fc2ブログ

その先へ・・・ 2

おはようございます。🎵
予約投稿です。
本日も総つく話『その先へ‥』です。🎶
このお話しは全4話で完結です。\(^-^)/
それではどうぞ~✴













まずはこいつの気持ちを・・なんて考えているけれど・・

どうやって確かめる?

仕事中のこいつの態度は一貫している

秘書として常に後ろに控え
この6年間で培ったポーカーフェイスで
今でもタマにある俺狙いの女達からの攻撃にも
笑顔で対処していて素のこいつが顔を出す時が無いが

プライベートのこいつは基本変わっていない

西門に来てからは色々と鍛えられたお陰で
所作も外見も見違える程綺麗にはなったが
中身はあのころの牧野つくしのまま

なんでも旨そうに食って
身振り手振りを交え表情をくるくると変えながら
大きな声で話し大口を開けて笑い
廊下を走りお袋の一番弟子で使用人頭の雪さんに
毎日のように"廊下は走ってはなりません"と叱られている

そんなこいつの気持ちをなんて・・

飯にでも誘うか?

いや・・

今までそんな事したことないのに
いきなり飯になんて誘ったら絶対ぇ変な顔される!

変な顔されるぐらいならまだしも
どうしてわざわざ外に食事に行くのか
根掘り葉掘り聞かれるだろう

なら屋敷でか?

いや・・屋敷はねぇだろ・・

そもそもどうやって切り出すんだ?

ストレートに"お前、俺のことどう思ってる?"って感じか?

情けなさすぎるだろ・・

はぁ~

拗らせすぎてて西門総二郎ともあろう俺が
女一人どうすることも出来ずため息がこぼれ落ちる

そんな中、こいつの気持ちを確かめる為の絶好のチャンスが回ってきた

年末年始の茶道家は超多忙だ
行事が建て込んでいて休みなんて無い

そんな中で山梨の後援会会長の奥方が入院していると連絡が入り
その見舞いに家元に代わり俺が山梨まで出向く事になった

当然、こいつも同行する

日帰りの予定で車で出掛ける予定にしているが
この遠出のチャンスを有効利用しない手はない

病院の面会時間に合わせて訪れた病室で
さっさと見舞いを済ませ
俺は車を山梨にある別荘へと走らせた

突然の予定変更に助手席に座るこいつは
勝手にスケジュールを変更するな!とか怒っていたが
夜に雪道は危ないからと取って付けたような理由で
そのまま強引に別荘へと連れてきた

別荘には前もって連絡を入れてあったから
到着した時には食事の準備も出来ていた

その用意周到さにこいつは"最初っからそのつもりだったんでしょ!"なんてブツブツ言いながらも
さっさと温泉に入りに行ってしまった後ろ姿を見送りため息

あいつ分かってんのか?

今夜はここに俺と二人っきりなんだぞ!

全く緊張感のないあいつと
色々考え過ぎて緊張している俺

今までだって二人だけで地方へと出掛けた事はあったが
泊まるのはホテルや旅館ばかりで同じ部屋に泊まった事はない

温泉に入りながら考える

今夜、俺はここであいつにプロポーズする
その為に一応、指輪だって準備してきた

もちろん断られるって可能性もあるが
断らせない自信はある

っつーか断られたら後が無いから
なんとしてもあいつを嫁にもらう

じゃねぇーと

お袋によって類かあきらに嫁にやられてしまう
そんな事はなんとしてでも阻止しねぇーと

今朝交わしたお袋との会話

"総二郎さん?つくしちゃんは類君かあきら君のどちらが好みなのかしら?"

"なんでそんな事知りたいんだよ?!"

"だって総二郎さんがフラれたら
つくしちゃんのお嫁入り先を考えなくちゃいけないでしょ?
類君とあきら君ならわたくしも安心して嫁がせる事が出来るし
二人共、あなたとは気心も知れてるし大丈夫でしょ?"

"何が大丈夫なんだよ!?
まだフラれてねぇーんだよ!"

"あらフラれない自信はあるの?"

"だから!フラれる前提で話すんなって!"

