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月夜に 110

おはようございます。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴














「まったく・・この子は・・
 ほら、つくし!ちゃんと顔を見せておくれ」

「ごめんなさい・・心配かけて・・」

「全くだよ・・どれだけ心配したと思ってるんだい」

「ごめんなさい・・」

「でも、よかったよ・・つくしが無事で居てくれて本当に良かった・・
 こうやって生きてるうちに会えて嬉しいよ。
 つくし、よく戻ってきてくれたね。これからは坊ちゃんの事は頼んだよ!
 もうこの年寄りには坊ちゃんの相手は無理だからね」

「・・はい・・」

タマさんの言葉を聞きながら涙が止まらない

ここにも私の事を心配し待っていてくれた人が居た

タマさんと二人、涙でぐちゃぐちゃになっていると
すっかり存在を忘れられ不機嫌な道明寺の怒鳴り声が聞こえてきた

「タマ!余計な事言うなよ!
 俺は着替えてくるからその間、こいつの相手しててくれ!」

道明寺はそう言い残すと自分の部屋へと行ってしまった

私はタマさんに手を引かれリビングへと移動しソファーへ腰を下ろした

いろいろ話したい事があるのに上手く纏まらないくて
ただただタマ先輩と再会できた事が嬉しくてずっとタマさんの手を握っていた・・

「椿様からつくしが美作家に引き取られてたって聞いた時は本当に驚いたよ。
・・旦那様まで噛んでたなんてね・・お人が悪いよ・・」

「ごめんなさい」

「いいんだよ。つくしが謝る事じゃないからね。
 ところで坊ちゃんの娘がいるんだってね?
 坊ちゃんが嬉しそうに話してくれたよ」

「はい。雛って名前で6歳になりました。
 今はパリで小学校に通ってます」

バッグの中から雛の写真を取り出しタマさんに手渡すと
タマさんは写真の中の雛を愛おしそうに眺め

「本当に坊ちゃんの幼い頃にそっくりだね」

「外見だけじゃなくて性格も彼にそっくりなんですよ」

「本当かい・・それじゃあつくしも大変だね」

「はい、毎日振り回されてます」

「誰が大変なんだ?」

後ろから急に道明寺の声が聞こえてきて驚いて振り返ると
着替えを済ませた彼が不機嫌そうに立っていた

そんな彼の様子を全く気にする事なくタマさんは平然とした顔で

「つくしに決まってるじゃないですか」

タマさんの言葉に道明寺の額に青筋が立ち始める

「どうしてこいつが大変なんだよ?!」

「おや?坊ちゃんの頭ではお分かりになりませんか?
 あまり我が儘ばかりおっしゃっているとつくしに愛想をつかされてしまいますよ。
 気をつけてくださいよタマにはもう坊ちゃんのお相手は無理ですから」

「う、うるせぇーよ!」

タマさんの嫌味に怒鳴り返しながらソファーの後ろから
私の腕を引っ張り上げた

「櫻!行くぞ!!」

「ちょ、ちょっと!何処行くのよ!?」

「屋敷の中を案内してやる!
 まぁ全部は無理だけどな」

一体ここってどれぐらいの部屋数があるんだろう?

「ねぇ、ここって前のお屋敷と違うわよね?」

「ああ、半年程前にここに移った。
 今、ここに住んでるのは俺だけだ」

「そ、そうなんだ・・」

半年前って言ったら私と再会した後よね

「・・もしかして・・私と雛のためにここに移ったの?」

「あぁ」

「どうして?」

「あの屋敷・・お前、いい思い出ないだろ?
 俺だってあそこにはいい思い出はねぇーし。
 ここにしたのは緑も多くて環境もいいし、近くには雛が通うのに
 ちょうどいい小学校があるからな。子供を育てるのにはいいと思ったからな」

「そ、そう・・ありがとう・・」

私の言葉に彼は笑顔になり大きな手が私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた・・・












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kirakira
Posted bykirakira

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