつくしちゃんらしさも出てくると思います❗💕

2021/06/28 (Mon) 21:57 | EDIT | REPLY |   

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