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月夜に 112

おはようございます。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴















エントランスへと出て再び驚いた

もぅ、ずっと驚いてばっかりなんだけど

てっきりまたあのバカでかいリムジンが止まっているものだと
思っていたのに・・

車寄せに止まっていたのは真っ黒なスポーツカーで
思わず足を止めてしまった

「どうした?乗れよ!」

彼は助手席のドアを開けて私に乗るように促してるけど

「・・あっ・・う、うん・・てっきりリムジンだと思ったから・・
 ねぇ、あんたが運転するの?」

「あぁ、それがどうした?」

「運転できるの?免許持ってる?」

「お前、俺の事をなんだと思ってるんだ?
 車なんて中坊の時から運転してるしお前だって乗った事あるだろーが!」

だから聞いてんのよ!!

「あんた免許っていつ取ったの?」

「こっち来てすぐにだよ!」

「ど、どうやって免許取ったの?
 ちゃんと試験受けたわよね?」

「お前、さっきから何訳の分かんねぇー事ばっか言ってんだよ!?
 それに試験ってなんだ?免許取んのに試験なんて受けんのか?」

「あ、あんた一体どうやって免許取ったのよ!!
 世間一般では免許は試験を受けて合格したら貰えるものなのよ!!」

「だからさっき言っただろーが!
 こっちに来てすぐに貰ったんだよ!
 分かったか!ほら!さっさと乗れよ!行くぞ!!」

「ヤ、ヤダ!!」

「どうしてだよ!?
 うだうだ言ってると無理矢理放り込むぞ!!」

「ヤ、ヤダ!!ムリ!ムリ!」

「だったら理由を言えよ!
 俺の車に乗れない理由をな!!」

「・・こ、怖いからに決まってんでしょ!!」

「なんで俺の運転する車が怖いんだよ!?」

「免許取ったんじゃなくて貰った人の運転する車なんて怖いに決まってんでしょ!
 どうしてもその車で行くって言うんだったら私が運転する!!」

「私がって・・お前こそ免許持ってんのかよ!?」

「持ってるわよ!私はちゃんと試験を受けて合格したの!
 ・・あ、あんまり運転したことは無いけど・・」

「お前の方こそ怖くて乗れるかよ!
 いいからウダウダ言ってねぇーで早く乗れ!!」

「ヤダ!どうしてもって言うんだったらジャンケンで決めよう!」

車の前でギャンギャンと言い合いを繰り返していると
後ろからタマさんの声が聞こえてきた

「いつまでそこで言い争いをしてるつもりですか?
 さっさと出掛けないと日が暮れてしまいますよ。
 つくし!さっさと助手席にお乗り。
 坊ちゃんもつくしが隣に乗ってるんだから無茶な運転はしないよ。
 安心して楽しんでおいで」

タマさん知らないのよね・・私が昔、彼の運転する車に乗った事があるって事

だけどタマさんには逆らえなくて
渋々ながら助手席に身体を滑り込ませた

道明寺は私がタマさんの言葉に従ったのが不服そうだったけど
私が乗り込むのを確認すると自分も運転席に回り込んできた

道明寺の運転は自分で言うだけあってさすがに上手かった・・

まぁ・・私が運転するより安全かも

これは口が裂けても言わないけど

再び門へと向かって敷地内を走っていると車と併走している馬が見えた

馬?と思い振り返って確認してみるけど

やっぱり馬は馬で

それもサラブレッドで1頭だけじゃない

それにぜん~ぶ白馬なのは何故?

どうして馬がいるわけ?

道明寺って乗馬の趣味なんてあったっけ・・?

「ねぇ?あんたって乗馬なんてしたっけ?」

「いいや、ガキん時に乗った事あるけどそれっきりだ」

ハンドルを握ったままあっさりと否定した彼に益々疑問が膨らむ

「じゃあ、どうして馬がいるわけ?
 それも白馬ばっかり」


私の問いかけに彼に少しバツの悪そうな顔をしながらも
何故か嬉しそうに馬がいる理由を話してくれたんだけど

その理由を聞いて私は呆れて開いた口がふさがらない

「こないだ雛から馬車が欲しいって電話が掛かってきたんだよ」

はぁぁぁぁ?

もぅ、あの子は!

確かに雛は最近、シンデレラの馬車に嵌っている

パリのお屋敷でも危うく庭に馬車が置かれそうになったけど
寸でのところで回避したばかり

だって馬車よ!

いくら広いお屋敷だって言ったってあんなので走り回るスペースなんて無いし
何より馬車なんて一体幾らすると思ってるのよ!!

子供のおもちゃに本物の馬車なんて冗談じゃない!

そう思って彼女には馬車のレプリカで我慢させていた

でもこれにしたって部屋に置くには大きすぎて

小さな雛一人ぐらいだったら乗れるし何より内装が本物そっくりなんだから!

それで納得してくれてると思ってたのに・・

お父様方には馬車は止めてくれるようにきつくお願いしておいたけど
こんな所にもう一人居たのね・・

もぅ・・

あ~ぁ~頭が痛い・・

「ねぇ、馬って何頭ぐらいいるの?」

「今はまだ10頭ぐらいじゃねぇーか?」

今は・・?

運転している彼の横顔を唖然と眺めてしまう

あ~そうだ・・こいつってこういう奴だったんだ・・

加減を知らない

「雛のためだとしても10頭も必要ないでしょ!?」

「バカだな!馬には相性ってもんがあんだよ!」

「そんな事は分かってるわよ!!」

そんな事でバカだって言われたくない!!

ハァ~でも彼に言っても無駄なんだろうなぁ~

馬でよかったって思うべきなんだろうか?

きっと彼なら雛がライオンが飼いたいと言ったら・・

いやライオンに関わらずトラだろうが鯨だろうがきっとお金に物を言わせて
何とかしてしまうんだろうなぁ・・

そう思ったら馬が10頭ぐらいでよかった・・?

いやいや!

ダメダメ!

そういう問題じゃない!!

「甘やかさないでって言ったでしょ!
 雛の言った事をいちいち真に受けないで!」

「いいじゃねぇーかよ!
 雛が俺になにか言ってくるのってそうそうねぇーんだから!
 雛が言った事はなるべく叶えてやりてぇーんだよ!」

私は雛が最近、よく彼に電話を掛けているのは知っていた

彼女は何か欲しい物があるとまず母親である私に言ってくるけれど
ダメだと言われると次はあきらに行く

あきらは最近は私がしつこく言うからだろうけど
多分、道明寺にも気を使ってかあまり雛の我が儘を受け入れなくなっている

私もダメ、あきらもダメとなると彼女はおじい様方に連絡をしようとする
だけどお忙しいおじい様方に簡単に連絡がつかない時は
NYの道明寺に連絡をしているみたい

但し、彼女の場合、思い立ったらなので時間も時差も関係ない

まぁ、道明寺の場合はどんな時間だろうと何処に居ようと
雛からの電話には喜んで応えるんだろうけど・・

雛も道明寺が自分に甘いのは十分承知した上で
彼に電話をしている確信犯

「とにかく雛を甘やかさないでね。
 それから生き物もこれ以上増やさないで」

とりあえずこれ以上、馬が増えないように釘を刺しておく

「分かったよ!」

不機嫌な声で前を向いたまま返事が返ってきたけれど
多分、彼は分かっていない

とりあえずこの話を終わらせるために返事しただけ

私の溜息と共に車はマンハッタンへと戻って行く・・・










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kirakira
Posted bykirakira

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