月夜に 108
おはようございます。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴
夕べの事が多少気になってはいるものの
たっぷりと寝てすっきりとした目覚めだった
シャワーを浴びて出かける仕度をしてからリビングへ入って行くと
既にバトラーさんが朝食の準備をしてくれていた
「櫻様、おはようございます。
ゆっくとお休みいただけましたでしょうか?」
「おはようございます。
お陰様でゆっくりとさせていただきました」
「それはよろしゅうございました。
朝食のご用意は出来ておりますがいかがなされますか?」
「はい、いただきます」
「畏まりました」
コーヒーカップを受け取り一口、口をつけたところで来客を告げるチャイムが鳴った
対応に出たバトラーさんに続いて部屋へと入って来たのは支配人さん
「おはようございます、美作様」
「おはようございます」
挨拶は交わしたけど・・
何の用なんだろう?
何か言いたそうにしている支配人さんの次の言葉を待っているけど
「あの・・どうかされましたか?」
「・・は、はい・・あの・・司様の事なのですが・・」
「道明寺がどうかしました?」
「はい・・昨夜、ロビーで櫻様とお話しをされて以降ずっとロビーに
お座りになったままでして・・何か考え事をされているようなのですが・・」
はぁ・・?
あれからずっとロビーにって・・?
「一晩中・・ロビーに居たって事ですか?」
「はい、ずっとロビーのソファーにお座りになったままで
お声をお掛けするのが憚られていたのですが、先程から電話が何度か
鳴っていたようなのですが、司様はお電話に出る事なく電源を切ってしまわれまして」
ハァ~・・あのバカ!
やっぱり夕べの私の言葉が堪えてるのかな・・
「分かりました。
私が行ってみます」
「よろしくお願い致します」
私の言葉に支配人さんは本当にホッとしたような表情を浮かべている
支配人さんと共にロビーに降りて行くと
ロビーの一角に置かれているソファーに道明寺が座っていた
足の上に肘を置き両手を額につけたまま俯いている彼の前に立つと
ゆっくりと彼は顔を上げた
「ヒドイ顔」
そう言うと彼の腕が伸びてきて私は腕を掴まれ身体を引き寄せられて
すっぽりと彼の足の間に身体が入り込むような形になってしまった
私を見上げる彼の顔は幼い子供のようで
縋りつくような瞳をしていた・・
「一晩中ここに居たの?」
「あぁ・・」
苦しそうな彼の声に思わず彼の髪に指を差し入れ頭を引き寄せた
道明寺の腕が私の腰に巻きついてきて
お腹に顔を埋めている
「怒ってないのか?」
くぐもった声が響いてくる・・
「もう怒ってないよ」
「本当か?」
「本当よ」
不安げに何度も確かめてくる彼に愛おしさが込み上げてきて
私らしくないと思いながらも
彼の頬を両手で挟みこむと額にキスを一つ落とした
途端、彼の表情が変わった・・・
もぅ!単純なんだから!!
もう一度、私の腰に強く抱きついた彼が大きく息を吐き出した
「ハァ~、もうダメだと思った。
マジでお前に嫌われたと思った・・」
「嫌いになんてならないわよ」
「本当か?」
まただ・・
「本当」
「ありがとう・・」
「あんた・・今、ありがとうって言った?
すっごいレア!!
ねぇ、もう一回言ってみて!」
素直な彼が気持ち悪くて少しからかってみると
一瞬で彼の額には青筋が浮かび上がってくる
「お前、俺をからかってんのか?!」
だって・・
はい、そうです!
なんて・・怖くて言えないけどね!
「ねぇ、携帯の電源切ったんでしょ?
仕事は大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫だ!
今日は一日オフだから」
「休んだの?」
「あぁ、けど俺が無理やり休みにしたわけじゃねぇーぞ!
昨日、帰りがけにババァが今日は休んでいいって言ってきたんだよ!」
「お母様が?」
本当だとしたら変われば変わるものね・・
いまいち信用していないのが顔に出ていたのだろうか?
道明寺は心外だという表情を浮かべている
「お前、信用してねぇーだろ?
