月夜に 137
おはようございます。
お引越しです。♪
それではどうぞ~❤
何度もお礼を言う私の傍らであっけらかんとバイバイ~と
警官に手を振る雛
最後に道明寺が署長と握手をして私達は警察署を出た
車に乗り込み雛にどんなに心配したかを伝えようとするのだけれど
私の小言を聞きたくない彼女が道明寺とガッチリタッグを組み
まるで何事もなかったかのように二人で会話をしていて口を挟む余地がない
それでもなんとか雛から聞き出したのは
彼女はやっぱり一人で道明寺に会いに行こうとしていたらしく
眠っている私を残し一人でホテルを出て
徒歩で昨日車の中から見た道明寺のビルを目指していた
だけど途中で屋台から漂うホットドッグのいい匂いに引き寄せられ
ホットドッグを買おうとしたけれど彼女はドルを持っていなかったので
道明寺のお母様に貰っていたカードを使おうとしたらしい
屋台の店主はブラックカードを差し出した小さな女の子を不審に思い
どこに行くのか?一人なのか?どこから来たのか?など雛を質問攻めにし
ちょうど巡回中で近くを通り掛かった警官を呼び止め雛を引き渡してくれたらしい
警察署で沢山の警察官に取り囲まれ
警官の一人が買ってきてくれたホットドッグを貰いご機嫌だった彼女だけれど
車が走り出して少し落ち着いたのか
やっと私や道明寺やそのほか沢山の人達が
心配して探していたという事の重大さに気付いたのか
小さな声だったけれど
ママ…ごめんなさい
パパ…ごめんなさいと言うと
バツが悪そうに道明寺のお腹の辺りに顔を隠すように抱き着き
しばらくするとそのまま眠ってしまった
彼女は彼女なりに一生懸命考え
道明寺に会いに行こうと頑張ったのだろう
そう思うと心底無事でよかったと思える
「櫻?」
「ん?どうしたの?」
「今回は雛が無事でよかったけど
元はと言えば俺の秘書がきちんと伝言を伝えなかったのが原因だ。
秘書がどういうつもりなのかは分からないけど
例えどんな理由があろうとも俺は秘書を許すつもりはない。
ただ上司として弁解の機会も与えずクビにするんじゃなくて
社の規定に従って処分を下そうと思っている。
お前はそれでいいか?」
「うん…私もあなたに感情のままに人を切り捨てるような事はしてほしくない…」
「分かった、ありがとう」
道明寺は変わったと感じた
以前の彼なら秘書さんを有無を言わさずにクビにしていただろうし
もしかしたらそれだけでは済まなかったかもしれないのに
今の彼は精神的にも成長をし
人の上に立つ人間として
道明寺の後継者として
立派にその役割を果たせる人間になろうとしている
私はそんな彼に以前には感じていなかった
逞しさと安心感を感じるようになっていた
もし彼にこの変化をもたらせた物が私や雛の存在なのだとしたら
一人でも雛を産み育てる決心をしていた牧野つくしも救われるだろう
私の中には記憶が戻った今でも
牧野つくしと美作櫻の二人の女性がいる
その大部分は共通しているけれど
記憶の中の感情的な部分では隔たりを感じる事がある
道明寺との事を考える時どうしても記憶の中の牧野つくしに対して
今の私なら…ともう一人の私が顔を出してくる
それは時に私の思考を混乱させるけれど
道明寺との関係を客観的に考える時には役に立っている
確実な何かを手にするまではしばらくこの状況が続くだろうけど
それを冷静に受け止める余裕が出てきたのは私の進歩だと思う

応援ありがとうございます。
お引越しです。♪
それではどうぞ~❤
何度もお礼を言う私の傍らであっけらかんとバイバイ~と
警官に手を振る雛
最後に道明寺が署長と握手をして私達は警察署を出た
車に乗り込み雛にどんなに心配したかを伝えようとするのだけれど
私の小言を聞きたくない彼女が道明寺とガッチリタッグを組み
まるで何事もなかったかのように二人で会話をしていて口を挟む余地がない
それでもなんとか雛から聞き出したのは
彼女はやっぱり一人で道明寺に会いに行こうとしていたらしく
眠っている私を残し一人でホテルを出て
徒歩で昨日車の中から見た道明寺のビルを目指していた
だけど途中で屋台から漂うホットドッグのいい匂いに引き寄せられ
ホットドッグを買おうとしたけれど彼女はドルを持っていなかったので
道明寺のお母様に貰っていたカードを使おうとしたらしい
屋台の店主はブラックカードを差し出した小さな女の子を不審に思い
どこに行くのか?一人なのか?どこから来たのか?など雛を質問攻めにし
ちょうど巡回中で近くを通り掛かった警官を呼び止め雛を引き渡してくれたらしい
警察署で沢山の警察官に取り囲まれ
警官の一人が買ってきてくれたホットドッグを貰いご機嫌だった彼女だけれど
車が走り出して少し落ち着いたのか
やっと私や道明寺やそのほか沢山の人達が
心配して探していたという事の重大さに気付いたのか
小さな声だったけれど
ママ…ごめんなさい
パパ…ごめんなさいと言うと
バツが悪そうに道明寺のお腹の辺りに顔を隠すように抱き着き
しばらくするとそのまま眠ってしまった
彼女は彼女なりに一生懸命考え
道明寺に会いに行こうと頑張ったのだろう
そう思うと心底無事でよかったと思える
「櫻?」
「ん?どうしたの?」
「今回は雛が無事でよかったけど
元はと言えば俺の秘書がきちんと伝言を伝えなかったのが原因だ。
秘書がどういうつもりなのかは分からないけど
例えどんな理由があろうとも俺は秘書を許すつもりはない。
ただ上司として弁解の機会も与えずクビにするんじゃなくて
社の規定に従って処分を下そうと思っている。
お前はそれでいいか?」
「うん…私もあなたに感情のままに人を切り捨てるような事はしてほしくない…」
「分かった、ありがとう」
道明寺は変わったと感じた
以前の彼なら秘書さんを有無を言わさずにクビにしていただろうし
もしかしたらそれだけでは済まなかったかもしれないのに
今の彼は精神的にも成長をし
人の上に立つ人間として
道明寺の後継者として
立派にその役割を果たせる人間になろうとしている
私はそんな彼に以前には感じていなかった
逞しさと安心感を感じるようになっていた
もし彼にこの変化をもたらせた物が私や雛の存在なのだとしたら
一人でも雛を産み育てる決心をしていた牧野つくしも救われるだろう
私の中には記憶が戻った今でも
牧野つくしと美作櫻の二人の女性がいる
その大部分は共通しているけれど
記憶の中の感情的な部分では隔たりを感じる事がある
道明寺との事を考える時どうしても記憶の中の牧野つくしに対して
今の私なら…ともう一人の私が顔を出してくる
それは時に私の思考を混乱させるけれど
道明寺との関係を客観的に考える時には役に立っている
確実な何かを手にするまではしばらくこの状況が続くだろうけど
それを冷静に受け止める余裕が出てきたのは私の進歩だと思う

応援ありがとうございます。
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