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月夜に 122

おはようございます。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴














エステが終わり道明寺と雛の元へと向かう途中の廊下で会った
タマさんは私の顔を見るなり立ちどまり

「つくし、あんたのお陰でいいもんが見れたよ」

何のことを言われているのか分からずにキョトンとしていると

「坊ちゃんだよ!坊ちゃんのあんな姿を生きてるうちに見れるなんて
 思ってもみなかったからね。いい冥途の土産になったよ、ありがとう」

思いがけずタマさんに"ありがとう"と言われて
不意に熱いものが込み上げてきた・・

どうしてだろう?

きっと私は心のどこかでずっと不安だったんだ

記憶を取り戻す事は出来たけど
7年前に置き忘れてきた感情に呑み込まれそうで
上手くコントロール出来なくて

そんな私と雛の存在が道成寺の負担になるんじゃないかって

彼は私と雛の為だったら何を犠牲にしても惜しくないと思うだろう

だけど

いきなり6歳の女の子の父親になる事に
戸惑いを感じてるんじゃないかって

その事が彼の負担になってるんじゃないかって

ずっと考えていた

だけど今のタマさんの言葉でその不安が少しだけ解消された気がした

心が少しだけ晴れた気がする

泣き出してしまった私にタマさんは

「泣くんじゃないよ!私が泣かせたみたいじゃないかい!」

そう言ってハンカチを差し出してくれた

ハンカチを受け取り涙を拭いていると雛を抱いた道明寺がこちらに向かって歩いてくるのが見えた

彼は私が泣いているのを見て驚いている

そうよね

私自身驚いてるんだもん

「お、お前、なに泣いてんだよ?!
 タマになんか言われたのか?」

泣いてるところを見られたのが恥ずかしくって
返す言葉も態度もついついぶっきらぼうになってしまう

「そんなわけないでしょ!
 いいからほっといてよ!それよりお腹すいてるんでしょ?
 中庭のテラスに準備してもらったから早く行こ!」

泣いている理由を誤魔化すように早口で捲くし立てる私に
道明寺はまだなにか言いたそうだったけど
小さくタメ息を吐き出すとそれ以上はなにも言わずに
雛を抱いていた片手を私の肩へと回して歩き始めた

テラスでは道明寺は軽めの食事をとり
雛はおやつに用意してもらったチョコレートケーキを
口いっぱいに頬張っている

私はそんな二人を眺めていた

食事を終えた道明寺が何処からかバスケットボールを持ち出してきて雛と遊び始めた

中庭に置かれていたゴールポストへ次々とフリースローを決めていく彼に雛が歓声を上げていて
雛もボールをポストへ向けて投げているけど
まだ小さな彼女にはバスケットボールもゴールポストも大きすぎて
何度やっても上手くいかなくて
彼に肩車をしてもらってやっとゴールを決めることが出来た

庭には雛の歓声と道明寺の笑い声が響いていた










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kirakira
Posted bykirakira

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