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月夜に 106

おはようございます。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴













花沢類が連れて行ってくれたのはあの時のレストランだった

「ねぇ、花沢類?」

「なに?」

「ここって・・あの時のレストランだよね?」

「ん、お店の名前は変わってるけど場所は同じだよ。
 どう?気に入った?」

「うん、ありがとう」

「どういたしまして。
 ほら、早く食べないと冷めちゃうよ」


あきら以外の男の人と二人っきりで食事したのって本当に久しぶりで
花沢類との食事は本当に楽しかった

食事の後は食後の運動がてらにとNYの街を散歩しながらホテルまで送ってもらった

ホテルに戻って

でね、その後が大変だった・・


ロビーへと一歩入るなり吹き抜けになっているフロアー中に響いている
怒鳴り声が耳に飛び込んできた

ギャッ!!!

この声ってまさかよね?!


そう思い横にいる花沢類を見上げると
彼は楽しそうに少し微笑んだだけで

もちろん怒鳴っているのは道明寺で

彼は支配人さんの首を絞め殺さんばかりの勢いで詰め寄っている

どうやら彼は私を探しているみたいで

ハァ~~~~・・・

私の口からこぼれ落ちた大きなため息

「ねぇ、花沢類?何とか道明寺に見つからないよう部屋に戻る方法って無いかな?」

部屋に戻るには怒鳴っている彼の横を通り抜けて奥にあるエレベーターを使わなければならない

「多分、無理だと思うけど・・やってみる?」

なんて楽しそうに答えた花沢類に慌てて首を振る

「じゃあ、どうする?
 あの時みたいに俺の部屋に泊めてあげてもいいけど」

へっ・・?

花沢類の部屋?

じょ、冗談じゃない!!

再び首をブンブンと振っていると
とうとう花沢類はお腹を抱えて笑い出してしまった

何?

何がそんなに可笑しいわけ?

私、また変な顔してた?

多分、今の私は花沢類に遊ばれてるんだろうけど

少し離れた所では怒鳴り声を上げている道明寺と
目の前にはスイッチの入ってしまった花沢類

もぅ!私って呪われてるんじゃないかしら?

いつまでも笑っている花沢類をキッと睨みつけながら

「花沢類!笑いすぎ!
 いい加減にしてよ!!」

「ごめん・・クッククク・・じゃあ俺は司に見つからないうちに俺は消えるね。
 おやすみ」

「・・えっ?!」

確かにこの状況で私と花沢類が一緒だったと道明寺が知れば
事は大きくなるばかりだけど
この状況で一人にされるのもなんだか心細い気もする

そんな気持ちが顔に出ていたのだろうか?

花沢類は少し腰を折って私の顔を覗き込みながら

「どうしたの?まだ俺と一緒に居たい?」

この期に及んでもこの人は私をからかうのを止めようとしない
本当に天使の姿をした悪魔に見える

「・・うっ・・//////」

花沢類の綺麗な顔が至近距離に近づいてきて思わず仰け反る

何も答えられない私にクスリと笑みを零すと彼は

「クスッ・・じゃあ俺は帰るね。
 牧野はそろそろあの人を助けてあげたほうがいいんじゃない?」

振り返り花沢類の視線の先を追いかける

追いかけなくても分かってるんだけど
まだ、支配人さんに掴みかかっている大馬鹿野郎が一人

ハァ~~~~

無意識の内に零れ落ちるのは溜息ばかり

花沢類はそんな私の背中を軽く前へと押し出すと
"じゃあね"と言って出口の方へと歩き始めたから
私は遠ざかっていく花沢類の背中に声を掛けた

「花沢類!ありがとう、お休みなさい!」

自分では大して大きな声を出しているつもりは無かったんだけど・・


充分、大きかったみたいで
大理石の床に反響する私の声

振り返り軽く手を上げて応えてくれた花沢類の視線が私から離れて

私の斜め後ろへと向けられていて

小さく微笑んで・・

多分、あれは微笑んだんだと思うんだけど
微かに表情を動かしただけで花沢類はもう何も言わずにエントランスを出て車に乗り込んでしまった

背中に殺気に近いものをビシビシと感じていて振り返るのが怖い・・













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kirakira
Posted bykirakira

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