まぁ・・俺もあんま信じられねぇけどな」
「そうだね。けどお母様に頂いたお休みだったら有効的に使わなくっちゃね」
「そーだな」
「じゃあ、とりあえず朝ごはん食べない?
私、朝食食べてる最中だったんだけど
あなたもお腹すいてるでしょ?」
「あぁ・・」
「じゃあ、部屋行こう!
ほら!立って!!」
彼の両腕を引っ張って立つように促す
彼と共に朝食を食べホテルを出ると
行き先も告げられないままリムジンに押し込まれる
「ねぇ、どこ行くの?」
「俺んち。
まぁ、もうすぐお前の家にもなるけどな」
嬉しそうにそう言った彼の表情が先程までロビーで座り込んでいた時の表情と
あまりにもかけ離れていてこの回復の早さには驚かされる
ほんの一時間前までこの世の終わりみたいな顔してたのに
どうやらまだまだ未来は続いているらしい
「そ、そう・・で、あなたの家に何しに行くの?」
「お前に会わせたい奴がいるんだよ!」
「会わせたい人?誰?」
「行けば分かる!」
彼は会わせたい人についてそれ以上話すつもりはないみたいでそれ以上は教えてくれない
誰だろう?
私に会わせたい人って・・
行けば分かるのね
「そう」
短く一言だけ返事を返すと私もそれ以上は彼を追及しなかった
車窓から見えるNYの街並みに目をやりながら
ぼんやりと自分の世界を漂い始めていた・・
道明寺は俺んちって言ってたけど
やっぱりあの屋敷よね・・?
あそこには本当にいい思い出はない
あのお屋敷だとしたら何だか気が重い
そんな事を考えている間も車は順調にマンハッタンを走っていた
ふいに肩に重みを感じて横を向くと
私の肩に頭を乗せて道明寺が眠っていた
クスッ・・
思わず笑みが零れる
今までとは逆だね
いつも私が寝てたのに
そっと寝顔を覗き込む
長い睫・・
完全に油断しているのだろう
無防備な寝顔・・
やっぱり雛に似てる・・

応援ありがとうございます。
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴
夕べの事が多少気になってはいるものの
たっぷりと寝てすっきりとした目覚めだった
シャワーを浴びて出かける仕度をしてからリビングへ入って行くと
既にバトラーさんが朝食の準備をしてくれていた
「櫻様、おはようございます。
ゆっくとお休みいただけましたでしょうか?」
「おはようございます。
お陰様でゆっくりとさせていただきました」
「それはよろしゅうございました。
朝食のご用意は出来ておりますがいかがなされますか?」
「はい、いただきます」
「畏まりました」
コーヒーカップを受け取り一口、口をつけたところで来客を告げるチャイムが鳴った
対応に出たバトラーさんに続いて部屋へと入って来たのは支配人さん
「おはようございます、美作様」
「おはようございます」
挨拶は交わしたけど・・
何の用なんだろう?
何か言いたそうにしている支配人さんの次の言葉を待っているけど
「あの・・どうかされましたか?」
「・・は、はい・・あの・・司様の事なのですが・・」
「道明寺がどうかしました?」
「はい・・昨夜、ロビーで櫻様とお話しをされて以降ずっとロビーに
お座りになったままでして・・何か考え事をされているようなのですが・・」
はぁ・・?
あれからずっとロビーにって・・?
「一晩中・・ロビーに居たって事ですか?」
「はい、ずっとロビーのソファーにお座りになったままで
お声をお掛けするのが憚られていたのですが、先程から電話が何度か
鳴っていたようなのですが、司様はお電話に出る事なく電源を切ってしまわれまして」
ハァ~・・あのバカ!
やっぱり夕べの私の言葉が堪えてるのかな・・
「分かりました。
私が行ってみます」
「よろしくお願い致します」
私の言葉に支配人さんは本当にホッとしたような表情を浮かべている
支配人さんと共にロビーに降りて行くと
ロビーの一角に置かれているソファーに道明寺が座っていた
足の上に肘を置き両手を額につけたまま俯いている彼の前に立つと
ゆっくりと彼は顔を上げた
「ヒドイ顔」
そう言うと彼の腕が伸びてきて私は腕を掴まれ身体を引き寄せられて
すっぽりと彼の足の間に身体が入り込むような形になってしまった
私を見上げる彼の顔は幼い子供のようで
縋りつくような瞳をしていた・・
「一晩中ここに居たの?」
「あぁ・・」
苦しそうな彼の声に思わず彼の髪に指を差し入れ頭を引き寄せた
道明寺の腕が私の腰に巻きついてきて
お腹に顔を埋めている
「怒ってないのか?」
くぐもった声が響いてくる・・
「もう怒ってないよ」
「本当か?」
「本当よ」
不安げに何度も確かめてくる彼に愛おしさが込み上げてきて
私らしくないと思いながらも
彼の頬を両手で挟みこむと額にキスを一つ落とした
途端、彼の表情が変わった・・・
もぅ!単純なんだから!!
もう一度、私の腰に強く抱きついた彼が大きく息を吐き出した
「ハァ~、もうダメだと思った。
マジでお前に嫌われたと思った・・」
「嫌いになんてならないわよ」
「本当か?」
まただ・・
「本当」
「ありがとう・・」
「あんた・・今、ありがとうって言った?
すっごいレア!!
ねぇ、もう一回言ってみて!」
素直な彼が気持ち悪くて少しからかってみると
一瞬で彼の額には青筋が浮かび上がってくる
「お前、俺をからかってんのか?!」
だって・・
はい、そうです!
なんて・・怖くて言えないけどね!
「ねぇ、携帯の電源切ったんでしょ?
仕事は大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫だ!
今日は一日オフだから」
「休んだの?」
「あぁ、けど俺が無理やり休みにしたわけじゃねぇーぞ!
昨日、帰りがけにババァが今日は休んでいいって言ってきたんだよ!」
「お母様が?」
本当だとしたら変われば変わるものね・・
いまいち信用していないのが顔に出ていたのだろうか?
道明寺は心外だという表情を浮かべている
「お前、信用してねぇーだろ?
まぁ・・俺もあんま信じられねぇけどな」
「そうだね。けどお母様に頂いたお休みだったら有効的に使わなくっちゃね」
「そーだな」
「じゃあ、とりあえず朝ごはん食べない?
私、朝食食べてる最中だったんだけど
あなたもお腹すいてるでしょ?」
「あぁ・・」
「じゃあ、部屋行こう!
ほら!立って!!」
彼の両腕を引っ張って立つように促す
彼と共に朝食を食べホテルを出ると
行き先も告げられないままリムジンに押し込まれる
「ねぇ、どこ行くの?」
「俺んち。
まぁ、もうすぐお前の家にもなるけどな」
嬉しそうにそう言った彼の表情が先程までロビーで座り込んでいた時の表情と
あまりにもかけ離れていてこの回復の早さには驚かされる
ほんの一時間前までこの世の終わりみたいな顔してたのに
どうやらまだまだ未来は続いているらしい
「そ、そう・・で、あなたの家に何しに行くの?」
「お前に会わせたい奴がいるんだよ!」
「会わせたい人?誰?」
「行けば分かる!」
彼は会わせたい人についてそれ以上話すつもりはないみたいでそれ以上は教えてくれない
誰だろう?
私に会わせたい人って・・
行けば分かるのね
「そう」
短く一言だけ返事を返すと私もそれ以上は彼を追及しなかった
車窓から見えるNYの街並みに目をやりながら
ぼんやりと自分の世界を漂い始めていた・・
道明寺は俺んちって言ってたけど
やっぱりあの屋敷よね・・?
あそこには本当にいい思い出はない
あのお屋敷だとしたら何だか気が重い
そんな事を考えている間も車は順調にマンハッタンを走っていた
ふいに肩に重みを感じて横を向くと
私の肩に頭を乗せて道明寺が眠っていた
クスッ・・
思わず笑みが零れる
今までとは逆だね
いつも私が寝てたのに
そっと寝顔を覗き込む
長い睫・・
完全に油断しているのだろう
無防備な寝顔・・
やっぱり雛に似てる・・

応援ありがとうございます。
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