"そう、じゃあなんとしてもつくしちゃんからいい返事をもらってきてちょうだいね"

"分かってるよ!"

クソッ!

そもそもがお袋はあいつに好きな奴がいるとかって考えねぇのかよ?

まぁ、司と別れて以来ずっと一人だけど
それにしたってまだ司の事が忘れられないから・・

とかって考え・・

まさかだよな?

未だにって事ねぇーよな?

それは無いと思っていた

ずっとあいつの事を見てきたけれど
司の事を引きずっているような雰囲気はなかった

けれど確かめた訳じゃない

だけど今さら気にしてもしょーがねぇだろ

あ~!

もうなるようにしかなんねぇ!


風呂上がり浴衣姿でまだほんのりと頬に赤みが射したまま
髪を上げ一纏めにしている項にかかる後れ毛が妙に艶かしくて
直視出来なくて思わず目を反らせた俺

これまで特に女として意識した事がなかったからか
こんな状況になって柄にもなくどぎまぎしている

今さらだよな・・

分かってる

でも思い返してみればこいつが西門に来てから
不思議と女が欲しいと思った事がなかった

それまでが嘘のようにピタリと夜遊びもしなくなり
当たり前のように毎日一緒に飯を食って
当たり前のように西門に就職させて
当たり前のように俺の秘書にして
それが俺の日常になっていた

俺の日常はこいつの日常

そんな毎日の繰り返しが当たり前になっていて
いつの間にかこんな毎日がずっと続くものだと勘違いしていた

そんな日常の中で女を感じた事はなかったけれど
やっぱりこいつは女で・・・・

目の前に座って日本酒を飲みながら
大口を開けて山梨のブランド豚の陶板焼きを食っているこいつは
西門に洗練され歳を経てすっげぇいい女になった

ふいに誰にも渡したくないって思いがこみ上げてくる

例え類やあきらでさえも・・・

いや・・こいつと付き合ってた司にさえも・・・

相手が誰であろうとも

渡したくない

渡せない

そう思ったら自然と口を突いて出た言葉は・・・

「お前、西門に嫁に来ないか?」

我ながらダッセー台詞だと思う

だけどこれは紛れもない本心で
一応、来ないか?と聞いてはいるが
俺の中ではNOという選択肢は無い

そんな俺の言葉に肉を挟んだままの箸は空中で動きを止め
でっかい瞳を更に大きく見開き
ついでに口も開いたままで固まっている牧野

そんなこいつの顔の前に手のひらを指し出し

「目ん玉落ちんぞ!」

そう言うと

「ん?・・・/////落ちるかい!」

我にかえったこいつは真っ赤になりながら
俺の手を払いのけた

「で、返事は?
YESだな?」

「はぁ?・・・って!ちょっと待って!
今のって・・・プロポーズなの?」

「それ以外なにがあんだよ?」

「・・・いや・・だとしても
・・あたし達って付き合ってたっけ?」

「付き合ってなきゃプロポーズしちゃダメなのか?」

「いや・・・そういうわけじゃないけど・・
おかしいでしょ!?」

「おかしいか?」

「お、おかしいでしょ!
ん・・・うん!おかしい!
な、なんだっていきなり・・その・・・」

「結婚か?」

「そ、そうよ!なんでいきなり結婚って話になるのよ?!」

「まぁ、そうだわな・・
けどな冗談じゃなく俺は真剣にお前にプロポーズしてんだぞ」

「だ、だから余計・・突然だって言ってるのよ!
どうしたの?お父様やお母様に何か言われたの?
お見合いとか?」

自分でも自覚はある

突然だよな

こいつの言いたい事も分かっている

「俺に見合い話が出てたら
秘書のお前が知らないわけねぇだろ!」

いや・・・実際、お袋からこいつに断られたら
見合いさせるって言われてるから
話があることはあるんだろうけど・・

「じゃあどうしたの?
ほんとに変だよ?」

「変じゃねぇーよ!
・・・ったく!さっさとYESって言えよ!」

「い、言えるわけないでしょ!」

「んでだよ?!
お前、俺のことどう思ってんだよ?」












応援ありがとうございます。
スポンサーサイト



kirakira
Posted bykirakira

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply